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お昼寝
午前中は散々な目に合った…昼休み、誰もいない北側の外階段で昼食を取る。ここは日当たりもあまり良くなく、滅多に人と会わない俺の穴場スポットだ。そしてお昼ご飯にと朝にコンビニで買ったおにぎりを開け、口にする。
春風がとても心地よく、北側で日陰になっているのもあって、少し動くと汗ばむこの時期だが涼しく感じる。
昼食を食べ終え、時間ギリギリになるまでくつろごうと少し眠ろうと時だった。
いつもは静かで他の人の声なんか聞こえないのだが、だいぶ騒がしい声が聞こえる…この声じゃ寝ることなんてできやしない、そうして俺は立ち上がり、声の聞こえる下の中庭の方を上の階段から覗いた。
下の中庭には1年生歓迎会と言って様々な学年が集まり昼食を取っていた。…これはそう簡単に静かにはならないだろう。場所を移動しようと俺は立ち上がり、外階段を後にした…。
涼しいし、日当たりもいいし、静かだし、寝る条件は満たしていると思い図書館に向かう。
この学校はだいぶ昔に建てられた校舎だ。図書館の奥側に行くにつれ「誰も使っていないから掃除があまり行き届いてない」という理由で人が集まらない。だけど午後の日当たりはよく、第二のお昼寝スポットとなっている。
古く錆びたドアに手をかけ中に入ると、そこには、雑談をしている人や勉強をしている人、本を読んでいる人さまざまな理由で人が集まっていた。だが俺は図書館の奥側へと足を進める。
窓側の椅子に腰を下ろし、机に腕を置きその中にに顔を埋め、寝る体制へと入る。程よい日差しが体を温めうとうとしてきた時だった。
「こんな所で会うなんて、奇遇ですね~」
聞き覚えのある胡散臭い声が頭の上を通る。そこには朝も見た顔があった。
「んでお前が…。」
やっと落ち着いて寝れると思ったのに…少し顔を上げ眠そうな声を上げる。
「わ~…怖い怖い…そんなに睨まないでくださいよ…委員会ですよ、委員会。俺図書委員なので。」
不機嫌ではあるが睨んでなんかいない。きっと俺の目つきのせいだろう、無視して再び寝る体制を取ると「ここの大窓日当たりいいですからね~」と言いながら抱えている本を本棚に戻しに行った。それを確認し再び俺は眠りの世界へと向かった。
俺の体は規則正しいのか、毎回午後授業前に目が覚める。まだ少し眠いが次の授業が移動だったことを思い出し、しぶしぶ起きて周りを見渡す。あいつは…さすがに帰ったか…。何を確認してるんだ…。
「あっ、帰ってきたんですね。」
「別に、関係ないだろ。」
俺が教室に帰り、席に座ると隣から話しかける。寝るような気分ではないのでしぶしぶ対応する。
「とっても気持ちよさそうに寝てましたよ、」
「…だからなんだよ」
「いや~中々起こせなくて。」
「起こせって頼んでねぇよ」
「わ~辛辣~…」
次の授業の準備をしようと立ち上がると、あいつも準備をしようと立ち上がった。だけど他のクラスの奴に声をかけられ、そいつらと一緒に教室に向かって行った。俺に話しかけてくる奴んていなかったのに…変な奴…
新学期初日が終わり、俺はせかせかと帰る準備をする。帰りのホームルームを終え、颯爽と教室を出だ。学校を出て少し歩くと最寄りの駅が見えてくる。改札でカードをかざし時間までホーム少し待つ。反対側のホームで電車が出発するのを眺め電車が到着するというアナウンスを聞き、寄りかかっていた壁から離れホームドアへ近づく。
帰宅の時間と言ってもあまり人はいなかった。誰もいない電車の中で体を揺らされながら席に座ろうとすると隣の号車から誰かが入ってきた。
「あっ、いたいた」
そこには長い髪を少し乱しているアイツがいた。
「お前…なんでここに…」
「え?帰っていくのが見えたので…そういえば小柳くん同じ電車で見かけたことあるな~と思って急いできました。」
「はっ…!?」
「よいしょ…お隣失礼しますね。」
荷物を膝の上に乗せ少し距離を空けながら座った。こいつ…何考えてんのか全くわかんねぇ…。
そこから静かに電車に揺られた。隣を恐る恐る見ると単語帳を見ていた。そういえば星導って名前の奴テストで上位取ってるのをよく見かけたな…だったら尚更だなんでこんな秀才が俺の所に…。少しの駅を過ぎると「俺はここで~」と言って降りて行った。
俺のこれからは色々大丈夫なのか…不安に思いながらも、電車の窓から外を眺めると、朝とは違う眩しさを放っている茜色の夕陽に目を薄めながら、階段を降りていくあいつの姿を見ていた。