幼い頃の夏。夕陽が照らす公園で交わした約束。
〈これからも、大人になっても、ずっと親友だよ‼︎〉
『はいはいw約束だよw』
そんな約束を交わしたのに。ある冬の…雪が降っていた日に、僕と君の軌跡は別れた。
{おらふくんが転校する事になりました。}
『おらふくんの嘘つきっ…‼︎おらふくんなんてっ…大っ嫌い‼︎』
そう怒鳴って、大急ぎで振り向かずに帰る。そうじゃないと、君の目の前で泣いてしまいそうだから。後悔しそうだから。振り返らずに走る。
家に帰って、せっかくおらふくんに渡そうと思っていた物を投げつける。
もう…おらふくんに逢えないのか。涙が流れる。
翌日、学校に行くと、おらふくんは…おらふくんの席はもうなかった。
あれから…10年。君は今、何をしているかな?
俺は…今後悔してるかな。
逢いたいな。
伝わらない想いが君に届いてほしいと願う。何度君のような人を見て君を思い出したか。
もしかしたら逢えるかな…そんな淡い期待を抱く。
でもやっぱり君に逢うことなんてなくて、期待は打ち砕かれる。
今日も、 いつもの階段を登る。
すると、前から革靴を履いた人が降りてくる。
前を向くと、銀のサラサラな髪、宝石のように輝いた蒼い瞳。
白いコートを着ていて、マフラーを巻いている。
そのマフラーは、ほつれて、ところどころボロボロだ。明らかに使い古されている。
でも、それを気にしないくらいにに美しい赤色だった。
まるでおらふくんに幼い頃に渡したマフラーのようだ。そして…はっとする。
おらふ…くん?後ろを振り向くと、君はもう向こうにいる。急いで追いかける。
階段を駆け降りる。
『…おらふくん…?』
〈おんりーっ⁉︎〉
君は白い息を吐きながら、こっちを振り向く。
『10年ぶり…か』
『あの…さ、あの時、ごめんね。』
〈ううん。もういいの。元はといえば僕が嘘をついたのは変わらないし。〉
人生の軌跡は途中から別れてしまった。でも、君に逢えたのが奇跡だ。
雪がちらつく街。 ここは田舎の実家付近でもないし、自分たちは中学生でもない。
今立っているのは東京の都心だし、もう23 歳だ。でも、雪が降っている今日。
運命的な再会を果たした、自分たちの友情は10年前の13歳で止まっている。
ありがとう。涙が流れる。
2人で抱き合う。自分は泣いているし、君も泣いている。
これから、10年間を埋めようね。楽しい日々で、埋め尽くそうね。
「僕のこと」を聴きながら読むとジワる。
コメント
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外出先で見つけた修正しなくてはいけないところ 7行目「軌跡」が「奇跡」になっている 53行目「10年」が「20年」になっている 家帰ったら更新します!