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セリちゃん告白事件(萩原命名)が起きて数日。移動教室から帰ってきていつも通り授業を受けていると、
クシャッ
机の中から紙が潰れた音がした。可笑しいな。資料とかはファイルに入れてるはずなんだけど。不審に思いながら紙を確認する。
「は?」
「どうした五条。何か質問か?」
「いえ。なんでもないです」
何これ。そこには[好きです]と書かれた紙。私は書いた記憶は無いし、私の筆跡でも無い。残念ながら残穢が残っていないから誰からのものか分からない。と言うかこの紙が入っている意図が全く読めない。なんだこれ。ゴミか?てか相手私だって分かってやってる?とりあえずポケットに入れた。部屋のゴミ箱に捨てるか。
授業終わり。
「セリ珍しいな。授業中起きてるなんて」
さっきの紙のことを考えていたらね。
「そ?」
「なんか言ってたし、なんかあったか?」
「んーん。なんも」
紙のことはまだよく分からないし、みんなに言うほどのことでも無い。
「早く食堂行こうぜ。席埋まっちまう」
「ほーい」
今日はハンバーグ定食にした。
「いただきます」
「セリはハンバーグか」
「うん」
「昔から好きだもんね」
「ハンバーグはまじ美味い」
「セリ意外と子供舌なんだな?」
「ハンバーグ好きなだけで子供判定しないでくださーい」
「セリちゃん可愛いね」
「班長ー。萩原がわけわかんなーい」
なんでも無いように会話しているが後ろから視線を感じる。いつも感じる視線とはまた別の含みを持った視線。まさか紙の送り主?そっと周りを確認してみるが相手が一般人だからか呪力を込められてるわけでも無いから、この多人数の中から探し出すのは困難だ。
「五条?」
「!、何班長」
考えすぎて周りのことを考えてなかった。
「さっきっからぼーっとしてるが大丈夫か?」
「ん、大丈夫。ちょっと考え事」
「そうか?なんかあったら言えよ?」
「流石班長!頼りにしてる!!」
翌日。移動教室から帰ってきて席に着き教科書類を机に入れると、
クシャッ
また紙の感じがする。また紙を確認すると[五条芹那さん、貴方が好きです]と書かれている。気味が悪い。誰だ。名前が書いてあることからターゲットが私であることはもう明白だ。目的が分からない。何がしたいの?また紙をポケットに入れる。そして授業が始まる。この授業で分かったこと、それは昨日の昼にあった含みを持つ視線を感じないこと。と言うことはこの紙の送り主は他教場の人間。おまけに紙が入っているのは移動教室後。
「起立!礼!」
授業が終わった。
「セリ、起きてるなんて偉いな」
「へへっ、そうでしょー」
「それが普通なんだがな」
「寝てんのに成績優秀なんだから、セリちゃん凄いよね」
「まあ、ね…!」
私はバッと勢いよく廊下の方へ振り向いた。誰も居ない。
「セリ?」
今、思い切りあの視線を感じた。
「セリ?」
ああ、嫌だ。思い出してしまう。昔から命を狙われているから視線には敏感だ。
「セリ!!」
「!、どうした松田」
「どうしたじゃねーよ。急に声届かなくなりやがって」
「セリ、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと考え事してた」
「そんな急にか?」
「うん、まあ」
もしかして、暗殺の新たな手段か?それなら無限張っといた方がいいか?でも不審がられるのも面倒だな。
「何かあったら言ってよね!」
「ありがとう萩原」
また翌日、移動教室後。
クシャッ
まただ。そっと紙を確認する。
「!」
[降谷達に近づくな]
脅迫に変わった。どう言うことだ。私の暗殺ではなさそうだけど。達と言うことはあの5人のことだろう。近づくなって言われても、班同じだし。どうするか。最低限の接触のみにするか。でももうあいつらとは友達だ。ゼロとヒロに関しては付き合いはもう十数年だ。なんで指図されなきゃいけないんだ?なんだか腹立ってきたな。よし!無視しよう!
その日の昼。
「班長ー。そこのソース取ってー」
「あいよ」
「あんがと」
いつも通り6人で昼食を取る。感じる。あの視線を。一体何が目的なんだ。
翌日、移動教室後。
クシャッ
まただ。今度は何?
[降谷達がどうなってもいいのか]
「っ、」
狙いは私じゃなくみんな?いや、違う。多分嫉妬だ。私が他の人、と言ってもあの5人しか居ないけど。と仲良くするのに腹が立ってるんだ。はあ?なんでだよキモイんだよ。でも、みんなに迷惑がかかるのは嫌だ。
「はあ…」
「起立!礼!」
「セリちゃー、ん?あれ?セリちゃんは?」
「五条なら授業終わってすぐ教室出てったぞ」
「めっずらしー」
私はその脅迫文が来てから5人を避けるようになった。犯人の思う壺なのは分かってる。でも、迷惑被るなら私だけでいい。可能性は低いがもし呪詛師の仕業だったら、みんなを巻き込むわけにはもっといかない。可能性は微塵もないけれど。