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手を伸ばした先に、君がいた

7 - 第7話『その人は、ちゃんと私を見てくれる』

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2025年06月15日

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『その人は、ちゃんと私を見てくれる』



「最近、姫那ちゃんと九条くん、よく話してるよね」


昼休み、凛ちゃんの一言に姫那は少し驚いた顔をした。


「え、そんなに……?」


「うん。なんか話しやすそうに見えるし、悪い意味じゃないよ。

ただ──翔くん、ちょっとだけ気にしてるっぽいよ?」


その言葉に、姫那の胸がふっと揺れた。


(翔くんが、気にしてる……?)


でもその答えを考える間もなく、放課後、湊が姫那を呼び止めた。


「姫那さん、今から図書室行く?俺も行こうと思ってたんだけど、一緒にどうかなって」


「……うん。行く」


本を読みながら、湊はぽつぽつと話しかけてきた。


「姫那さんってさ、ちゃんと人の話を聞いてくれるよね」


「え?」


「前に言ってたこととか、ちゃんと覚えててくれて。そういうとこ、嬉しいなって思う」


姫那は言葉を失った。

そんなふうに誰かに“見られてる”って、思ってなかった。


「……私、人と話すの、あんまり得意じゃなくて。

でも、湊くんは自然に話してくれるから、たぶんそれが嬉しいんだと思う」


湊は優しく笑った。


「じゃあ、これからもいっぱい話そう。

姫那さんのこと、もっと知りたいし」


心臓が、ドクンと大きく跳ねた。


翔といるときとは違う安心感。

穏やかで、優しくて、ちゃんと「私自身」を見てくれる感じ。


けれど──その感情に名前をつけるには、まだ少し時間がかかりそうだった。






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