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初めて会った時に思ったのは

翠(お父さんみたい…)

お父さんは俺が産まれる前に死んじゃったけど、写真をたまたま見つけて顔を見たことがある。

桃色の瞳の、優しそうな人。少し変な髪色してるけど、髪色よりも耳に着けている桜の耳飾りが目に入ってくる。

写真に写っていた人とは違うけど、雰囲気はあの写真の人、いや、お父さんに似ていた。

翠「…ぁの、」

黈「うぇっ?どうしたん?」

少し低い声色、気の抜けている返事。少し可愛いと思えたのはここだけの秘密。

翠「これ、何て書いてますか?」

黈「はぇ、…文字、読めへんの?」

翠「…」(頷

黈「え ~ っとね、ここに名前書いて!」

翠「なまぇ…」

俺は名前を知らなかった。名前を呼ばれたことなんてがなかったから。

黈「…もしかして、自分の名前分からへん?」

翠「…」(頷

黈「ちょっと待っといてぇや!」(走


翠「…ぉそいな、」

あの人がどこかに行ってから数分が経った。

だけど、なかなか帰ってこない。

翠(何かあったのかな…)

黈「はぁッ、はあっ、…お待たせッ!」

翠「…、!だぃ、じょ ~ ぶ、ですか、?」

黈「んはは、ちょっと絡まれちゃって」(笑

黈「はい!これ、君の名前!」

黈「緑埜須智やって!」

翠「みどりの、すち…」

初めて聞いた筈の自分の名前が、何故か心にぴったりと当てはまる気がした。

翠「ここに書けばいいんですか、?」

黈「そうそう!」

翠「ん、…」(書

棒の先に黒色の何かが着いているものを手に取り、さっき教えてもらった名前を書く。

翠「…できた、」

黈「ぉ、お ~ …」

少ししかめっ面をかましてきて出てきた言葉は少し詰まっている感じがした。

黈「文字も書いたことないん?」

翠「…」(頷

黈「そっかぁ…、」

引かれるのかな、

黈「じゃあ、俺が教えてあげるっ!」

翠「…へ、」

思っていたのと違う返事にまぬけな声が出てしまったのに羞恥心が少しあったけど、そんな事よりもこの人の言葉に耳を疑った。

翠「教えるっ、て…」

黈「うぇ、だめやった?」

翠「ぁ、いや…」

黈「よし、これから俺と頑張ろうや!」

黈「よろしくね、すちくんっ!」

翠「えっと、…」

この人の名前まだ聞いていなかったことに今さらながらに気付いた。それはこの人も同じみたいで、「あ」というような顔をしていた。

黈「黄山尊っていいます!よろしく!」

翠「黈…ちゃん」

黈「ちゃんっ?!」(笑

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つちのこねこを流行らせたい

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