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福岡「つーわけで、明日から1週間、ゲームが始まる。最後くらいは全員仲良く団欒だ。乾杯ッ!」
一同「「「「乾杯ッ!!!!」」」」
広い和式の部屋、卓を囲んで酒を酌み交わした。
本来なら福岡の家に集まる予定だったが、それを知った熊本がガチギレして急遽、鹿児島家での宴会となった。
外は大荒れだ。最後くらいは晴れてほしかったが、梅雨時なので仕方がないと言ったところだろうか。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
問題なのは、明日から今後の人生を賭けたゲームが始まるというのに、そんな雰囲気は一ミリも漂ってない。大問題だろ。
福岡「おい”!!佐賀ァ!!!!!テメェ全く飲んでねぇじゃねぇか!!!!!!!」
佐賀「あ、…いや……僕…下戸だから………」
長崎「ちょっとー!無理矢理はダメだよ!」
熊本「ほら見ろ。アレが県として糞な例だからな」
沖縄「(°▽°)???」
福岡「黙っとけ負け犬が」
熊本「ぁあ”!?!?」
宮崎「あれ〜?かごさん?ケンカ始まっちゃったよ?」
鹿児島「無視が1番だ」
大分「そーですね」(…早く終わって欲しい)
福岡が佐賀にだる絡みして長崎がそれを宥め、熊本が喧嘩を売り、福岡とおっ始めた。
それを鹿児島・宮崎・大分・沖縄がスルーをするという何ともカオスな空間が生み出された。
最初は放っておいた県たちも、2人の怒号で徐々に怒りが蓄積されていった。
宮崎「かごさん〜!?ステイステイ!!」
鹿児島「……………🔪」
沖縄「(゚∀゚)???」
大分「……あ、俺、風呂沸かしてきます」逃💨
佐賀「…………」←うずくまる
長崎「決して佐賀のせいじゃないからね」
結局、鹿児島がブチギレて、保存しておいた火山灰を振り撒き、宴会は(強制)終了となった。
福岡「はぁ〜〜…あんなに怒らなくても良いだろー?最後くらいさ」
熊本「馬〜鹿。テメーが手を滑らせて沖縄に酒をぶっかけたから鹿児島が切れたんだろ?」
鹿児島「…お前ら後で来い」
2人「………うっす…」
一方その頃、長崎たちは______。
長崎「沖縄?大丈夫…ではないよね…?」
沖縄「わんはダイジョーブ!!」
佐賀「………」
宮崎「お風呂沸いたって〜。沖縄が1番で良いんじゃない〜?」
大分「だな。」
夜も更け、静寂だけが響く部屋の中。
皆が寝静まった頃、1人の県が重い瞼を開けた。
1人、リビングへ向かった。
「はぁ……」
重い溜息が取り巻く気配は重苦しいものだった。当たり前だろう。なんせ、明日から誰も信用できなくなるはずだ。
手には宴会で残った酒瓶が握られていた。生温く、アルコールもさほど感じない。
一度開けてしまったら、その時が一番オイシイのである。間が空いてしまったり、何か出来事があれば元の味を取り戻すことは不可能だ。
今の自分たちも。
熊本「お前、何してる」
振り向くと、紅の眼で睨みつけ、額には血管が薄っすら浮き出ている、自分自身を殺したいほど憎んでいる相手が立っていた。
かつては明治政府の指揮官だった奴のオーラだけは脱帽する。それだけだが。
声をかけられたことには驚きもしなかった。彼奴は俺が起き上がった時から狸寝入りしてることくらい知っていた。
福岡「………酒飲んでるだけだ。ほっとけ」
しっしっと、手で払うようにして、再び酒瓶に口をつけた。
すると。
熊本「俺がもし、お前を日本の元に追放したら、どう思う」
福岡「………」
そんなの、答えは一つ。
福岡「監禁所から抜け出してきて、お前をぶっ殺してやる」
熊本「………はッ!w」
しばらくの間、沈黙が2人を包んだ。
それを破って熊本が口を開いた。
熊本「テメェの“嘘”は分かり易いな」
福岡「は」
そのまま、熊本は寝床へ戻っていった。
1人残された福岡がその後ろ姿を見ていた。
何とも言えない、悲哀を感じた。