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※完全自己満異中年捏造小説※キャラ崩壊、解釈違い有
※捏造設定、 学パロ要素有
※過激な暴力表現、性的表現有
※苦手、地雷は回れ右
わんくっしょん
「ほら、此処ですよ」
立ち止まった場所は、保健室の前だった。
「……保健室、か」
「此処の先生は味方でね、綺麗な先生なんですよ」
こん、こんとノックをするが、
「……留守?」
応答が無い。
「まあ、勝手に入っても許されるでしょうし、居なくても支障無いですし」
「え、いいのか?」
「優しいから大丈夫ですよ」
にっこり笑って扉に手を掛ける。
鍵は掛かっておらず、すんなりと開いてしまった。
入っていいのかわからんが、エーミールが言うならいいか、とか思ってる自分は居る。
転校早々の退学はしたくないのだが。
「其処のソファに座っていてください。時間は掛かりますが、紅茶を淹れます」
戸棚から2つカップを取り出し、机に置いてあるポッドに水を溜め出す。
「では、暫くお待ちください」
「その間に、幾つか質問をしますので、曖昧な返事をせず、しっかり答えてくださいね?」
「ああ」
多分、家柄についてとか、差別について訊かれるんだろうな。
「ではでは、手始めに、貴方の家柄について訊いてみましょうかね」
隣に腰を降ろし、にっこりと淡い笑みを浮かべている。
「……ご存知の通り、家は”裏の貴族”と呼ばれる家でな。 代々フューラー家は、内戦や紛争地帯に武器や情報の提供をしていた」
「まあ、先代である父は、其れらから足を洗おうと考えているがね」
「”裏の貴族”なんざ、平和この上ない日本では剰り知れていない異名。だが、それを知っていたエーミールくん?君の方こそ、興味深い家柄ではないか。訊かせて頂けるかな?」
アルベルト、と言う名は久しぶりに聞いたよ。
そう付け足せば、やれやれ、と言った風に肩を竦めた。
「そうですねぇ……語らせといて、自分が語らないのもあれですし、構いませんよ」
「裏では大分有名になりましたよね、フューラーもアルベルトも。フューラーは栄えて有名に、逆にアルベルトは、衰えて有名になったもんですから、貴方の名を聞いた時、少し殺意は芽生えましたよ」
「此処でも戦争の火種を撒くのかって」
「俺だって、来たくて来た訳では無いのだがね」
「ええ、聞きましたよ?とある団体から追われているのだとか」
くす、と含みのある笑みと共に、自嘲の言葉が並べられる。
「いいですねぇ。アルベルト家も、昔はそんなことがあったとか」
「豊かな証拠ですねぇ?」
ころころと、鈴が転がるような笑い声。
堪えられなかった。
「あんた、可愛いって言われたことねぇの?」
「はい?」
本日2度目のやらかし。
「……困る質問ですね」
ビー玉に迷いの色が混ざる。
「可愛い……私、アルビノなんですよ?それ以前に男ですし……今、貴方からしか言われたことないんですけど……」
「そっか……」
そらそうか……
このやらかしの所為で、空気が気不味くなってしまう。
エーミールの一言で、それが途絶えた。
「……貴方は、男が好きなんですか?」
先程からの奇行に、戸惑いを隠せないのだろうエーミールは、顔を伏せながら、そう問い掛けて来た。
「その、私、こんな事言ってくる人、初めてで……と言うか、そもそも絡みに来る人自体が初めてですし……」
「……こんなもの、なんですか、?」
人付き合いについて、此処まで無知な人間は初めて見た。
不安そうに眉を下げ此方を見る姿が、どうにもいじらしくて、つい、持前の加虐心が発動してしまう。
「そうだなぁ……」
「俺は普通だと思うぞ?」
「……そうですか……」
納得したのかはわからないが、不意に立ち上がったと思えば、
「紅茶、そろそろ淹れますね」
と、ポッドの方へ足を向けた。
それと同時に、保健室の扉が開く。
「あら?エミちゃん来てたのね!」
「それと……彼氏さん?」
……活発そうな、金髪の美人が入ってきた。
誰だ、この美人は。