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トレーナーにジーンズ、スニーカー履きの乃乃が立っていた。


いつだって、きっちり化粧をして流行りのファッションに身を包んでいた乃乃のラフな姿だ。


「私を捨ててジミクラと付き合ったんだ。私は別れるなんて言ってないから」


ブランドの名前の入ったトートバッグに手を入れているのに気がつき、私もそっとバックに手を入れて催涙スプレーを握る。


「別に俺は乃乃と付き合ってないから」


グッと唇噛んだため、血が滲んでいる。

「なっ、だって何度も」


「お前、誰とでも寝るじゃん。グループ内で中心的な人間なら誰でもいいっていうのがバレバレだったし、そんな女に本気になるわけないだろ。そもそも俺が佐藤だから執着したんだろうし、お前のあざとさに気づかずに純粋にお前のことを好きだった慎一と付き合えばよかったじゃん。あんなゲームとかしてないで」


乃乃は惚けるとはこう言うことを言うんだろうと思うような表情を佐藤隆に向けていたのに、急に私に視線を向けた時は肉食獣の目つきになった。


「ちょっとイジってコギレイになったからって、ジミクラは底辺なんだよ。底辺のくせに」


イジってないしと返そうと思った時、乃乃の手がトートバッグから出てきた。

その手には何か銀色に光るものが握られていたので咄嗟に、催涙スプレーを乃乃の顔に吹きかけた。


ぎゃああああああ

痛い!痛い!クソ女ぁぁぁぁ


乃乃は目を押さえながらヨロヨロと歩き出し、手に持った物が地面に落ちて、それをチラッと見ると裁ち鋏の様な大き目の鋏だった。


騒ぎを聞きつけた人が集まって来たので佐藤隆の手を引っ張ってファミレスに向かった。



「てか、無双かよ」


途中から手を離して歩いていると、後ろからついてきた佐藤隆が驚きの色を湛えてつぶやいた。


「最近、変なのに付き纏われたり乃乃関連で色々あったから護身用として持っているんですよ」


「スゲーな。ところで乃乃のことどうすんの」


「一度は慰謝料で許してますけどもう一度ご両親と話す必要がありますね。てか、あのハサミって鋭利な刃物だと思う」


「確かに刺さると痛そうだよな」


いや、そんな暢気な話しじゃないし。

とりあえずは京子と合流するのが先決だと思いファミレスに急いだ。


てか、乃乃がおかしいのは佐藤隆にも原因があるんじゃないの。

てか、


「俺が佐藤って何?」

佐藤ってそんなに珍しい苗字じゃないというか、多めだよね?


「ああ、俺の親父は◯◯銀行のと」


「親が偉いとかそういう話はいいよ、佐藤隆本人が何かを発表したり、何かを経営しているならリアクションできるけど、親が偉いとか言われても何を言えばいいか困る」


「ははは、やっぱ亜由美ちゃんって可愛いや」


楽しそうな表情の佐藤隆を見て、全ての元凶がこいつじゃんと思うとイラッとしたが、そのおかげで竜基さんと一緒にいられるのはほんの少しだけ感謝しようと思う。


「早く行こう」


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