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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
第2章 『不可能な殺人と不可解な死』
〜金に執着する愚か者〜
最終話 毒を以て毒を制す
『ルカス。サリナさんをベットへ休ませて。』
『かしこまりました。サリナさん、大丈夫ですか?』
『は、はい…助かりました…。ラビンさんが私のことを殺そうと……っ。』
ガクガクと身体が震える。
『もう大丈夫です。我々の主様が華麗に謎を解いてくれますから。』
『麻里衣さんが…。っ、それなら見届けさせて下さい…。』
『ですが、休まれていた方が……。』
『いいえ。エリナを…エリナの命を奪ったラビンさんの末路を見届けたいのです。』
『…かしこまりました。』
『もう逃げられませんよ。謎に包まれたこの事件を…光の元にさらけ出してあげます。』
『ふっ。何か勘違いをしてるようですが…。サリナさんは私が殺そうとしたと言ってましたが御三方は見ていない訳だ。つまりサリナさんの戯言だ。』
『っ、この期に及んで…!』
『……。』
《所詮は悪魔執事の主。丸め込めばこのまま逃げれる。証拠はないし、私には実行できないのだから。》
(あぁ…穢らわしい。こっちまでおかしくなりそうだ。闇に侵食されてしまう。
…その前に終わらせないとね。)
『エリナさんの身体から検出された毒はトリカブト。そして、フグ毒です。1日目の中盤くらいから具合が悪くなったとサリナさんから聞いています。そして、サリナさんはクッキーをエリナさんに渡して食べたそうですがクッキーかは毒は検出されてません。そして…。犯行に使われたトリカブトもフグ毒も即効性があります。』
『そうだろう?だから犯行時間にその場所にも旅行にも同行していない私には犯行は不可能なんだよ。』
『…拮抗作用というのはご存知ですか?』
『拮抗、作用?』
『トリカブトの毒「アコニチン」とフグ毒「テトロドトキシン」は、2つとも強力な神経毒ですが、作用異なります。トリカブト毒はナトリウムイオンチャネルを「活性化」し、フグ毒は「抑制」するため、相反する働きを持ち、この両者を混ぜると互いの即効性を打ち消し合う「トリック」が生まれます。トリカブトは「アコニチン」系アルカロイド、フグ毒は「テトロドトキシン」が主成分で、少量で致死に至る猛毒です。 』
『…つ、つまり何が言いたい?』
『拮抗作用により毒の効果を遅らせることが可能です。つまり、犯行時間も偽れるということですよ。1日目…いいえ。前日の夜に毒を仕込んだんじゃないですか?』
『っ……!』
『それにこの2つの毒は抽出にかなりの技術を用います。科学院の研究員である貴方なら……抽出など簡単では?』
『そ、そんなの憶測だ!私がやったという実物的な証拠がないだろ!』
《まずいまずいまずい、このままでは捕まってしまう》
(あぁ……この外道から早く離れたい。そろそろ限界だ。)
《気持ち悪い》
《呪いだ》
『うっ!』
私は頭を抑える。
『主様!』
私は主様のそばに駆け寄ろうとする。
『ダメ!!』
『っ!』
『今、近付かないで…この謎を解くまでは…っ。』
『主様…っ。』
私はフラフラしながら何とか持ちこたえた。
『貴方の家を西の大地の憲兵の方が家宅捜索しました。』
『あ、あぁ。何も証拠は出なかっただろ?』
『貴方の家から……トリカブトの抽出方法。毒の取り扱い方。保存方法。そして、エリナさんを殺害する何とも狂気的な紙がいくつも見つかりました。』
私は紙を部屋にばらまく。
『そ、んな…っ。どうして…。』
『燃やすなり煮るなりしておけば良かったですね。頭のいいあなたが…ただ隠すだけなんて。』
『く……っ!』
『こうして貴方は……。科学院でトリカブトとフグ毒を押収し…自宅でそれをエリナさんに飲ませた。拮抗作用を利用した…『完全犯罪』をやってのけたんです。』
『…あいつが、悪いんだ。あいつが…っ!』
旅行の前日。リアナ夫妻自宅。
『貴方また浮気したでしょう!どうして私がいるのに…っ。』
『うるさいな…。ただのデザイナーのお前が。大した服も作れないのに偉そうに指図するな!』
『はぁ?浮気をする方が悪いじゃない!それに…っ。』
私は何かを言い淀む。
『っ、貴方とは離婚するわ!!』
『は?おい、待て……っ。』
バタンッ!
ドアが勢いよく閉まる。
夫婦の寝室
『……エリナ。考え直してくれ。悪かった。』
『……もうしないって約束してくれるのかしら。』
『あぁ。誓うよ。』
『えぇ。』
2人は抱きしめ合う。
『よく眠れるようにコーヒーを淹れてきたよ。』
『ありがとう。』
ゴクッ。
『浮気がバレるバレない以前に貴方は…エリナさんに嫌気が指していた。それが今回の件で限界に達し…殺した。何とも身勝手で…屑な犯行です。』
『ふん…なんとでも言え…。私は今エリナがいなくなって清々しいんだ。悲劇の夫。中々いい演技だっただろ?』
『っ…こんな、こんな人にエリナは殺されたの…?許せない……。許さない…っ!!』
私はベットから立ち上がり部屋に置いてあるナイフを取る。
『返して、エリナを返してぇ…!!』
『!!』
サリナさんはラビンさん目掛けてナイフを持って走る。
《殺してやる!!》
(なんて憎しみのこもった目…でも、ダメだ。)
私はラビンさんの前に立つ。
『『主様!!』』
私はサリナさんの手を叩く。
『っ!』
痺れさせてナイフを落とす。
カランカラン……。
『心が清くて優しい貴方が…血に染まるのは見たくありません。』
『っ、麻里衣さん…っ。う…っ。』
『ラビン・リエナさん。貴方はエリナさんだけでなく…もう1人の命まで奪ったのです。』
『は…?』
『……。エリナさんにはお腹の中に子供がいたんです。』
『『!?』』
『妊娠初期でお腹はそんなにまだ出ていなかったそうですが…でも彼女のお腹には命が宿っていました。貴方は2人の命を奪ったんです。だけど、妊娠したことなんて到底言えない。貴方は浮気をする屑男ですもの。もし伝えてしまえば堕ろせと言われると思ったんでしょう。』
『そんな…エリナに、子供が…。』
『…苦しんで亡くなったのは間違いないです。それでも顔に出さず笑顔でいたのは…。』
コツ…。私はサリナさんに向き直る。
『親友である貴方に…心配させない為。
どこまでも優しい方ですね…エリナさんは。』
『う、うぅ……。』
ガチャ!!
部屋に憲兵の方々が入ってくる。
『ラビン・リアナ。エリナ・リアナの殺害の容疑で逮捕する。残虐極まりない犯行…極刑は免れないと思え。』
『くそ……っ。』
ラビンさんは変更されていく。
こうして……毒殺事件は幕を閉じた――。
『麻里衣さん…ありがとうございました。謎を解いてくれて。』
『…私は仕事をしただけですわ。サリナさん、今は辛いと思いますがどうか気を落とさないで下さい。私はエリナさんに会ったことがないのでどういう方かは存じませんが…きっと芯の強い優しい方だと言うのは分かります。貴方が笑顔でいた方がきっと…。』
『…えぇ。エリナはそういう子でした…っ。っ、うう…っ。』
『……っ。』
『っ、麻里衣さん。またどこかで会えたら今度は一緒にお話したいわ。エリナのこと…貴方に沢山知って欲しいの。』
『えぇ。もちろんです。』
サリナさんは馬車に乗る。私達はそれを見送った。
『……。っ……!!』
頭に痺れる痛みが走る。
『あ、あう…っ!!痛い…っ。』
私はその場に倒れ込む。
『『主様……!!』』
(心の中を読み過ぎたから…?痛い、痛くてたまらない……。苦しい、苦しい…!!)
『っ、主様。失礼します。』
私は主様をお姫様抱っこする。
そして、眼帯を付ける。
『ベリアン。急いで屋敷に帰ろう。主様に効くかは分からないが鎮痛剤を飲ませた方がいい。御者を頼めるかな?』
『はい、お任せ下さい。』
『はぁ、はぁ…。』
『主様……。』
(貴方は人を頼ることを知らなすぎます…
我々はその為にいるのです。もっと…頼ってください。私達2人のことを……。貴方は人に優しくするあまり頼るということを知らなすぎてる…罪なお方ですよ。本当に。)
私は主様をお姫様抱っこしたまま馬車に乗る。
一方その頃、デビルズパレス。
ギィィ…。
『あ!主様!門が開く音がしました!帰ってきたんじゃないですか?』
『う、うん。私今日はお姉ちゃんと頑張って話してみる。』
ガチャ……。
『お姉ちゃん、私――。え…?』
入ってきたのは焦った顔をしているベリアンと
冷静な顔をしているルカス。そして…ルカスにお姫様抱っこされている苦しそうな顔のお姉ちゃん。
『はぁ、はぁ…。』
『ただいま戻りました。申し訳ございません。主様。今は…。』
『お姉ちゃんに何があったの?ねぇ、教えてベリアン!』
『それは…っ。』
私はチラッとルカスさん見る。
『……。』
ルカスさんは首を横に振る。
『……すみません。お話出来ません。』
『百合菜様。すみません。主様を医務室に連れていかねばなりません。どうか今はご辛抱ください。失礼します。』
ルカスは階段をあがっていく。
『はぁ、はぁ……っ。』
『お姉ちゃん…っ。』
『主様…。』
隠し切るのもそろそろ限界みたいですよ。主様。妹の百合菜様、そして…他の執事達も察しているようです。全て吐き出した方が楽になりますよ。主様――。
次回
『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
番外編 第1話 隠しきれない秘密