テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「」せりふ ()こころ
桃 side .
「らんらん 、 ただいま 。 …… どうしたの 、 そんなところに 座り込んで」
パタパタと スリッパの音が 近づいてくる 。
リビングに 入ってきた すち は 、 いつもと 全く 変わらない 、 世界一優しくて大好きな恋人 の 笑顔を 浮かべていた 。
その手には 、 お洒落な ケーキ屋の 紙箱が 大事そうに 握られている 。
けれど 、 俺 の 視線が 床に 散らばった 学生証や レコーダーに 注がれているのを見て 、 すち の 足が ぴたりと 止まった 。
部屋の中の 空気が 、 一瞬で 氷点下まで 凍りつく 。
「 …… あ」
すち は 小さく 声を 漏らした 。
言い訳を するでもなく 、 慌てるでもなく 、 ただ 「見つかっちゃった」 とでも 言うように 、 困ったように 首を傾げる 。
その 穏やかすぎる反応が 、 今の 俺 には 何よりも 恐ろしかった 。
「す 、 ち …… これ 、 なに …… ? 」
ガタガタと 震える声で 、 床の 学生証を 指差す 。
先輩の 学生証 。
そして 、 まだ 耳の奥で こびりついて離れない 、 クラスメイトの 悲痛な 悲鳴と 、 すち の 無邪気な 鼻歌 。
「それ ? ああ 、 らんらん には 見せたくなかったんだけどな 。 片付けが 甘かったね 、 ごめんね」
すち は そう言うと 、 持っていた ケーキの箱を そっと テーブルに 置いた 。
そして 、 ゆっくりと 俺 の 前に 近づき 、 床に 膝をついて 俺 と 目線を 合わせる 。
その瞳は 、 いつだって 俺 を 甘やかしてくれた 優しい色を しているのに 、 奥のほうが 完全に 据わっていて 、 人間のものとは 思えないほど 冷酷に 濁っていた 。
「すち 、 が …… みんなを 、 消したの …… ? トラックで 、 先生を …… っ」
「うん 、 そうだよ」
すち は 躊躇いもなく 、 あっさりと 微笑んで 頷いた 。
心臓が ドクンと 激しく 脈打ち 、 目の前が 真っ暗に なりそうになる 。
「なんで …… なんで そんなことするんだよ ! みんな 、 何も 悪いことしてないのに ! みんな 、 すちが …… っ」
「悪いこと 、 したよ」
すち の声から 、 ふっと 温度が 消えた 。
俺の頬 に 伸ばされようとした すちの手 を 、 俺 は 激しい恐怖から 、 思い切り ひっぱたいて 拒絶した 。
パチン 、 と 乾いた音が リビングに 響く 。
叩かれた すち は 、 怒るどころか 、 悲しそうに 眉を下げて 俺 を 見つめてきた 。
現世くるり ◤ ペア画なう ◢
3,249
524
93,647
その 歪んだ瞳が 、 俺 の 理性を ガタガタと 削っていく 。
「どいつも こいつも 、 らんらん に 馴れ馴れしく近づいて 、 俺たち の 邪魔を しようとしたんだ 。 この前の あいつだって 、 らんらん に 週末の予定を 聞いてたでしょ ? …… だから 、 処分したんだよ」
「処分って …… っ 、 人間なんだよ !? 先輩も 、 先生も 、 みんな …… っ ! 」
「俺 にとっては 、 らんらん 以外の 人間 は 全員 ただの 『ゴミ』 だよ」
すち は 淡々と 言い放った 。
その 口調には 、 一切の 罪悪感も 、 人を 傷つけたという 自覚も なかった 。
あるのは 、 狂気的なまでに 純粋な 、 俺 への 執着だけ 。
「俺 は 、 らんらん の 綺麗な世界 を 守りたかっただけなんだ 。 らんらん が 怯えて泣くのは 、 周りの ゴミども が 余計なことを するからでしょ ? だから 、 俺 が 全部綺麗に 掃除してあげたの 。 …… ねえ 、 らんらん 。 俺 、 間違ったこと してないよね ? 」
すち が 、 すがるような目で 俺の顔 を 覗き込んでくる 。
狂っている 。
この人は 、 完全に 狂っている 。
俺 の 周りから 人が 消えていたのは 、 呪いなんかじゃ なかった 。
俺 が 関わったから 消えたんじゃない 。
俺 が すち の前にいて 、 すち に あの笑顔を向けたから ―― すち が 、 怪物に なってしまったんだ 。
「ひっ …… う 、 あ …… っ」
過呼吸のような息が 喉を突き上げる 。
恐怖で 頭がおかしくなりそうな 俺 を 、 すち は 今度は 拒絶を許さない力強さで 、 がっしりと 両腕で 抱きしめてきた 。
「大丈夫だよ 、 らんらん 。 真実を知っちゃっても 、 俺 は 嫌いになったりしないから 。 あいつらは 全員 もういない 。 この世界には 、 俺とらんらん の 二人だけ でいいんだよ」
耳元で 囁かれる 、 冷徹な 殺人者の 、 世界で一番甘い声 。
俺 は すち の 腕の中で 、 ただ 恐怖に ガタガタと 震えながら 、 涙を 流すことしかできなかった 。
【、】
episode 9 . fin_
コメント
4件
🌾失っ.ᐟ.ᐟ そろそろ【】の文字つなげたらなんかになりそうな予感(予感ね、予感。) 今回もさいこぉぉぉぉぉぉぉ.ᐟ.ᐟ 愛を叫びたい。(まじでやめろ) 狂気愛ありがとう最高✗ぬ。 ふぁ。溶けたぁ。 ということでちょっくら冷蔵庫入ってくるか。
ああ、すちの怪物性がついに露わになった回……胸が痛かったです。「らんらん以外はゴミ」ってあの優しい口調で言い切るのが、逆にぞっとしましたね。でもすちからしたら本当に純粋な愛情で動いてるから、らんらんが拒絶したときの「悲しそうな眉」がまた切なくて。恐怖と愛情がぐちゃぐちゃに混ざるラスト、鳥肌立ちました。続きが気になります……!