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口元が焼ける様に痛い。

目から生理的に溢れた涙が、頬を伝っていった。

状況が理解出来ない。何故こんなにも口元が痛いのか。

あれ?この顔、何処かで見た気が…


「笑えよ、春千夜ハルチヨ。」


崩れていたパズルのピースが、カチリと嵌め込まれる様な確信。

ああ、ここは前居た世界とは別の場所で、俺は三途明司春千夜なのだと。


正直、俺は今凄く興奮をしていた。

「笑えよ」となんて言われなくとも、高笑いをしそうだ。

それを抑えて、あくまで原作の通りに。

マイキーの命令に従い、狂った様に唇を歪める。


「ヒッヒッヒ、アハハハハッ!!!!」


あーあ、最高。今、場地と千壽はどんな気持ちでコレを眺めているのだろうか。

考えれば考えるほど、笑いが止まらない。血を流しながら笑う俺は、誰がどう見ても”可哀想”で仕方が無いだろう。


それにしても、黒い衝動に襲われた佐野万次郎の目は凄いな。どうやったらそんなに瞳を黒く出来るのだろうか。俺もやってみたい。

狂った様に笑うのを意識しながら、この状況を堪能していると他の声が聞こえた。


ああ、佐野真一郎だ。






















俺は三途春千夜に成り代わっていた。

ここは今流行っていた『東京卍リベンジャーズ』という漫画の中の世界で、さっき三途春千夜の悲劇が起こった。


なんという幸運だろう。そんな徳積んだっけ。


成り代わる前の俺は、所謂いわゆる愉悦部。

簡単に言うと、人の不幸を蜜とし人の苦しみや混乱を見て快感を感じる人間の事だ。

俺は自分の好きなキャラが傷付いて、悲劇のヒロインになりその事によって周りが絶望する様なシチュエーションが大好きだった。

実は俺、可哀想な過去があって……なんて言って、ぽろりと美しい雫が一滴垂れる。それを見た奴が心に何か突き刺さった様な感情、顔、話し方。それが大好物なのだ。


大好物を味わう為の素材、可哀想で仕方の無いキャラ。

その中の一つ三途春千夜に俺は成り代わった。

最高。これからの人生楽しみすぎる。全員俺の事で病んで、絶望してくれ。

そして今、病院に来て裂けた口を手当した間にこの世界での明司武臣はクズだと言うことがすぐに分かった。

何故かって?さっき、手当が終わってベットに座っている時ソイツが来て、を心配する素振りも無く「何で万次郎の物を壊したんだ」と怒鳴り怪我している顔を殴ってきたのだ。本当にゴミカスすぎる。 何?どんだけ俺を興奮させたら気が済むの?


そんな事を考えていると、病室に佐野真一郎真一郎くん佐野万次郎マイキーが入ってきた。


真一郎くんはガーゼで隠された俺の口元を痛々しそうに眺めてきて、マイキーはとても気まずそうに目を背けている。


「ゴメン…春千夜」

ベットの近くにあった椅子に座ったマイキーは、俯きながら俺に謝罪をしてきた。

「俺、とんでもねぇ事しちゃったよな」

本当にな。お前の事大好きだよ。

「傷、ずっと残っちまうかもしれねぇよな」

一生消えない傷とか、考えるだけでヨダレ出そうだ。


「……また来るよ」

話しかけても返事をしない俺に気まずさが限界突破したのだろう。一人でトボトボと病室を出て行った。

いや仕方無いだろ口動かすだけでクソ痛いんだから。お前のお陰で。


「……春千夜」


それを見越したのか見越してないのか、いや見越してないなコイツは。真一郎くんが話しかけてきた。

真一郎くんに視線を向けてやると、続きを話し始めた。


「万次郎をすぐに許せとは言わない、…… でも良かったら。アイツの友達でいてやってくれないか?」


……

あのさ、本当にコイツ好きだわ。

その、俺を気にかけて話す素振りを見せてるけどどう考えても弟を許せとしか言っていない願い。俺の気持ちなんて一ミリしか考えて無いんだろ、 許せるか許せないかで許せないだろうなあ、までしか考えて無いんだろ。その先にある許さないとマイキーとの関係が崩れるとか、許さないと武臣に怒られるとか。そこまで考えてから発言しろよ。

まあ別にどうでもいいけど。だってお前は俺の可哀想な過去を作る一人になってもらうんだから。他にも居るけど。


さーて、なんて返そうかな。

別にマイキーに怒ってる訳じゃないし、普通に許せるけど……


ここで断ったらどうなる?

まず、真一郎くんは武臣に相談するだろう絶対に。そしたら真一郎くんの事がだーいすきな武臣は俺に無理矢理許させる。うーん、こっちの方がいい不幸度が増すね。


「……ごめん、気持ちの整理が付かないから、今は何とも言えない。」


口開くの痛すぎ。こんな辛い中喋らせようとしてくるコイツ、ガチで狂ってるよな。無意識なんだろうけど。


「え、」


ヤバ、想定内。前の俺は余り強く言えない性格だったから、すぐ許してくれるとでも思っていたのだろう。考えが甘すぎてザラメでも舐めてる気分だ。


「……、ごめんね」


申し訳無さそうに笑ってみせた。待って、笑うの痛すぎる。まあこんくらいこれから起こる悲劇に比べたらどうって事無いけど。


「……おう。そうだよな、…明日も来る。」


俺の予想だと、今から武臣に会いに行くか、電話を掛けるのだろう。




さあ、どんなクズっぷりを見せてくれるのか。楽しみで仕方が無いよ、お兄ちゃん明司武臣




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コメント

2

ユーザー

はあああん、そゆことね?!?! やばいこの中の人と仲良くしたい 癖一緒だねって抱き合いたい 言葉のさ、種類多くね? もう情景やらなんやら全て 想像出来たわん

ユーザー

♡→1000 ※これは二次創作であり、本来のキャラクターとは違います。こんなにクズじゃないです。原作の武臣とか真一郎普通に好きです。これらを踏まえてからストーリーを読んでください

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