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昔、まだ何者でもなかった頃。
サンウォンとリオは、同じ小さな練習室で夢を語っていた。
リ「絶対一緒にデビューしような」
夜遅くまでダンスを練習して、ボロボロになりながら笑った。
あの頃、世界は二人だけだった。
でも_
リオは途中で諦めた。
怪我、家の事情、現実。
いろんなものに押し潰されて、彼は事務所を辞めた。
それから数年。
サンウォンは
世界的に人気のアイドルになった。
テレビ、雑誌、ライブ、ファン。
誰もが彼を「完璧」と言った。
だけど。
ある日、会社帰りのリオが電車の広告で見た。
巨大なポスター。
そこにいたのは
昔と同じ顔をしたサンウォンだった。
笑っているのに、
目だけが全然笑っていない。
数日後。
リオの会社に
突然電話が来た。
「芸能関係の方が面会を…」
会議室のドアを開けると_
サンウォンがいた。
キャップを深く被って、マスクをして。
サ「ヒョン、久しぶり」
その声は
昔と同じだった。
リオは固まった。
リ「…なんでここに」
サンウォンはゆっくりマスクを外した。
そして、笑った。
でもその笑い方は
アイドルの笑顔じゃなかった。
サ「やっと見つけた」
リオの心臓が跳ねる。
リ「……は?」
サ「俺、ずっと探してた」
机に手をついて、サンウォンが距離を詰める。
サ「なんで勝手に消えたの」
声は静かだけど
怒りと執着が混ざっていた。
サ「僕ら、一緒にデビューする約束だったよね?」
リオは目を逸らす。
リ「…もう昔の話だろ」
その瞬間。
サンウォンの手が
リオのネクタイを掴んだ。
ぐっと引き寄せる。
サ「昔?」
耳元で囁く。
サ「僕は一度も終わらせた覚えないけど」
リオの呼吸が止まる。
リ「サンウォン、離せ…」
サ「嫌だ」
即答だった。
サ「ヒョン、僕を置いて普通に生きてるの?」
声が震えている。
サ「会社員?
スーツ着て、他人みたいに生きてるの?」
サンウォンの指が
リオの頬に触れる。
サ「僕はさ」
低い声。
サ「ステージに立つたび思うんだよ」
一瞬、笑う。
でも目は狂気みたいに暗い。
サ「隣にいるはずだったの、誰だっけって」
リオの胸が痛む。
リ「……もう無理なんだよ」
サ「何が?」
リ「俺はアイドルになれなかった」
サンウォンの目が細くなる。
サ「だから?」
リ「だから…」
リオが言い終わる前に。
サンウォンが
唇を塞いだ。
リ「んぐッ?!」
強引で、荒いキス。
リ「ん”ん…///」
息ができないくらい。
離れたあと、サンウォンは囁く。
サ「じゃあさ」
目を見て言う。
サ「僕の人生の方に戻ってきなよ」
リオが呆然とする。
サンウォンは笑った。
サ「逃げた罰」
耳元で。
サ**「一生かけて払って。」**
サンウォンにキスされたあと、
リオは乱れた呼吸のまま彼を押し返した。
リ「…ふざけんな」
ネクタイを直しながら睨む。
リ「俺はもう関係ないんだよ、お前の世界に」
サンウォンは少し首を傾けた。
サ「関係ない?」
小さく笑う。
サ「嘘つくの下手だよな、リオ」
リオは眉を寄せる。
サンウォンはポケットからスマホを出した。
画面をリオの前に見せる。
そこには――
昔の動画。
練習室で踊っている二人。
息を切らしながら笑っているリオとサンウォン。
サ「覚えてる?」
サンウォンの声はやけに優しい。
サ「これ、僕のスマホにずっと入ってる」
リオの胸がざわつく。
リ「……消して」
サ「なんで?」
リ「もう終わったからだ」
その瞬間。
サンウォンの表情が
一気に冷えた。
サ「終わったのは」
ゆっくり言う。
サ「ヒョンが逃げたからでしょ。」
空気が重くなる。
サ「俺はまだ途中なんだけど」
リオは拳を握る。
リ「…俺はもう普通の生活してんだよ」
サ「普通?」
サンウォンが一歩近づく。
サ「朝起きて、会社行って、上司に頭下げて、帰って寝る?」
そして、リオの耳元で囁く。
サ「それ、本当にヒョンが欲しかった人生?」
リオの呼吸が止まる。
沈黙。
数秒後。
リオが低く言った。
リ「…お前には関係ない」
その言葉で。
サンウォンの理性が
切れた。
腕を掴まれる。
壁に押し付けられた。
リ「い”ッ!」
サ「関係ある」
低い声。
サ「めちゃくちゃある」
サンウォンの額が
リオの肩に触れる。
サ「俺さ」
息が少し震えている。
サ「デビューした日も、初めて1位取った日も」
顔を上げる。
サ「全部思った」
目が狂気みたいに光る。
サ「リオがいない」
リオは言葉を失う。
サ「隣、空いてるんだよ」
サンウォンの手がリオの腰を掴む。
サ「全部意味ない」
そして。
唇を近づける。
サ「ヒョンいないなら」
リオが震えた声で言う。
リ「…サンウォン」
サ「ん?」
リ「俺、もう23だぞ」
サ「知ってる」
リ「アイドルなんて無理だ」
サンウォンは笑った。
サ「誰がアイドルに戻れって言った?」
リオが目を見開く。
サンウォンは囁く。
サ「僕のそばに居てって言ってんの」
リ「……は?」
サ「マネージャーでも、スタッフでも、なんでもいい」
指が頬をなぞる。
サ「逃げた分、今度は逃がさない」
リオは怒る。
リ「そんなの無理に決まって」
言い終わる前に
サンウォンがまたキスをした。
リ「んぁ…///」
今度はゆっくり。
執着が混ざったキス。
離れたあと、サンウォンは言う。
サ「拒否権ないよ」
リ「……なんで」
サンウォンは小さく笑った。
サ「だって」
耳元で囁く。
サ「僕、まだヒョンのこと好きだから」
静かな告白。
でも。
その腕は
逃げられないくらい強くリオを抱きしめていた。
リオは必死に身を引く。
リ「サンウォン、やめろ…俺には生活がある!」
低く震える声。
だがサンウォンは全く動じない。
サ「生活?」
一歩近づく。
その目は、笑っているようで、全然笑っていなかった。
サ「会社員? その“普通の生活”?
僕のそばにいない生活?」
リオは息を詰める。
リ「関係ないだろ…!」
サンウォンはスマホを取り出した。
画面には芸能事務所のスタッフ募集ページが開かれている。
サ「僕のチーム、マネージャー補助の空きがある。やらない?」
リ「は? なにそれ…!」
リオは驚きながら後ずさる。
だがサンウォンはもう一歩近づき、壁とリオの間に立った。
サ「やらないって言っても無理だよ」
指がリオの肩に触れる。
サ「僕のそばにいるための仕事。逃げられない」
リオは思わず目を逸らす。
リ「……そんなの、囲ってるだけだろ」
サ「うん」
サンウォンは素直に認めた。
そして少し楽しそうに笑う。
サ「囲ってる。でも、それがいい。僕、もう
一度ヒョンを失えないから」
リオは唇を噛む。
リ「…家も仕事も同じ? ふざけんな!」
サンウォンは肩をすくめる。
サ「マンションも用意したよ。同じ階。隣の部屋」
リオの目が見開く。
リ「ちょっと待って! 勝手に契約とかありえないだろ!」
サンウォンは静かに近づき、耳元で囁く。
サ「逃げないでね、リオ。今度は絶対に離さない」
リオは思わず震える。
リ「…俺、スタッフだけだから。仕事以外の関係は絶対なしだ」
サンウォンは笑った。
サ「わかってる。でも、時間が経てばまた好きになる。僕は待つよ」
リオはその言葉に、どう答えていいかわからなくなる。
サンウォンの指がリオの頬をそっとなぞる。
サ「家も仕事も全部僕のそばにある。僕だけのリオ」
リオは逃げ場がないことを実感する。
でも、なぜか心臓が早くなる。