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不破湊side
夜の11時半。
いまさっき仕事が終わって、
暗い夜道を1人歩く。
あのレストランに勤め始めて、
2年。
まだまだな部分もあるけど
それなりに慣れてきて楽しい毎日。
こんな時間に帰るのも久しぶり。
街頭もほぼない道を歩いて居れば
公園があって、昼間は結構子供で賑わってる。
そんな公園のこの時間に、
ベンチに座る男の子が見えて。
なんでこんな時間に?
なんて思って
「どうしたの?」
公園に少し入って聞いてみたけど、
反応は無し。
もう少し近くに寄って
「大丈夫?」
そう聞いても無視されて
軽くトントンと肩を叩くと、
ビクッと体をを揺らした。
だけど顔が上げられることはなくて、
しゃがんで目を合わせれば
凄く幼い顔の男の子。
「⋯何してるの?」
そう聞くけど、返答はなくて
話したくないのかと聞けばコクリの頷いた。
⋯なにか理由があるんだろうな。
なんて思ったら放っておけなくて
「⋯俺の家来る?」
なんていつの間にか誘っていた。
このままじゃただの変質者なのに。
俺も思ってたけど、
多分この子からしたら声をかけた時点で
怪しい人だし・・。
しかも家に誘うとか
本気で不審者とか思われたら嫌で
固まるその子に
「あ、ごめん。変な人とか
ヤバい人とかじゃないからね」
そう言えば驚いた顔をして
「⋯いいですか?」
そう返事をくれた。
その声は聞こえるか
聞こえないか位の小さい声。
それでも来てくれるって
判断をしてくれたから、
ベンチに置いてあった荷物を持って
公園を出る。
家に着くまでの間、
話しかけたりもしたんだけど
何も返事がなくて。
⋯さっき会話出来てたよね?
なんて不思議に思いながらも、
家に着く。
鍵を開けて家の中に入るけど、
その子はそこから動かなくて。
緊張かなにかかと思って
「入りな?」
なんて手を引いて家の中に入れる。
そして、思う。
もしかして、
この子は耳が聞こえないんじゃないかって。
だから俺の声には反応しない。
そう思ったら確認したくて、
近くにあった紙とペンを持って
【もしかしてなんだけど、
耳、聞こえない?】
【ごめんね。声を掛けた時もなんだけど、
どれだけ話しかけても
振り向いてくれなかったから】
そう書いて、ソファーにちょこんと
座るその子に見せる。
一通り読み終わって、
俺の渡した紙の後ろに
何かを書いて俺に渡してくる。
そこには
【聞こえてないです。ごめんなさい】
なんて謝罪のメッセージ。
謝らなくていいのに。
だけどさっき、
顔を見た時俺と会話してた⋯よね?
【謝らなくていいよ。
でも会話出来てるよね?】
そんな疑問をぶつければ
【聞こえなくなったのが
1年前なので口の動きで何を言ってるのか
分かるんです。
話とかも、ボリュームとか
分かんないんですけど話せはします】
そう返ってきて。
口の動きで分かるなら、
紙で書くより話してもらった方が早い。
ボリュームとかそういうのは
特に気にしないしね、俺は。
喉が乾いて、冷蔵庫を開けたけど
中にはコーヒーとオレンジジュース。
顔的にまだ中学生くらいだからって
オレンジジュースをコップに注ぐ。
自己紹介⋯とかってしたほうがいい?
いや、した方がいいか。
名前も知らない人の家にいるとか怖いよね。
てか、自己紹介って何言うの?
なんて悩んでも仕方なくて、
出したオレンジジュースを
速攻で飲みきったその子の肩を
トントンと叩く。
「自己紹介、していい?
今のままだと誰か分からなくて
怖いでしょ?
不破湊って言います。23歳。
駅前のレストランで働いてます」
なんて簡単に自己紹介。
名前と年齢と仕事が分かってたら
それで充分かなって。
俺が自己紹介をし終えると
「⋯あ、えっと⋯⋯」
なんて、慌てて自分も
自己紹介をしようとしてくるから
「ゆっくりでいいよ」
なんて声をかければゆっくりと、
自己紹介をしてくれる。
その中での1番の衝撃は、15歳だということ。
確かにそのくらいかなとは思ってた。
だけど本当にそうなのか。
と思ったらびっくりで固まる。
15歳⋯なんであんなところにいたのか
気になって。
少しだけ、甲斐田のお話を聞くことに。
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M/えむ。♫🦎