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なんであれ当座の危機、すなわちノブリア王国とザウアシュ侯国の全面戦争という問題は無事に解決、ザウアシュ侯国の完全なる大勝利という形に終わったわけなので、祝宴が開かれた。今度は『館の中でブッフェ形式でパーティー』という規模のものではない。館の前の広場を市民たちに開放し、飲み物も御馳走も無料で提供される。祝宴というよりはほぼ祭りというべき騒ぎになっていた。クセノフォス王とその部下たちは手当は受けたが、とりあえず全員捕虜、ということになった。フロリーネもまだ釈放されてはおらず虜囚の身のままである。そういつまでも鎖で繋いでおく予定があるわけではないが、今夜のところは英雄オゾンの凱旋挙行というのも建前上は兼ねているので、そういう形を取らざるを得なかったのである。
「オゾン様。新しいローストビーフが届きましただよ。おら、一番おいしいところを取ってきますだ。ですので、ちょいとばかりお待ちを」
ドロージは相変わらず、かいがいしくオゾンに仕えている。実に満足げである。
「あなたは……いったいどれほど、この国に変化をもたらすことになるのでしょうね……オゾン卿」
すれ違いざま、モニカはそんな挨拶を残していった。
「どうする? とうとうというか、あれよと言う間にというか、王国一つがそなたの前にひれ伏すところまで来てしまったぞ。このまま勢いに乗って、神聖アルティメイアの皇帝冠でも狙ってみることにするか? のう、オゾンよ」
テトラはそんなことを言いながら、自分も肉料理を食べている。
「いやぁ。明日より先のことは、また明日考えよう。それより、今日は飯だ。そんなことより、飯を食わせてほしい。『飢饉』は実際、しんどい能力だ。あんなことをねんがら年じゅう繰り返さないと、皇帝というものにはなれないのか?」
「普通は、そんなことを繰り返した程度のことで皇帝にはなれぬ。が、お前ならやれるかもしれん。どうだ」
「いい。少なくとも今日はそんなことは考えない」
「オゾン様。今度は羊の丸焼きがまた一頭、向こうに並びましただよ。またおらにお任せを」
「ああ、頼んだぞドロージ」
やれやれ、とテトラは人間の姿で嘆息した。
「われらが英雄殿には欲と言うものが無いのか。それとも……あるいは……」
その先の言葉は、風に流れて消えてゆく。
「もっと大きな、それよりももっと何かを成し遂げるために……お前はやってきたのか? この世界に……」
■第三話はここまでです