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今回のイベストを読んで
死ネタ
彰人と離別した後、また彰人と歌うことがなかった冬弥の話
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冬弥視点
俺は本当にクラシックから得た技術、才能しかない。だから、彰人の隣には立てない。だって彰人は、真剣で、純粋に夢を追っていて、何より眩しくて。そんな彼の隣に俺が立ったらきっと夢も叶えられない。ただ邪魔するだけだ。たがら彰人から離れた。「その顔もう2度と見せんな」……か、もう会うことは無いだろうな。俺は……これからどうすればいいんだ…
「お前はクラシックこそで生きる人間。」
「これは誇らしいことなのよ」
『青柳春道の息子、青柳冬弥』
「いくらお前でも許さねぇぞ」
「その代わりもうその面二度と見せんな」
俺は……おれは…、おれは、……父さんを裏切って……彰人を裏切って……それで、…何もかも中途半端で何も出来なくて……
ごめんなさい、ごめんな…さい、…ごめんなさ…い……
「冬弥、大丈夫?」
「しら…いし…?」
「冬弥、目に隈が凄いし、さっきからふらふらだよ」
最近、夢によく父さんや彰人、そして昔の俺。色んな人が出てくる。それはどれも俺を責め立てるもので。何度も魘されては起きてを繰り返してたからな。
「だい…、じょうぶ、だ。すまない……ありがとう。では、」
「あっ冬弥!………もうどうしたらいいの……?」
杏視点
「ちょっと彰人!」
「なんだよ、五月蝿いな」
「冬弥が……」
「……………………」
「目に光が全くなくて、話しかけてみたけど避けられちゃうし、もうどうしたらいいの……彰人!!!」
「………………チッ」
冬弥視点
最近、自分は本当にどうかしてると思う。大好きだった読書も満足に出来なくて、彰人が声をかけてくれるのに無視して…。音楽を聴けば気持ちが楽になるかと思って聞いたけど、クラシック音楽も、ストリート音楽も聞けば聞くほど、裏切ってしまった罪悪感が出てきて苦しくて。そもそも楽になろうって考えてることが可笑しいんだ。俺がいけないんだ。全て。父さんや母さん、兄さんの期待を裏切って。彰人も声をかけてくれて、俺に背中を預けてくれてたのにそれも裏切って。なのに俺は楽になっていいことなんてない。
なら、俺はなんのために生きているだ?
俺はなんのために生まれてきたんだ?
クラシック?ストリート?
もう分からない。俺はなんのために生きて……
勉強を頑張ったって親は認めてくれない。でも今更クラシックには戻れない。なら俺はここにいない方がいいんじゃないか?だって俺は人に期待させておいて裏切るだけだから。自分の人生を楽しんだって人を傷つける。そんな奴がここにいたら迷惑だ。それなら、俺は……
彰人視点
「冬弥が、死んだ?」
いつもと同じように街で歌ってたら杏が急に泣きながら俺にしがみついてきた。
「とうやが、……とうやが死んじゃったよ……ねえ彰人!なんで……なんでよ、……あきとぉぉ!!」
「くそっ」
「~~~♪」
オレは今日も歌う。ひたすら歌う。彼奴の分もオレが歌う。一緒に同じ景色を見るために。
「熱かった……か、」
ごめん。あの時無理矢理引き留めておけなくてごめん。一人で悩み、抱え込ませちゃってごめん。
「冬弥……グスッ…オレが、ないてごめん………冬弥の方が苦しかったのに………ごめんな……、冬弥ぁぁぁぁっ!!」
そう言ってオレはライブハウスを後にした。
???視点
「これは冬弥の…ノートか?」
『ごめんなさい』、『すまない』、『期待に応えられなくてすまない』、『裏切ってごめんなさい』、『中途半端でごめんない』、『失望されるのが怖かった』、『もう俺は何をしていけばいいか分からない』、『俺はなんのために生きているんだろう』、『俺には生きる資格なんてないんだ』、『俺には生きる意味が無い』
そこには普段の綺麗な字とは全く違う乱雑に書かれた息子の文字があった。
「冬弥…すまない。無理矢理クラシックを………」
「小豆沢、白石、そして彰人は、この街で何度も歌っていくんだろうな」
俺が最期に見たのは俺が最後に裏切った街だった。
「ごめんなさい………__…」
そこには楽しそうにピアノを弾く幼い冬弥が此方を見ていた。
「ふふふっ」