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いつもよりゆっくり、情景を想像しながら読んでください
雰囲気を重視しているので、しっかり味わってくださると楽しんでいただけると思います
nmmnとなりますのでひっそりと楽しんでいただけると幸いです
brkn やわらかな洗脳
熟れたように赤らんだ頬に手を沿えた。
絹のような繊細な感覚を味わうように凍えた指を軽く滑らせる。
彼は、くすぐったそうに笑みをこぼした。
「…なに?ぶるーく」
「ん〜?触り心地いいなあって思って」
「そ」
興味がないかのように素っ気ない返事をした彼の頬がじんわりと熱を帯びていく。
僕の冷たい指先が彼の熱をどんどんと吸い取っていった。
「恥ずかしい?」
「…いや、別に」
わかってるくせにと言いたげに睨みつけてくる彼がとても可愛くて、その温かな頬をあまい果実の肌に触れるようにもう一度優しく撫でた。
「…ん」
控えめに声を出した彼は、とろけるような恍惚な表情で僕の手に頬を擦り寄せた。
彼の潤いを持った柔らかい頬が僕の手のひらに吸い付くように、ぴったりと触れ合う。
「つめたい」
「きんさんがあったかいんだよ」
「そーかな」
「そうだよ」
なんてことない幸せな会話をしながら指を彼の頬から耳に移す。
他よりも目立って赤くなっているそこは、見た目通りの熱を持っていた。
縁をなぞるように軽く指を這わせると、ぴくりと肩をはねさせた彼が僕から目をそらす。
素直じゃなかったり、顔を見てくれなかったり、普段の優しい彼らしくない仕草は全部恥ずかしがっている時のもの。
「きもちいの?」
「…いや、?」
黒く艶やかな髪を耳にかけてやると、それもまたくすぐったいのか小さく息を漏らす。
血色の良い耳に吸い寄せられるように自分の口を近づける。
ヒクリと引き攣った彼の顔が一瞬だけ見えて、つい笑いがこぼれた。
「ふふ…かわいいね」
「…っ、まじで、やめろ……」
「なんで?こんなにきもちいいのに?」
「っぁ…、ちが」
「違わないでしょ?」
話しかける耳とは反対の耳を手でゆっくりと塞いでいく。
きんときは僕の声だけを聞くのが大好きだから。
「ほら、これ、すきだよね?」
耳元で甘く囁いた声が彼を一瞬で狂わせていく。
まるで人が変わったかのように、今までの反抗的な様相とはうって変わってとろんとした瞳が、僕を捉えようと彷徨う。
「ねえきんとき、すきって、言って?」
「んっ…ぁ、すき…」
「ふふ、知ってる」
僕のことを見つけたらしい青く溶けた瞳がゆるゆると細められる。
甘く尊い幸せを全身に受けてゆっくりと脱力した彼を抱きしめる。
彼はいつもこうやって、雰囲気が良くなってくると恥ずかしがらずに甘える。
それが可愛くて、僕は何度も彼をその気にさせるために囁く。
「もう甘えたさんなの?」
「…だめ?」
「んーん、甘えんぼなきんときも好きだよ」
「ん」
小さく微笑んだ彼は、僕には逆らえない。
そうなるように、ずっとずっと頑張ってきた。
「きんとき、好きだよ」
「…俺も」
快楽に流される彼が、今日も可愛い。