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ある日北斗の家のインターフォンが勢いよく鳴った
ガチャッ!「こんちゃーーーすっ!!お届け物でぇ~す!え~っと・・・・Francfrancフランフラン青山本店からでぇ~す」
アリスは笑顔でその配達員に応えた
「はぁ~い!申し訳ありませんが奥のリビングに運んでくださ~い」
郵便局の配達員は、アリスをひと目見てその場で固まった。じっとアリスを見つめてなかなか応えようとしない
「??今日はビック・ジンさんじゃないんですね?」
もう一度アリスはその配達員の男性に微笑んだ
男性はあんぐり口を開けてじっとアリスを見つめ、ぼーっとそこに突っ立ったままで、なかなか応えようとしない
わけがわからずアリスは首をかしげて男性を見つめた
「どうかされましたか?」
アリスは警戒気味に尋ねた
ハッとした男性が顔を真っ赤にした
「あっ・・・・!いえ!失礼しましたっっ!!え~っと・・・リビングでいいんですね!おっ・・俺!北斗の高校の同級生で正勝って言います! 」
アリスの姿を見て正勝が、体をまっすぐにしてお辞儀した
「まぁ!北斗さんの? 」
アリスは両手を合わせてハツラツと正勝に言った
「はい!そうなんです!いつもはジンが来るんですが、今日は俺がジンの代わりに配達に来ました。北斗のヤツがなかなか見せてくれないんで、町のみんな痺れを切らしちゃって― 」
「町のみんな?」
アリスが驚き目を真ん丸にして正勝を見た
「え?あっ!いっいや・・・・何でもありません!え~っと・・・どこに置きますか? 」
正勝が焦って顔を真っ赤にし、両手をヒラヒラした
クスクス・・・
「リビングに置いてくださる?さっきも申し上げましたけど 」
「すっすいません! 」
それから正勝は大きな段ボールを、何個もリビングに運びこんだ
「よしっ!これで終わりです! 」
「ありがとうございます、またあと数日したら新居に揃える、家具が届きますのでご足労かと思いますが、どうかよろしくお願いしますね 」
「ええ?ああっ!そうなんですね!新婚さんですものね、揃えないといけないものが沢山ありますしね」
彼の丁寧は話し方は、いかにもアリスに好感を持ってくれていた
彼らからしたらアリスはよそ者だ、なのにこの人はアリスと仲良くしてくれようとしていると感じた
「ええ・・・リビングはFrancfrancのデザイナーさんとオンラインで決めましたの、便利ですのよ、リビングの写真を撮ってデザイナーさんに送ると、ぴったりの家具をコーディネイトしてくれるんです。北斗さんは何でもいいみたいですので 」
正勝も楽しそうなアリスについ微笑んでしまう
「もちろんですよ!奥さんが幸せそうに家を整えてくれたら、男は何でもいいんですから!」
「正勝さんは独身お一人様ですか?」
「ええ・・・お恥ずかしながら」
正勝が後頭部の頭をガシガシ掻きながら、申し訳なさそうに、肩をすくめた
「未来の正勝さんの奥様は幸せ者ですね。大きな懐の殿方に嫁ぐのは女性の夢ですもの」
私ほどじゃないけど・・・アリスは心にそう思ったが敢えて口にはしなかった
「いっ・・・いやぁ~~~!そんなぁ~・・あっはっはっは 」
正勝がひっくり返りそうになるほどのけぞって笑った
アリスはキッチンへ急いで行って、また正勝のいる玄関へ戻って来た
「これをお持ちになって、お車の中ででも飲んでくださいな 」
アリスがUCCの缶コーヒーを正勝に渡した
「え?ああ・・・こりゃまいった・・・どうもすいません・・・あ・・あの・・・何か入り用があったら何でも言ってください、ええ・・もう本当に!! 」
あたふたとする正勝を見て、アリスがクスクス笑う
「それではごきげんよう!」
「ごっ!!ごごごごごごごごきげんよう!」
正勝が車窓から見送るアリスに手を振る、よそ見しすぎて、正勝の運転する郵便局の車は、入場ゲートにぶつかりそうになっていた
クスクス・・・
「この村の人ってみんな良い人だわ」
アリスは笑って、荷ほどきを始めた
大きなキラキラの三面鏡は淵の周り一帯に、電球がついているいわゆる「女優ミラー」だ、これは二階の寝室に北斗さんに運んでもらおう
次々とアリスが注文した商品を開封して、並べていく
いつも思うのだが、開封した段ボールもエア緩衝材も、配達業者が持って行ってくれたらいいのに
商品の倍はある処分しなきゃいけない。大量のごみを見ながらため息をつき、結婚する前から取り組んでいた地球エコ化運動に、もういちど寄附をしようかと迷っていた
リビングの窓をガラッとあけて叫ぶ
「あーきーくぅーーん!」
すると目の前の木の中からコウモリのように逆さまになった、明が姿を現した
「呼んだ?」
「まぁ!そんな所で遊んでいたの?あのね!段ボールを括る結束バンドみたいなの、どこにあるか知ってる?」
「お・・母屋にあるよ!一緒に取りにきて!」
「でも・・・
私は母屋に入るのは禁止されてるのよ・・・」
「どうして? 」
明が首を傾げてアリスを見る
う~ん・・・「なんでも危険だからとか・・・なんとか・・・あまりとりとめのないたとえで、納得いかなったけどぉ~ 」
「え~?アリス一生母屋に入らないつもり?」
「そういうわけじゃないけどぉ~」
アリスがもじもじして言う
「だだ、大丈夫だよ!結束ロープだけ取って戻ってこようよ! 」
アリスは自分の旺盛すぎる好奇心に負けた
「それもそうね!」