侑視点
─帰り道─
2人並んで歩いた帰り道。治と俺は近所に住んでいるが、途中で帰宅路が分かれる。
「じゃ、またな治」
「また明日」
こんな歳になってもなお、お互いが見えなくなるまで手を振る。幼い頃からやってきたのだ。今更変える方がおかしい。
また歩き出して、もうすぐ家に着く頃 。
いつもとは違う違和感を感じた。上手く言葉に表せないが、 強いていえば、誰かに見られているような、そんな感覚。ねっとりとした、少し気持ち悪いような。
思い切って後ろを振り返ってみた。
「…?」
誰も居ない。しんと静まり返った住宅街がちょっと不気味に感じた。いつもの街並みなのに、おかしいな。
思っていたよりも朝の手紙のことに気にしていたのかもしれない。
忘れてしまおう、あんなことなんて。
気持ちを切り替えたくて、そのまま家まで走って帰った。
──────
─次の日─
今日もまた下駄箱にあの手紙が入っていた。気にせずに捨てればいいだけの話だが、なぜか気になってしまう。
恐る恐る開け、中身を出した。
「..! な、なんでッ..?」
そこにはこう書いてあった。
風呂で歌歌っとんの可愛ええ。
○○って曲やっけ、好きなんやな。
なぜ知っているのかという疑問が先に浮かんだ。でもすぐにそんなことはどうでもよくなり、一気に恐怖に包まれた。
(ストーカー..?気色悪いッ..)
明らかにおかしい手紙の内容に吐き気がする。頭の中がグルグル渦巻くようだ。
「…侑?」
治の呼ぶ声ではっと我に返る。
だめだ、治には心配をかけたくない。バレないようにしないと。
「大丈夫か?さっきから黙り込んで…て、顔色わる!」
「いや、なんも無い!朝食食いそびれたからや、多分(笑」
「おにぎりあんで、あげよか?」
「治のが無くなってまうやん」
逆に心配される羽目になってしまったが、バレることはなかった。
正直気持ち悪いが、覗きはどうにか対策できるし、この手紙だって気にしなければいいだけ。
だが、この考えは甘かったようだ。
─────
その日から悪夢は始まった。
覗きはもちろん、数日後には盗撮までされ、写真は毎日封筒に入れられた。
リビングでくつろいでいる写真や、ご飯を食べている写真。ある日は自慰行為をしているものまで入っていた。
まるで自分の存在を俺に刻むかのように、毎日、毎日。
手紙の内容もだんだんヒートアップしていった。
治と俺の話を盗み聞きしてなきゃ知らない内容まで。いや、きっとされていたんだ。
(ちゃんと対策しとんのになんで盗撮されんねん..!…窓だって閉めとるし、カーテンだって!なにがあかんの..?あかん、気持ち悪い)
このことを思い出すと吐き気がする。実際吐くわけではないが、ずっと監視されているようで気持ち悪くてしかたない。
今更誰にも相談出来ない。辛い。助けて。気持ち悪い。誰か気づいてや_
自分で抱え込むには限界がきたようだ。
ストレスで熱が出たのだ。かなりの高熱で、ベッドで寝ることがやっとなほどだ。
「はぁ”ッ、はぁ”ッ…」
息が苦しい。喉が痛い。汗が気持ち悪い。
「うぅ”…おさむぅ..」
少しの間人肌に触れていない。誰でも良いから感じたい。肌に触れたい。触れて欲しい。
誰か
ガチャ
「侑、大丈夫か?」
治…
「おさむぅ…(泣」
「治やで〜。ほら、せっかく見舞いに来たんやから、侑の笑顔が見たいわ(笑」
「こっちきてや…」
ちょっとわがままを言っても、治は優しいからきいてくれる。
そんな治についつい甘えてしまった。
ぎゅうぎゅうに抱きつく俺の頭を黙って撫でてくれた。抱き返されては、治で胸がいっぱいになり、嫌なことも全部忘れてしまった。
「どしたん侑。なんか悩み事か?」
どきり、と心臓がなった。
「….なんもあらへん」
「その間はなんやねん。あとこれ、下駄箱に入っとったんやけど」
下駄箱と言われて思いつく節はあれしかない。がばっと顔を上げる。過敏に反応した俺にちょっと治はビビっとった。
「それ、中身見た?」
「見てへんよ。だけどずっと変だと思っとったんや。毎日同じ封筒が下駄箱に入っとるなんて」
やばいバレる。ぐるぐる、ぐるぐる
「見てええ?」
「あ、あかん!!」
必死になって治の手から乱暴に手紙を奪い取る。
「…ほんまになんて書いてあるん?最近の侑は心配や。今回体調崩したのだってこのせいやろ? 」
知られたくない。怒られる。怖い。
でも、言ったら助けてくれるんやろか..?
治ならきっと…
「…助けてや、治…(泣」
「おん。助けたるよ」
背中を優しくさすってくれる治の手がとても暖かく感じた。
その後も、少しずつしか言葉が出ない俺の話をゆっくり聞いてくれた。
聞き終わったあとも、一切責めたりせずに、むしろ優しい言葉をくれた。
辛かったやろ、心細かったやろ、よく耐えたな、よくひとりで頑張ったなって。
その言葉でまたひとつ雫がこぼれた。
「俺、ど うしたらええの?」
「俺とおったらええ。絶対守ったるから。できれば一緒に住もう。そしたら安心や」
「迷惑やない?」
正直、そこまでしてもらうのは申し訳ない。ただの友達なのに。
「迷惑なわけあるかい。侑が笑顔でいられるんやったら、俺はなんでもええよ(笑」
「ありがとう…ずびっ」
その後、治は俺が寝るまでずっと部屋に居てくれた。治がいると心強いし、安心する。そのおかげですぐに眠りにつけた。
翌日、熱もすっかり下がり、体調もほぼ回復していた。
でもひとつ、気がかりなことがあった。
ぼんやりとした意識のなか見た治の表情。
初めて見た顔。
記憶は曖昧だが、確かににんまりと笑っていた。
なにを話してるときやったっけ?
あぁ、そうだ。
一緒に住もうと話していたときだ。
NEXT♡500
侑くんハピバ!!これからもずっと推し続けるからね😘😘
(これ言いたくて頑張って書きました笑)
コメント
10件
過呼吸なう

え??監禁来ますか???え、来たよねこれ???なんなら監禁されてください??全部治の計画通りになってるやん!恐るべし治… やっぱ愛が重いの好きですわ💕💕治くんどんどん愛重くなっちゃって(?) ヤバい続きが楽しみすぎて眠れんかも🙄
なんと一緒に住むか提案…!? 監禁の流れが来たか??(監禁大好きマン) 更新されたの早かったからめっちゃ嬉しい😊😊💕 てか全て治の計画通りそうwまぁ侑ちょろいから…(?) もう住んで監禁されてくださいはい((