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花吐き病シリーズで、この2人が1番好きです!🤭 💜💛満たされました🫶 ありがとうございます✨
グッ…………ときました……大好きです。 うちのふまさん当て馬になっちゃうから、報われていて泣きそうに嬉しい……しあわせにおなり……。
このパターンも良き〜♪
【花吐き病(もとぱ)】の続き:藤澤ルート菊池END
*O視点*
「ごほっ、ごほっ。」
「涼ちゃん?!」
せき込んだ涼ちゃんの口から、花が零れてきた。
「その花は…。」
涼ちゃんは面白そうに笑った。
「誰だと思う?」
吐き出された花は
紫の花
紫…。思い当たる人物は二人いるが…。
「え…紫ってことは、高野…?」
若井の言葉に、涼ちゃんは苦笑しながら首を横に振った。
「え、じゃあ…?」
若井は首をかしげてるが、涼ちゃんと関わりがある紫なんてあと一人しかいないじゃん。
「風磨君?」
俺が言うと、涼ちゃんは小さくうなずいた。
「気づいたら拗らせちゃってた。」
何てことなさそうに話す涼ちゃん。でも、花吐き病を発症するくらいってことは、よっぽどだ。っていうか、それって
「俺のせいじゃん…。」
「元貴のせいじゃないよ!元貴と菊池さんが映画で共演する前からだし、人柄に触れてっていうか、なんていうか…。」
俺をフォローしようとして惚れた部分を暴露しそうになった涼ちゃんは口ごもる。
涼ちゃんが病気発症したのは俺のせいじゃないかもだけど、本当ならもっと早く完治出来ていたはずだ。何故なら、風磨君から『藤澤さん紹介して』ってずっと言われてたのに俺が面白がってスルーしてたから…。
ごめん、涼ちゃん
ごめん、風磨君
「涼ちゃん、今度風磨君とご飯行こう。」
「うぇ?!」
驚きすぎて変な声出てますよ。
「どうせ吐くなら幸せに吐きたいでしょ?」
「いや、好きな人の前で吐きたくないでしょ。」
若井のもっともな言葉に、”確かに”と納得する。いや、でもこれさっさと風磨君に会わせないと俺の良心が摺りつぶされる。
涼ちゃんが帰った後、風磨君にラインする。
大森:風磨君、涼ちゃん紹介したいから今度3人で食事でもどう?
暫くして返信が来た
菊池:お願いしても頑なに紹介してくれなかったのにどういう風の吹き回し?
大森:涼ちゃんに変な虫付くより風磨君のがマシって気づいた
菊池:ひどっww
大森:風磨君もう他に好きな人できたんなら涼ちゃんには他の人紹介する
菊池:ごはん楽しみだね☆
大森:いつ空いてる?
菊池:直近だと明日の夜とか。明後日からしばらく海外だから
大森:OK。ココでいい?→【地図】
菊池:OK。ちょっと遅いけど22時くらいでいい?
大森:OK。
菊池:確認なんだけど、慌てて俺紹介するっていうことは藤澤さんに変な虫が付いてるってこと?
変な虫なら古今東西ありとあらゆる虫は付いてはいる。
本人は気づいてないが。
大森:風磨君。俺達友達だよね?
菊池:怖い怖い
大森:友達の恋を応援したいなって思って☆
菊池:嘘くせぇ☆
大森:本当、本当。最近面白いことなかったし。
菊池:本音零れてるから!
大森:明日楽しみにしてるね♡
「紹介してって言われてたの?」
隣でやり取り見てた若井が聞いてきた。
「まぁ…。」
「菊池さんって涼ちゃんのこと…。」
「風磨君、明るくて優しくて安心感を与えてくれる綺麗めの年上が好みらしい。」
「まぁ…そこだけ聞いたら一応涼ちゃん当てはまるかな。」
「でもさ、頼れる姉さん女房なイメージもしない?だから”うちの涼ちゃんで本当にいいんですか?”ってなって。涼ちゃんが風磨君のこと好きってのも知らなかったし、風磨君に会う度紹介してって言われてたんだけど面白いからスルーしてた。」
「だからさっき”俺のせい”って言ったんだ。」
「軽蔑した…?」
若井の顔を覗き込む。若井はフッと笑って
「軽蔑なんてしないよ。」
「よかった…。」
ここで若井に軽蔑されたら立ち直れないかもしれない。
「軽蔑してないけど、呆れてる。」
「え?!」
「だからしっかり二人くっつけてきてよ!」
「うん!」
*F視点*
今日は夕方までソロの仕事で、夜は特に予定はなかった。だから、家に帰ったら夕食何にしよう?などと待機中の楽屋で考えてると、
「藤澤さん、大森さんが次の曲で確認したいことあるから仕事終わりに家に来て欲しいと連絡がありました。」
「元貴から?」
僕が仕事中だと思ってマネージャーに連絡したんだと思うけど、普段ならラインに連絡入ってるはずだ。スマホを確認したけど、元貴からのメッセージはない。
「あと、大森さんから『メイクは落としてきて。髪はセットしたままで来て。ごはん食べてこないで、食べに行くから。』だそうです。」
「ふ~ん?分かりました。」
「返信しておきますね。」
「ありがとうございます。」
曲のことだからキーボードのことかと思ったけど、何の確認なんだろ?
仕事が終わり、マネージャーに元貴の家に送ってもらった。
「来たよー。」
「いらっしゃい、涼ちゃん。」
「なんで藻部さん(マネージャー)に連絡したの?」
「ラインだと涼ちゃんたまに読み飛ばすから。」
否定できない…。
「ごめんなさい…。」
「マネージャー経由なら取りこぼしないでしょ?必要なことはマネージャーが覚えててくれるし。さ、とりあえずここに座って!」
「え?」
ドレッサーの前に座らされる。
「じっとしててね。」
そう言うと元貴は僕に化粧をし始めた。
「元貴、いったい何?」
「今日さ、ご飯食べに行こう。」
「え?あ、うん。」
「で、そこに風磨君も来るから。」
「ふ~ん?…え?」
今なんて言った?
「だから、気合入れて準備するよ!」
「待って待って!!うっ。」
そう言えば今日薬飲んでない。
「げほっ、げほっ。」
僕の口から花が…紫色のカンパニュラが吐き出された。
「ご、ごめん!」
慌てて片付けようとすると、元貴はその手を掴んで止めた。
「大丈夫だよ、そのままで。」
「でも…。」
「後で片づける。それより座って。化粧の続きするから。」
大人しく椅子に座る。
「元貴…菊池さんも来るっていうのは、元貴が誘ったんだよね…?」
多分僕の為なんだろうけど…。元貴は化粧の続きをしながら
「涼ちゃんに謝らないといけないことがあるんだよね。」
「何?」
「ずっとね、風磨君に涼ちゃん紹介してって言われてたの。」
「え…。」
「涼ちゃんが風磨君のこと好きって知らなかったから、「あーはいはいその内ね」でスルーしてたんだ。謝って許されることじゃないけど、ごめん…。」
「…別にいいよ。だって、菊池さんはそういう意味で紹介して欲しいって言ったんじゃないと思うし…。」
僕が菊池さんへ向ける気持ちとは違う。多分、元貴という天才の周りに居る人に興味があるだけなんじゃないかな。
「だから今回は風磨君の希望でもある。いきなりで涼ちゃんも心の準備が出来てないかもしれないけど、風磨君しばらく仕事で海外らしいし。今日しか空いてないんだ。」
「そっか。分かった。僕は全然大丈夫だよ!」
「ありがとう、涼ちゃん。」
「完成!」
元貴にメイクされることはたまにあるけど、ここまで時間をかけるのは珍しい。
「どう?涼ちゃん。結構自信作なんだけど。」
すっぴん風のナチュラルメイクといった感じなんだろうか?僕には肌がきれいに見える以外に何が変わったのかが分からない。
「血色をよくするためにコレを使ったんだけど、それをすることによって肌の透明感がーーー。」
「元貴はすごいね。」
「….全然理解できてないでしょ?」
「バレた?(笑)」
「まぁ、こんな気合入れるのは最初だけで後は徐々にナチュラルになって行けば、最終的に化粧しなくても大丈夫だと思うよ。」
「最終的に?」
「いつも俺が涼ちゃんと風磨君のデート前にメイクさんするわけにはいかなでしょ。」
「デートって、っげほっ、げほっ。」
カンパニュラが量産されていく。流石にこれ以上はまずい。こんなに続けて吐くなんて今までなかったから体力がごっそり持っていかれた。
「うっ…..はぁっ、はぁっ。」
「大丈夫?!涼ちゃん!」
「大丈夫、大丈夫だよ…。」
不安そうな元貴に安心させるように笑顔を見せる。
「悪いけど、薬飲みたいから水もらえるかな。」
「待ってて!」
元貴は部屋を飛び出して行った。その間にバッグの中から薬を取り出す。
「涼ちゃん!常温の方がいい?冷たいのもあるよ。」
水のペットボトルを2本持った元貴が走って戻って来た。
「常温貰おうかな。」
蓋を開けて渡してくれた水で薬を飲む。胃のあたりの違和感はとりあえず落ち着いた。
「ごめん。涼ちゃんの気持ち考えずに先走っちゃって…。涼ちゃんがつらいなら、今日はキャンセルしよう。俺が予定できて無理になったって風磨君には言うから。」
「ううん。大丈夫。元貴もこんなに頑張ってくれたし、今日はきっといい思い出になるよ。」
「…。」
元貴は何か言いたげな表情だったが何も言わずに口を噤んだ。
その後、いくつか用意されていた服や小物をフィッティング(される)
「元貴さん?なぜ僕サイズの服があるの?」
「前TV収録とかでいいなって思たのをうちのチームの衣装さんに記録してもらってたんだよ。いつか何かで使えるかなって。で、昨日急いで揃えてもらった。もうすでに買い取ってるから汚しても大丈夫だよ。」
「何故そこまで。」
「勝手な俺の罪滅ぼしもあるんだけど、「うちの涼ちゃん見て!綺麗でしょ!!」って風磨君に自慢したいのもある。」
「ふふふ。なにそれ。」
「若井のことももちろん大切だけど、俺にとって涼ちゃんも大切な人なんだよ。だから、幸せになってもらいたいし、幸せにしてくれる人と幸せになってほしい。」
「お母さん…?」
「誰がお母さんや。」
予定時刻、店の前。
「涼ちゃん、吐き気大丈夫?」
「大丈夫。強めの飲んだから。」
「強め…。」
不安そうに僕を見る元貴。珍しいその表情に、ちょっとからかいたくなる。
「副作用出たらごめんね…。」
「副作用って…?」
「若井から聞いてない?」
「聞いてない…。」
「…。」
「え、怖いんだけど。」
「突然意識を失うんだよ。」
「え?!」
「階段の上とかでいきなり意識失ったら…。」
「今日は絶対一人で行動しないでよ!」
「あはは、元貴。実はーーー。」
ネタバレしようとした時
「お疲れ様です。」
菊池さんが現れた。
「あ、風磨君!お疲れ様。」
「菊池さん、お疲れ様です。」
ドクン、と胸が高鳴ったが、薬が効いてるのか吐き気は抑えられてるようだ。
「藤澤さん、お久しぶりですね。」
「本当ですね。なかなか会うこともないですし。」
「もっきーにずっと言ってたんですよ。”藤澤さん紹介して”って。」
「ごめんて。風磨君いつも冗談っぽく言うから本気にしてなかったんだよ。」
立ち話もなんだからと早速店の中に入る。スーツ着たスタッフに完全個室に案内された。
「ここニノさんとたまに来るとこじゃん。」
菊池さんの言葉に、元貴もうなずき
「芸能人御用達ってやつ?ニノさんに紹介してもらった。」
「ガチのお見合いみたい。」
「お見合いみたいなもんでしょ。」
「なら元貴君は仲人?」
「後は若いお二人でって言って退席した方がいい?」
「元貴君が一番若いじゃん。てかそこは俺が”離席してもらっていい?”って言うわ。」
「その弄りめっちゃ擦るねぇ。」
菊池さんと元貴会話している間に、和食のコースが運ばれてきた。
「お疲れさまでした。かんぱーい。」
元貴が音頭を取って乾杯する。菊池さんは明日から海外で朝寝坊できないとのことで、今日はみんなジュースにした。
「今日の目的は涼ちゃんと風磨君を引き合わせることだからね。」
「えーっとじゃぁ藤澤さんご趣味は?みたいなことした方がいいの(笑)」
「あはは。なんか改まってだと照れますね。」
「藤澤さん敬語なしでいいですよ。俺のが年下だし。」
「なら菊池さんも敬語なしで。」
「風磨君も涼ちゃん呼びしていいよ。」
「”涼ちゃん”呼びは元貴君の許可必要なんだね。」
「そうだね。俺がOK出した人しか駄目かな(笑)」
「怖っ。てか俺の周り”涼ちゃん”いるしなぁ。”涼架さん”は?」
言われなれない呼び方、しかもそれが好きな人からとかトキメかないわけない。
「あ、じゃあ僕も”風磨さん”って呼ぼうかな。」
周りが呼ばない呼び方は、なんか特別感あっていい。
「それいいっすね!なんか特別感あって。」
同じこと考えたなんてそんな些細なことでも嬉しくなるし、ニコニコしてる風磨さんを見るとこっちもニコニコしてしまう。
食事が進んでいき、緊張でうまく話せない僕に代わり、主に元貴が回してくれた。
「ちょっとお手洗いに行ってきます。」
一旦落ち着きたかったから途中離席する。
(緊張する…。)
元貴がいてくれるから何とかなってるけど、これ二人だったら花を吐くどころじゃない。貴重な時間を終わらせたくないと思う反面、やっぱり風磨さんはかっこよくて素敵で一緒に居ると胸が苦しくなる。
(戻るか…。)
夢はあと少しで終わる
なら最後までいい夢を見よう
準備してくれた元貴の為にも
トイレを出て部屋に入ろうと扉に手を掛けた瞬間
「元貴君、マジで勘弁してくんない?!」
中から風磨さんの声が聞こえてきた。
そうだ。自惚れてはいけない。”紹介して欲しい”ってのは僕自身に興味があるんじゃない。”元貴の近くに居る僕”に興味があるだけだ。
(分かってる。分かってたはずなのに…。)
手先が冷たく感じる。そして、その冷たさがじわじわと全身に広がっていくような感覚を覚えた。
*K視点*
涼架さんが席を立ってから、元貴君がニヤニヤしながら聞いてきた。
「どう?今日の涼ちゃん。」
「化粧は…してるよね?」
「薄くね。我ながら上出来だと思う。」
「元貴君がしたの?」
「まぁね。」
「ふーん。」
メンバーだし、友達だし、珍しくないんだろうけど。なんか面白くない。
「嫉妬してるの?」
「別に。」
「罪な男だねぇ涼ちゃん。」
「ねぇ、涼架さんって俺の気持ち知ってんの?」
「あの様子だと気づいてないね。」
「そっか。つまり脈なしか…。」
今日だけでもあからさまなアピールアプローチはあの手この手でしてきた。けど、涼架さんはニコニコしてるだけで響いている様子はなかった。
「風磨君もポンコツなの?」
「は?」
「俺涼ちゃんに言われたんだよ。頭いいのに恋愛に対してはポンコツだって。お前が言うなって感じだけどね。」
「元貴君何したの?」
「風磨君には言っちゃうけど、俺と若井お互い両片思い拗らせちゃってて。」
「へー、若井君と。……若井君と両片思い…?」
「今はちゃんと両想いだから。」
「なるほど。だから俺の涼架さんへのことも抵抗なく受け入れてくれたってわけね。」
「涼ちゃんも風磨君のことまんざらじゃないと思うよ。だからさっさと告白してWデートしようよ。」
「簡単に言うなよ…。」
「風磨君がうじうじしてるんなら、涼ちゃんと仲良しの阿部さんの方を押そうかなぁ。」
「元貴君、マジで勘弁してくんない?!」
思わず大きな声が出てしまった。
「早くしないと阿部さんに取られるよ?」
「シャレになってねーのよ。あんな素敵な人、背後に元貴君いるからみんな迂闊に手が出せなかったのに、阿部ちゃんしれっと抜け駆けしてるし。」
「涼ちゃん向日葵のくせに自分は雑草と思い込んでるような人だから。」
「なんとなくわかるわ…。今日だってあんだけ綺麗で、ふわふわ可愛い笑顔で俺の話もちゃんと聞いてくれて。無防備すぎて虫寄ってきたい放題じゃん。見た?来るスタッフ来るスタッフ男女問わず涼架さん超盗み見てんの!」
「だから早く告れって。」
「むりー。心臓爆発する!てかまともに目合わせらんないよ…。はぁ、マジ…好きすぎる..。」
そういえば涼架さんトイレにしては遅くない?俺がちらりと扉に目を向けた瞬間、元貴君はハッとして立ち上がった。
「涼ちゃん?!」
「え?どうしたの?!」
「副作用かもっ。」
「副作用?」
元貴君が扉を開けると、まさに取っ手に手をかけようとしている状態の涼架さんがいた。
「涼ちゃん大丈夫?!」
「え、あ、うん。大丈夫….なんだけど…。」
涼架さんは顔を真っ赤にさせて俯いてしまった。
「さっき元貴君が副作用が何とかって言ってたけど、涼架さん何か薬飲んでるの?」
「えっと、その前に。元貴ちょっとだけ離席してくれる?」
「「え?」」
まさかあのネタを涼架さんが言うなんて。
「…なるほど、大体分かった。風磨君、5分ほどお手洗いに行ってくるわ。」
何が分かったのか、涼架さんと入れ違いで元貴君は部屋を出て行った。
「あの、さっき元貴と風磨さんが話してるの聞いちゃって…。」
「マジ…?」
俺何言ったっけ?かなり恥ずかしいこと言った気がする…。
(ええいままよ!男は度胸だ!)
いつまでもうじうじしてるよりさっさと砕けてすっきりさせた方がいい。ちょうど明日から海外だし、仕事の傍ら傷心を癒してこよう。
「俺、ずっと涼架さんのこと好きでした。是非、俺と付き合ってください!」
”ごめんなさい”を覚悟していると
「僕も風磨さん大好きだから嬉しい。」
「え?!」
見ると、涼架さんがそれはそれは綺麗に涙を流していた。思わず見とれていると
「ごほっ、ごほっ。」
何と藤澤さんが白銀の…花?を吐き出した。
「え?!」
「驚かせてごめんね。僕、実は花吐き病にかかってたんだ。」
「花吐き病…?」
「正式には嘔吐中枢花被性疾患って言って症状が花を吐くことから通称”花吐き病”。片思い拗らせたら発症する可能性が高いみたいで。」
「片思い…?え…どっきり?」
日々どっきり仕掛けられてる身としては疑心暗鬼になってしまう。
「どっきりならよかったんだけどね…。」
涼架さんは悲しそうにほほ笑んだ。俺がその顔をさせてしまったかと思うとズキリと胸が痛む。
「ごめんなさい。無神経なこと言いました。」
「ううん。知らない人にとっては当然だよ。この花吐き病って治療法は見つかっていなくて、吐き続けるとそのうち体力を奪われて死んでしまうこともあるんだって。」
「え?その手に持ってる花を吐き続けて死ぬってこと?」
「これは、完治したら最後に吐く白銀の百合だよ。これを吐いたら病気治ったよってお知らせ。」
「治療法はないんじゃ…?」
「治療法ないんだけどね、片思い相手と両想いになったら完治するんだよ。」
「片思いが…両想い…。」
唖然としていると、5分経ったのか元貴君が戻って来た。
「あ、白銀の百合。涼ちゃん完治したんだね!」
「うん!」
「よかった!!あ、写真撮っていい?若井心配してたから。」
「いいよー。」
「あ、風磨君も涼ちゃんの横に立って!」
「え?あ、うん。」
涼架さんの隣に立ち、元貴君は俺達にスマホのカメラを向けた。その顔は涙を我慢しているような、でも若干我慢しきれずに瞳をウルウルさせていた。
「よかったね、涼ちゃん!」
「うん。」
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑む涼架さん。
俺、この人絶対幸せにする。
「元貴君、いえ、お母さん。涼架さんを僕にください!」
「誰がお母さんや。」
【終】
なんか途中まで若干O×Fっぽかった…?
某書き手様のところで風磨君が”涼架さん”呼びしてるの見ていいなぁって思って…
”風磨さん”呼びは書いててしっくりこなかったけど”風君”風ちゃん”どれもしっくりこなかったからもう”風磨さん”でいっかなってなりました。