テラーノベル
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ソラがロードのリーダーになってから数週間が経った頃…。ヒーロー協会に一通の手紙が届き、その情報はヒーロー部にも届いていた。
「おい見ろ。奴らが宣戦布告を仕掛けてきた。2日後に全ての能力者を排除するらしい。」
「なんで…もしかして、ソラ先輩が?」
「わかんねぇ…けど、俺たちも危ねぇのは事実だ。」
「…」
スカイは手紙を眺めていた。綺麗な字で書かれた冷酷な文。スカイは確信していた。
「ソラの文字じゃない。ソラのは、もっと汚くて暗号みたいな字だもん。」
「何?じゃあこれは…。」
「ソラ先輩の許可無しで書かれた文ってこと?」
スカイたちには誰が書いたか分かっていた。
「まさか、他のエージェントが?」
「あぁ。恐らくパラサイトだろうな。あの顔色の悪い男…アイツ以外考えられねぇ。」
「早くヒーロー協会に伝えないと…!」
アイリは慌てていた。だが、今のヒーロー協会にソラのことを話しても聞いてくれるのだろうか…。裏切り者、ロードのエージェントとして処分されるだろう。
「だったら…俺らで!」
「バカ言わないでよ!何万人の兵士を相手すると思ってるの!?」
スカイの言う通りだ。
「私に作戦がある。リュウがヒーロー協会へ行き、ソラの事情とこの文面が偽造された物って話す。私とアイリでソラのもとへ向かう。」
リスクは大きいだが、ヒーロー部の部長としてリュウが話した方が、スカイがソラに説得した方が得策だった。
「…分かった。作戦決行は明日から。今日は各自準備を整えること。」
ロードの執務室、ソラは虚空を見つめていた。
「どうして…こんなことに。」
「おはよう。新リーダー。」
クリアが窓際に立ってソラに向かって微笑んだ。
「浮かない顔だね。もしかして、あの子達のこと考えてる?」
「あぁ。もっと、話したかったな…って」
「ここよりもずっと長くいたし、それにスカイだっけ?あの聖騎士の女の子。あの子の顔、すごく寂しそうだったよ。ま、リーダーの任期は5年だし。ちょっとの辛抱だよ。」
5年…リーダーとしては短いがソラにとってはとてつもなく長い。やってられない。
「それとイレイス。パラサイトたちがヒーロー協会に宣戦布告をした。あと2日後にヒーロー協会の人間や、街にいる危険因子を排除するらしい。それも君の名前を使ってね。」
「何?」
「アイツらガチっぽいよー?どうする?」
ソラは考えた。もしここで動いて負けたら?パラサイトの能力、パワーの力にはイレイスはほぼ無力に等しい。身体能力も策略もそちらの方が上だからだ。
「黙ったままなら、大切なもの…全部壊れちゃうよ?」
そう言ってクリアは姿を消した。
「大切なもの…」
その日の晩…スカイはソラとのチャットを眺めていた。毎晩寝落ちするまで続けていた通話も、ソラの冗談に照れ隠しでキレるスカイとのやり取りも…なぜだが全部が嘘に包まれている気がして苦しかった。
「帰ってきてね」
その一言をチャットに送った。もちろん既読はつかない。スカイはそのまま寝落ちした。
夢の中もスカイは、ソラの事でいっぱいだった。帰ってきて欲しい。世界で1人の大切な人。そんな人が失われるのがいちばん怖かった。静かな寝室で、スカイの唸り声だけが響いた。
翌朝…。スカイは朝早くに部室に向かった。ソラがちゃんと帰って来れるように…今日からの作戦をしっかり成功させられるように。
「朝早くからご苦労だな。スカイ。」
「リュウ…」
「寝れなかったろ?俺もだ。こんな状態で作戦決行するなんてな。」
リュウは笑ったが、目の奥は寝不足と疲労で真っ黒だった。部室の扉が開いた、アイリだ。
「おはよーございます。あれ、みなさん寝不足って顔ですね。」
「そういう、アイリもな。」
「えへへ、バレました?…やっぱり、ソラ先輩に帰ってきて欲しいですもん。3人だと寂しいですし。」
「だな。早いけど、作戦決行だ。昨晩、ヒーロー協会に「ソラ以外の人物が書いた」と話した。」
「返事はあったの?」
「あぁ。あっちもソラの文にしては真面目過ぎると話していた。」
「それ、ソラ先輩バカにされてません?」
3人は笑った。
「そうだな。だが、そこが信じて貰えたんだ。そこはアイツに感謝だな。」
「で、これから乗り込むの?」
リュウは頷いた。
「ロードに乗り込む。ヒーロー協会から応援も来るが、先に俺たちが偵察…いや、ソラを救出する!ソラを連れ出して、連れて帰る!」
リュウの言葉に2人は顔を上げた。やる気、気合い、情熱、今全てが3人の中で燃え上がる。
「私たちなら…」
#異能力バトル
名無の男2
382
#アクション
妄ねるね
46
ちょこ
328
ぽちたん
95
「ソラ先輩のこと、救おう!嫌って言っても連れて帰りましょう!」
「あぁ!」
3人は身支度を整えヒーロー協会が送ってくれた、ロードの基地がある座標へ向かった。
森の奥に大きな基地がそびえ立つ。ここがロードの本拠地。ソラがここにいる。
「待って…正面に」
警備兵が2人。少なくとも相手は大人で戦闘経験も豊富だろう。突撃したら間違いなく返り討ちに逢う。
「裏口から?」
「いや、どこも警戒されてる。」
3人が茂みの中で考える様子を、ソラはモニター越しに見ていた。
「来たか。…3人を通せ。」
その通達は、警備兵にも伝わった。
「おい!そこの3人!」
「やべ、バレたか!?」
「ボスがお前たちを通すらしい。行け。」
3人は驚いたが、チャンスだと思いロードの基地内に侵入した。
「おい!何やってんだ!貴様!」
パワーがソラのいる執務室に入ってきた。
「無礼だぞ。パワー。」
「なんで部外者を…しかも、敵だぞ!?」
「彼らを潰すのは、この俺がやる。」
ソラは立ち上がりロビーに向かった。
「おい。そこで待ってろ。」
「待つ?なんで?」
アイリが首を傾げた。ロビーで待っていると、正面の階段上から軍服を着た少年が現れた。
ソラだ。
「よく来たね。元気?」
「元気?あぁ、お前の顔が見れて最高だよ。」
リュウなりの皮肉だ。
「そう。君たちを呼んだのは他でもない。俺の手で、君たちを消す。」
ソラは階段の踊り場から飛び降りて、リュウに殴りかかった。その拍子にリュウは体勢を崩したが直ぐに立て直し、波動の拳でソラに攻撃する。
「遅い」
しかし相手は一流のエージェントだ。戦闘経験は明らかにソラの方が上だった。リュウはみぞおちを殴られ気絶した。
「リュウ先輩!!」
アイリはリュウの様子を見て怒り、指鉄砲を構える。
「大人しくしないと、撃ち殺しますよ…!」
その手は震えていた。
「ごめんね。」
そう言ってアイリも倒れた。残るのはスカイだけ。もう逃げ場がない。立ち向かわなきゃ、ソラを攻撃するなんて…
「ソラ…わたし…」
「怖いよね。でも、こうしないと皆が危険だから。」
「私たちが危険因子だから?そうだね、ターゲットだもん。倒すのは正当な理由だよね。」
ソラは口ごもった。
「やっぱりこうするしか…。」
「いいよ。おいで。」
スカイは受け入れるつもりだ。
「ごめんなさい。」
謝りながらソラはスカイを気絶させた。ソラの足元には元友達が倒れている。それがソラの心に迷いを与えた。
「これでいいんだ…これで。」
「あーあ、やっちゃったー。」
踊り場にはクリアが立っていた。いつから見ていたのだろうか。
「で、これからどうするの?」
「運ぶの手伝ってくれ。」
「わかった。」
それだけ言って、スカイたちを運んだ。
先程の様子はすぐに基地内に広まった。「新リーダーが1人でしとめた」「危険因子を倒した」あまりいい噂は無かったが、それでもミッションクリアしたことには変わりは無い。だが、パワーやパラサイトはあまり良く思っていなかった。
「チッ、余計なことを…」
「まぁいい。我らの計画には、何ら差支え無い。」
スマホを操作する。
「…他のエージェントの準備が出来たみたいだ。」
「今からやるのか?」
パワーは肩を回した。
「あぁ。計画実行。」
そう言って、パラサイトとパワーは他のエージェントや戦闘兵を引き連れ、街に繰り出した。
「全ての能力者を消す。」
秩序のためではなく、支配のために。
コメント
1件
第5話、読み終わりました…!スカイたちがソラを救出しようと動き出すシーン、すごく熱かったです。特にリュウの「連れて帰る!」って言葉にグッときました。でも、ソラが自ら友人たちを気絶させる展開には切なくなりました…「ごめんね」のひと言に、彼の本心と苦しさが滲んでて。最後にパラサイトたちが動き出して、次どうなるか気になりますね。しっかり作戦、成功してほしいです😢