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今度は滉斗のほうが口を開く。
「和葉は?」
少しだけ低い声。
和葉は視線を落としたまま、答える。
「…いるよ」
その一言で、空気が変わった。
滉斗の指先がわずかに強張る。
「へえ」
それだけしか言えない。
聞きたくないのに、聞かずにはいられない。
「どんなやつ」
軽く聞いたつもりだった。
でも、声は思ったより硬かった。
和葉は少しだけ考えてから、ゆっくり言う。
「優しくて」
「うん」
「ちょっと不器用で」
「…ああ」
「ずっと昔から一緒にいる人」
その瞬間、滉斗の呼吸が止まりそうになる。
でも——
気づかないふりをした。
「そっか」
それだけ。
それ以上は、聞けなかった。
和葉も、それ以上は言わなかった。
言えば全部終わってしまう気がしたから。
沈黙。
でも、それは今までで一番重い沈黙だった。
やがて、滉斗が立ち上がる。
「そろそろ行くか」
逃げるように。
和葉も何も言わずに立ち上がる。
並んで歩く帰り道。
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