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「 素敵な悪夢 」
太中
中也女体化♀
中也ちゃんがjkしてる
拗らせ
モブ出現
「なぁ__‼︎」
小さな少女が、目の前の青年に話しかける。大体、15歳と言ったところだろうか。さぞ嬉しそうに少女は、必死に背伸びをして、両手を伸ばす。
すると、目の前の青年は「はい」と呼応して、微かに微笑みを浮かべながら、少女の前にしゃがむ。
「どうしたのですか、お嬢様。」
いきなり目線が合い、少女はポカンと口を開けるが、またすぐににぱっと笑顔になり、急ぐように、早口で話しだす。
「あのな、__、これ拾ったんだ‼︎とっても綺麗でよ、それでよ!」
興奮したようにグイグイと顔を近づけて話す少女の手には、濃い青紫色の花が一輪、持たれている。それをじぃっと見ていると、視線に気づいてか、少女は話をやめて不思議そうに此方を見つめている。
「なぁ__?」
心配するかのように瞳を潤めて青年の全身を、己の瞳に映す。
「…その花、綺麗ですね」
瞳の中の青年は、にこりと笑い、さらりと花弁を撫でた。
「…!だろ!?これ、あんまねぇんだ!」
「そうですね、私もあまり見たことがありません。」
少女が自慢げに鼻をふふん、と鳴らす。その様子を青年は頬を緩めて見守る。
「知っていますか?こ__」
「…………は?」
ガバッと起き上がる。先ほどのは夢だったのか。青年が何かを言おうとして、口を開いて、そこから …。そこで、目が覚めた。
「あ“~‼︎むしゃくしゃする‼︎今度こそ彼奴の言ってることを聞き取ろうかと思ったのに”…‼︎」
前髪をくしゃりと掴んでかき上げる。朝一番に怒声を響かせて、体力自慢の自分でも、さすがに息が切れた。息を吐いていくうちに、妙に長い前髪がさらさらと視界に入ってくる。
「あ“~、本当になんだよ、毎回毎回彼奴は何言ってんだ??」
頭を掻きむしりながらベッドから降り、洗面所へ向かう。
そう、俺がこの夢を見るのは今日で初めてじゃない。二週間前から、ずっと見続けているのだ。初めて見た日は、特に意識もせず「お嬢様ぁ…?メルヘンチックだなぁ笑」と寝起き早々怪しく笑っていたが、2日目、3日目になると、流石に恐怖を覚えた。
そもそも、自分はあまり夢を見ない体質なので、夢が連続で見えることの不思議と、それが同じ夢…ましてや毎回同じシーンから始まり同じシーンで終わる。そんな夢であれば、呪いか何かと震えがるのも仕方がない。普通の女子高生であれば、女友達や彼氏などに泣きついて話すだろう。
しかし、中原中也はしなかった。
一日目 「…お嬢様ぁ…?メルヘンチックだなぁ笑」
三日目 「……またこの夢?」
五日目 「……⁇」
七日目 「またあの夢…。…わかったぜ、彼奴(青年)が言ったことを知らなきゃいけねぇんだろ⁉︎(自暴自棄)」
九日目 「…ぁ”-‼︎ふざけんじゃねぇ続き見せろ俺の頭“–っ‼︎」
十一日目(夜)「今日こそ…今日こそテメェの言ってることを聞きとってやるよ…、これでこの夢とは おさらばだ…‼︎(アイマスク&暖かい飲み物)」
…と言った調子で、1人奮闘する始末。
「マジでなんなんだあの夢…?」
顔を洗いながら、もう何度思考したかわからないことを考える。
「はぁ~…気が狂う……、」
タオルで顔を抑え、水分を取る。吸収されきれてなかった水分が、水滴となって落ち、服に滲む。
ぼ-っとしているうちに、その滲みはところどころに出来上がっていく。
「マジで…、はぁ…」
ため息をつきながら顔を上げると、先ほど着替えたばかりの制服に、染みた後がついている。
やべっ…と声を漏らし、まだ間に合うよなぁ…いや替えあったか…?などと考えながら、水が染みた箇所にドライヤーを当てる。
「もう、なんか、今日はツイてないなぁ…笑」
まだ一日が始まったばかりというのに、そんな言葉を呟いた。
そんな自分の言葉に、後悔することになるとは、その時思ってもいなかった。
「んで、中也は遅れたってわけか」
昼休み時間。屋上でけらけらと短髪の青年が笑う。無駄に顔の整ったこいつは遠藤 樹。二週間前から付き合いを始めている。勉強はそこそこだが、運動神経は抜群に良い。俺が付き合うには勿体無いお相手だ。
「うるせぇ…、結局制服は乾かなかったしよ…。」
「え、そのままで電車乗ったのか?」
「当たり前だろ。」
「いや、彼処、変態じじいがいるじゃねぇか」
「あ~な…。変に見てきて気まずかったわ」
買ったばかりでまだ冷たいジュースのパックにストローをさし、じゅーっと吸い込む。溶けるような蒸し暑さを、喉を通過するまでの数瞬だけは忘れられて、とても心地よい。
「あ、それ俺にも一口くれよ」
羨ましそうに見つめ、ついには手を伸ばしてきた樹を払いのけ、見せつけるようにしてジュースを飲み干す。
「あ“ー…‼︎俺のジュースっっっ…」
「いや手前のじゃねぇから。」
「一口くれても良かったじゃーん」
先ほどまでは悔しむ素振りを見せていたのに、数分でけろりと開き直す彼を見て、笑いをこぼす。
「手前はさっきまでジュース飲んでたろ?2本くらい。それでいいじゃねぇか」
「え~、中也と間接キスしたい〜」
「きっしょ」
軽くそう流しながら、柵に手をかけて、下を見下ろす。こんなに暑いのに、莫迦みたいに運動場でサッカーをしている男子達にため息が出る。流石の自分でも、こんな日に炎天下の下で運動をしたいとは思わない。つくづく莫迦なやつ等だな、とふん、と鼻で笑う。
「日本の暑さは異常だよー。もう教室もどろ、中也。」
そんな自分の肩をポンと叩き、扉へ向かって行く彼に返事をし、視界を変えようとした時だった。
「……なんだあれ…」
校舎の外で、長袖、長ズボンの男が、ちらりとこっちを見た気がしたのだ。帽子もかぶっていたため、目線の先はよく分からないが、少なくとも、この学校を見つめていたに違いない。でもその前に、この暑さで厚着…⁇? いやそんなはずは…。
「中也ぁ~?」
「ぁ…すぐ行く!」
急かす彼に呼応し、もう一度確かめようと目を凝らした時、もうそこには誰もいなかった。
「まじでなんだよ…」
これ書くの楽しい~~…‼︎これは続き書くかも…!