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ユーカ
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うわあ、このタイミングでの再会…!ずっと心に刻んできた面影が、まさかこんな雪の町で、しかも彼女が誰かを守ろうと立ち上がる一瞬で重なるなんて。老人の「守ろうとする目」という言葉も、今になって唯我と美鈴を結ぶ鍵だったんだなってじんわり来ました。胸がいっぱいです。次が待ち遠しい…!
翌朝
翌朝――。
雪は夜の間も降り続き、町は白銀の景色に包まれていた。
唯我は身支度を整え、囲炉裏の前で静かに立ち上がる。
すると農家の老人が、温かな布に包まれた握り飯を差し出した。
「ほれ、これ持っていけ」
布の隙間から、ほのかに湯気が立ち上る。
梅と味噌の香りが鼻をくすぐった。
「山の中じゃ食い物にも困るじゃろ」
唯我は受け取りながら小さく頭を下げる。
「……助かります。案内までしてもらったのに、何も返せなくて」
老人は豪快に笑った。
「そんなもん、いらんよ」
そう言うと、少しだけ真面目な顔になる。
「お前さんの目はな……何かを守ろうとしとる目だ」
唯我は目を瞬かせた。
「……」
「ああいう目をした奴が、昔ワシの仲間にもおった」
囲炉裏の火が静かに揺れる。
唯我は一瞬言葉に詰まり、それから深く頭を下げた。
「……必ず見つけます」
老人は優しく頷く。
「見つかるさ」
そして空を見上げながら続けた。
「お前さんが探しとる娘さんも、きっと待っとるよ」
唯我は無言で頷き、家を後にした。
雪の町
冷たい風が吹き抜ける。
唯我は雪道をゆっくりと歩いていた。
寒さは厳しい。
それでも歩みは迷わない。
その時――。
民家の脇から少女たちの声が聞こえてきた。
「ねぇ、今の人……すごくかっこよくなかった?」
「うん。普通の旅人には見えなかったよね」
「それにあの刀! 絶対ただ者じゃないって!」
唯我は反応しない。
まるで聞こえなかったかのように前だけを見て歩く。
(……)
足取りが少しだけ重くなる。
吹雪の向こう。
遠い記憶が蘇る。
泣いていた小さな少女。
差し伸べられなかった手。
遠ざかっていく背中。
(美鈴……)
胸の奥で名前を呼ぶ。
その瞬間だった。
悲鳴
「やめてっ!!」
女性の悲鳴が雪空に響く。
「誰か――!!」
唯我の目が鋭く光った。
「……チッ」
次の瞬間。
雪を蹴り上げ、一気に駆け出す。
白銀の世界を裂くように疾走する。
やがて裏路地へ飛び込んだ。
そこには十人近い男たちがいた。
民家から金品や装飾品を奪い、住民を脅している。
「……盗賊か」
唯我の目が冷たく細まる。
「しかも、この町で」
住民たちは家の中で震えていた。
泣き声さえ聞こえる。
だが――。
唯我は迷わなかった。
シュッ――!
一瞬で距離を詰める。
そして拳が唸った。
ドゴォッ!!
「ぐはっ!?」
盗賊の一人が吹き飛ぶ。
突然の襲撃に一団が騒然となった。
唯我は静かに言い放つ。
「やれやれ……」
龍焉刀を抜き放つ。
銀色の刀身が雪明かりを反射した。
「こんな静かな田舎にも、ゴミみたいな奴らはいるんだな」
殺気が走る。
盗賊たちが武器を構えた。
「こ、こいつ何者だ!?」
「ただの旅人じゃねぇぞ!」
「囲め! 全員でやれ!」
男たちが一斉に襲い掛かる。
だが唯我は止まらない。
風のように動き。
雪を踏み。
回転し。
拳と剣技を織り交ぜながら敵を打ち倒していく。
誰一人として動きを捉えられない。
その時だった。
再会
「やめなさい!!」
凛とした女性の声。
唯我の動きが止まる。
視線を向ける。
瓦礫の向こうから、一人の若い女性が飛び出してきた。
悪党へ飛び蹴りを放つ。
住民を守ろうと必死に立ち向かう姿。
その瞬間――。
唯我の胸に衝撃が走った。
「……!?」
女性が振り返る。
雪を背に。
肩で息をしながら。
真っ直ぐこちらを見つめる。
その顔を見た瞬間――
唯我の心臓が大きく脈打った。
ドクン――。
時間が止まったような感覚。
震える唇から言葉が漏れる。
「……まさか……」
そこに立っていたのは――
唯我が長い年月をかけて探し続けた人物。
忘れるはずもない。
雪原に咲く、一輪の面影。
霧島美鈴だった――。