中也愛され
中也女体化
転生
太中/ 敦中/ 芥中
※今回は要素無···▸ 次回有
ヒロアカ改変有
❥𝑠𝑡𝑎𝑟𝑡❥
あのUSJ事件が起きた翌日、雄英高校は臨時休校になった。
生徒たちの気は休まらなかったが、それでも、休校明けの雄英高校は、事件があったことを疑うくらいには明るかった。
高校生と言えども、ヒーロー志望なだけあって、そこそこ頑丈なメンタルを持っている生徒が多いのかもしれない。
しかし、被害に遭った1年A組はかなり気を落としているようだ。
朝のHR前の教室は何時もよりも静かで、落ち着かない様子だった。
唯一、まだ来ていない中原中也の席を心配そうに見つめる生徒も複数人いる。
そんな中
「皆―!!朝のHRが始まる
席に着け―!!」
と、飯田天哉の声が響く。
いつも通りのハキハキと明るい声に、生徒たちは
「ついてるよ
ついてねーのおめーだけだ」
とツッコむ。
それだけで、幾分か教室内の雰囲気が明るくなったように感じられた。
そこに、真っ黒な装いの男_相澤消太が、教室の戸を開いて入ってくる。
その復帰の速さに驚きつつ、生徒は少し安心する。
心配と驚きの声に迎えられながら、相澤が教壇に立つ。
相澤が少し話した後、明るい茶髪の少し丸顔の少女_麗日お茶子が、おずおずと手を挙げた。
「先生、中也ちゃんは……」
そこまで言ったはいいものの、その後の言葉が出てこない。
相澤はチラリと中也の席を見たあと、「……欠席だ」と一言だけ返した。
生徒の額に嫌な汗が滲む。
少しの間が空いた後に、
「近々復帰できる見込みはあるのですか!!」
と飯田が質問する。
表情こそ変わらないが、何時もより声が大きく、少し話す速度が早い。
彼も不安なのだろう。
相澤は少し考えこんだ後に、
「リカバリーガールと森医師が『最善』を尽くしているから、直ぐに復帰できるだろうが……あまり過度な期待はしない方がいい。」
と返した。
『あまり過度な期待はしない方がいい』
という言葉が、生徒の心に重く伸し掛る。
彼女はA組の中でもトップクラスの強さを誇る生徒である。
そんな彼女が、まだ復帰していない。
じわじわと、生徒の心に焦りと恐怖が広がる。
お茶子が最悪の事態になることを想像をし始めた頃、それを遮るように相澤の声が教室に響いた。
「……まァ暗い話は一旦ここまでにしようか。
お前らに伝えなくちゃいけない話が2つあってな。
………太宰、中島、芥川、入っていいぞ。」
聞き覚えのない名前が並べられる。
一体誰なんだろうか、と生徒が首を傾げていると、容姿の整った3人の少年が戸を開いて入って来る。
その顔を見て、殆どの生徒が反射的に戦闘態勢をとる。
「おいこれはどういうことだ!!
なンでヴィラン側の奴らがここにいるんだァ!?」
イラついた様子で爆豪勝己が怒鳴り声をあげる。
続けて
「………ヴィラン側の人間が何故雄英高校の制服を…… 」
と轟焦凍が呟く。
他の生徒も皆、3人を敵としてみなしていた。
あの日、3人が雄英生を攻撃した訳ではない。
寧ろヒーロー側に有利になる状況を作り上げていた。
然し、3人が完全にヒーロー側という確証はない。
生徒たちが殺気立つのも仕方のないことだ。
だが、自分達に向けて疑いの目を向けてくる生徒たちを見ても、太宰達3人は顔色を全く変えなかった。
その様子が、更に生徒の混乱を加速させた。
「………戦闘態勢を解け。此奴等はヴィランではない。」
数分が経過しても一向に戦闘態勢を解こうとしない生徒達に痺れを切らしたのか、相澤が溜息をつきながら指示を出す。
生徒達は渋々といった様子で席に着き直し、静かになった。
が、相澤の次の一言でまた騒がしくなる。
「この3人は、今日からA組の生徒だ」
相澤の衝撃的な発言に、生徒達は驚きを隠せなかった。
爆豪勝己や飯田天哉を中心に反論する者も居る。
「静かに。まだ話は終わっていない」
相澤が少しイラついた様子で言うと、教室は一気に静まり返った。
「まァ驚くのも分かる。が、話は最後まで聞け。時間が勿体ない。
……此奴等は確かにヴィラン側だったが、其れは此奴等の意思ではない。
強制的に力を利用されていた、 ある種の被害者だ。
だから、『保護対象』という名目で雄英に置くことになった。」
そこですかさず
「彼等が諜報員の可能性もあるのではないでしょうか!!第一、雄英の入試試験を受けていない彼等を、同じヒーロー志望の雄英生として扱っていいのでしょうか!!」
と飯田が質問する。
「……ごもっともな意見だね。ようやくまともな会話ができそうだ」
と、飯田の質問に答えたのは、相澤ではなく太宰だった。
そしてその横で
「太宰さん、最後のはちょっと……」
と、敦が苦笑いをしている。
相澤も
「あまり挑発的な態度をするな、余計に面倒なことになる」
と、面倒臭そうに顔を顰めた。
だが、そんなのはお構いなしに太宰は続ける。
「確かに、私達が諜報員じゃない証拠も、ただの被害者だという証拠も、何一つない。
ヒーローを目指している訳でもない。
でも、『だからこそ』、ヒーロー達は雄英高校に置いておきたいんじゃないかな。
ここなら、保護という名目で監視できるからね。
そうでしょう?相澤さん」
そう言って相澤に話を振った太宰の顔には冷たい笑顔が浮かべられている。
相澤は
「……そうかもしれないな。」
とだけ返して、また大きな溜息を着き、
「まァ、もう決まったことだ。お前等がいくら反対しようが、此奴等が雄英生になるのは変わらない。
敵対しても無駄だ。」
と続ける。
そして、太宰もそれに頷きながら口を開く。
「そうそう、私達だって急に連れてこられて混乱しているんだ。
優しくしてもらわないも困るよ。
それに、君達ヒーロー志望なんでしょ?それならもう少し柔軟に_」
太宰が失礼な発言をしようとした気配を察知した敦が、慌てて太宰の口を塞ぐ。
「す、すみません!!気にしないでください、本当に何でもないので……!!」
そう言って何とかなかったことにしようとするが、
「あ”ァ??喧嘩売ってんのかテメェ”!!」
と、爆豪に一喝されてしまう。
爆豪の態度が癪に障った芥川が、ギロリと鋭い視線で睨みつける。
また騒ぎになりそうだと思った相澤は、そうなる前に爆豪を黙らせ、場を収める。
そしてある程度落ち着くと、
「じゃあ……3人は自己紹介でもしろ。
仮にもA組の一員となる訳だ。これから友好的か関係を築いてもらわないと俺が困る」
と言った。
一番最初に口を開いたのは、矢張り太宰であった。
「1年A組の諸君、初めまして。
私は太宰。太宰治。
趣味は自殺。夢は美女との心中。
【個性】は【個性】無効化。
つまり、君たちの攻撃はほとんど私には効かない。
敵対視するのは構わないけど、私を攻撃するのはあまりオススメしないね。
言っておくけど、私は君達に味方する気もないし、敵対する気もない。
以上。」
にこにことテンポよく話しているが、内容は明るいものではない。
殆どの生徒が「趣味自殺、夢は心中ってなんだよ」とツッコんでいる。
そして次に口を開いたのは敦だった。
気まずそうに頬をかきながら
「中島敦、です。
……えっと…【個性】は月下獣で、白虎になれます。
僕も敵対するつもりはないです。
よろしくお願いします…?」
と、自信なさげな笑顔を浮かべて言った。
挑発的な態度の太宰と、何も言わない芥川に比べて、比較的親しみやすい雰囲気の敦に、A組はホッとした。
芥川は我関せずという顔で、何も言わずに太宰の斜め後ろに立っている。
相澤が呆れた様子で「芥川、自己紹介くらいはしろ」と言う。
芥川は渋々自己紹介をしたが、
「僕の名は芥川龍之介。
貴様等と馴れ合うつもりはない。 」
としか言わなかった。
教室の空気がピリついたのを感じた敦は、
「嗚呼、何でこうなるかなぁ」
と思いながら遠い目をする。
そんなに敵対視する必要はないのに、いや、気持ちは分からなくはないけど……。
もっとこう、穏便にいけないものだろうか。
相澤も、この空気が鬱陶しくなったのか、
「最初から敵意を向き出すな。ヴィラン側と勘違いされたくないなら尚更だ。
……ハァ、せめてもう少し友好的な態度にできないのか?」
と呆れ気味に言う。
「ねー!相澤先生もやっぱりそう思うよねー!?折角イケメンなのにさー!アタシ達と仲良くしようよー!! 」
桃色の髪の少女_芦戸三奈が明るくハイテンションな声で言う。
ピリついていた空気がふっと和らぎ、視線が彼女に集中する。
「そうね。折角出会えたんだもの。仲良くしたいわ」
そう言って、蛙吹梅雨が芦戸の発言を肯定する。
「まァ確かになー、これから一緒に過ごすわけだし!!仲良くしたいよ、俺は!!」
蛙吹の言葉に続けて、目をキラキラと輝かせた金髪の少年_上鳴電気がそう言う。
次第に声をあげる生徒が増えていき、教室が騒がしくなる。
勿論、未だに警戒心を剥き出しにしたままの生徒もいるが。
一気に騒がしくなった教室に、相澤は少し顔を顰めながら
「じゃァ質問コーナーでも何でもしろ。
但し、話は15分きっかりで終わらせること。
まだ話すことがあるからな。いいな?」
と言う。
どうやら、1度騒ぎだした生徒たちを沈めるのは無理だと判断したようだ。
先程の言葉に多くの生徒達は目を輝かせる。
そして怒涛の質問攻めが始まる。
楽しそうな生徒達とは対照的に、太宰・敦・芥川の3人は遠い目をしていた。
₊˚⊹ 𐦍༘⋆₊ ⊹
終了です!!
約4,000文字、お疲れ様でした。
前回、姐さんが言っていた強くなる方法は、確定ではありませんが、数話後に書く予定です🙂↕️ྀི
次回は生徒たちの怒涛の質問攻めと、ヒロアカ本編に沿った話になると思います。
進路が安定してきたので、これからは投稿頻度が少し増えるかもしれないです。
楽しみに待っていただければ幸いです!!
それでは、また次のお話でお会いしましょう🕊𓈒𓏸︎︎︎︎
コメント
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まって、やっと2話更新されてた!!ありがとうごさいます!