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宿屋のおばさんに地図を貰ってとりあえず外に出て海岸を目指していると浜辺沿いに人影が見える。しかしその人影の付近にまた別の影を2つ確認した。
「片方は魔物か!人型の魔物、ゴブリンたちか!」
囲んでいる人物が魔物と分かるとすぐに駆け寄り奇襲を仕掛ける。
「そこの人大丈夫か!?」
「あ、ありがとうございます!」
「こいつらは俺が引き受けるから早く町に帰るといい!」
「は、はい!すぐに助けを呼びますので!!」
襲われていたハルモニアの町の人と思わしき人物を逃がしてゴブリンとの戦闘を始める。運よく腰に付けていた護身用のダガーが流されておらず、何とか戦闘はできそうな雰囲気はあるが元は船乗りで戦闘なんてそんなにやってきたわけではない。さらに言えば数的不利も背負っているため助けに入ったとはいえここを自身が無傷で進めるものとも思ってはいなかった。
「さて、と。病み上がりの俺がどこまで戦えるもんかね?」
そんな軽口をたたきながら護身のダガーを取り出してくるっと手の内で回した後構えを取る。相手の出方を見て反撃しようとじっとしていたその時後方から火球が飛んできて一体のゴブリンを吹き飛ばす。それに混乱したもう一匹にすかさず何者かかヴェルドの上を超えていき状況を把握できていない一体を直剣と短剣で切り伏せる。
「おいおい…頼もしい援護じゃないか?」
「若いやつがこうも無茶をするもんじゃないぞ?」
黒い服に身を包み、センタークリースを被る40手前の男性が後ろからやってきてそう声をかける。
「でも魔物と真っ向から戦おうなんて一般人そうはいないから今の世の中じゃ貴重な人材よ?」
右手に直剣左手に短剣を装備し、こちらにそう問いかけるのは白銀の髪をしており、少しウェーブ掛ったセミロングくらいの長さの髪を少し高い位置で結んでいる女性だ。
「助太刀感謝するよ。」
「いやはや、旅をしていればこういう困りごとに出くわすのが日常。旅の困りごとは旅人同士で解決できるならしていこうじゃないか!」
「それとも一人でこの場を切り抜けられたりした感じ?」
「いいや、正直助けがないと五体満足でいられなかったかもな。」
「あら、結構素直なもの言いね?私結構気に入ったかも?」
「『アルザ』話したい気持ちはわかるが今は目の前の雑魚を片付けるとしようか。」
「分かってるわよ『エルヴィル』。ちょっと聞きたいこともあるからね。」
先ほど切ったゴブリンは傷が浅く、魔法で吹き飛ばしたゴブリンも距離による速度減衰でそれほどダメージ入っておらず攻撃してきた二人とヴェルド含め確実に仕留めに来ようとしていた。
「あんたらの攻撃でだいぶ相手はお怒りだがどうだ?」
「まぁ熱烈なアプローチが効いたっていうことでしょ?」
「がっはっは!この年でもモテるという現象は悪くないなぁ!?」
「酒飲みダメおっさんについてくるのはこういう魔物だけよ。」
軽口をたたきながらも相手への警戒は怠らず、エルヴィルと名乗る男は何やら魔法を唱え始めてその隙を埋めるようにアルザという女性がゴブリンたちの前に立ち翻弄する。
「ほらほら!あんたも手伝って!」
「あ、あぁ!」
キレイな連携に呆気に取られていたがその声かけに現実に戻され、アルザのカバーをする。一匹は彼女がひきつけてくれるのでもう一体を自分が対処する。
船の上でも多少魔物が現れてそれを対処することはあったため、常人より少しは戦えるという実力ではあるがゴブリンといえど、身を守ることが出来るだけもこの世界では上澄みよりの人間ではある。
相手のゴブリンはどうやら自身と同じダガーを持っているがあちらは刃こぼれをしており劣化もひどいため変に動かなければこちらの優位は確かなものである。現に相手の攻撃に対して軽くいなしているだけでそのダガーは徐々に崩れている。とは言え刃こぼれの朽ちたナイフが怖いのもまた事実。刃が整っていないため切られたときにスパッと切れず引っかけるように切れるため出血量が洒落にならない。また、朽ちてることによって破傷風が発症する可能性があるのも怖いところではある。俺は別に訓練された兵士や傭兵じゃないから素早くこれを対処できるほどの実力はないが、恐らくある程度の腕があればこの防戦一方風の戦い方も変えられるのだろう。さて、そろそろ相手の息も上がってきたころだからそろそろ楽にしてやるか。
相手のダガーをよけた後蹴りでそれを吹き飛ばし二回切りつける。
「よーし!準備できたから若いのそこを退いてくれ!」
その声かけの後瞬時に右にステップを踏みヴェルドがいなくなった瞬間エルヴィルのファイアがゴブリンに直撃しそのまま黒い霧となり消失。その隣りでアルザも見事ゴブリンを完封してこの戦闘は無事にこちらの勝利で終わった。
「助かったよ二人とも。」
「ま、困ったときはお互い様ってやつよ。」
「それにしてもお主なかなかいい腕してるな?同じく旅の者か?」
「現状はそんなところだ。もとは船乗りで話によると俺はここで寝そべっていたらしい。」
「うっそ!?この嵐の中海上に居たっていうの!?」
「まぁ結果として嵐に飲まれてここに打ち上げられていたんだがな。で、ほかの仲間の安否と船の状態を一応確認したくて来たら、別の人が襲われてて助けに入って今に至るっていう感じだ」
「なるほどねえ~。」
「とりあえず近くに街が町があるっていうならまずはそこに行って我らで話でもしようじゃないか!」
「あんたは酒が飲みたいだけでしょどうせ……」
「腹割って話すには酒の席が一番だからな!」
「はぁ…やれやれ。とりあえず向かいながら簡単に私らについて話すわよ。」
「あぁそうしようか。」
コメント
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おお、2話目!ヴェルド、まさか浜辺でゴブリン相手に一人で立ち回るとは思わなかったわ。でもアルザとエルヴィルの連携がめっちゃキレイで、援護入ったときの「おいおい…頼もしい援護じゃないか?」って軽口にニヤけた。酒飲みおっさんとキレ者女性の掛け合いも好き。戦闘描写の細かさ(刃こぼれのダガーのリスクとか)がちゃんと考えられてて、世界観に深み出てきたね。次、酒場での会話が楽しみだわ🔥