TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「あ、えと…」


手伝いといっても、なにをすればいいのかサッパリ分からない。

その場に突っ立っていると、洗い物をしている少年の母親から声をかけられる。


「ところでアンタ」

「は、はい…」

「名前はなんて言うんだい?」

「あ、えと…星乃…です」

「ホシノォ?…随分変わった名前だねぇ…まあ、いいさ。とりあえずこのお盆運んでおくれ。」

「あ、はい…」


なんだかよく分からないまま、仕事を任されてしまった。

お酒のグラスがたくさん置かれたお盆をもって厨房を出ていく。

歩いているだけで、次々とお酒がとられてゆく。

いいのかな…これ。お代とか…


「さぁ、さぁ皆さんご注目!

吟遊詩人の詩の時間だ!コインは多めにご準備を!」


声の方を振り返ると、あの少年だ。

正直、驚いた。

彼があんな大声を出すような人には見えなかったからだ。


空になったお盆を持って厨房へと歩く。

後ろからは彼の歌声。少し懐かしくて暖かい…

でも賑やかな曲調はどこか惹かれるものがあった。

昔話でも語っているんだろうか…


「す、すごいですね…息子さん」


勇気を出して、少年の母に話しかけてみた。


「だろぉ?うちのリボルトは、将来吟遊詩人になるのさ!

世界中を飛び回って語るんだってよ」

「へ、へぇ…」


それは…素敵な夢。


「さ、次はこれだよ!」

「は、はい!」



次から次へと運ばれてくる料理の数々、目が回るほどの大仕事だった。

閉店の時間には、すっかり疲れ切っていた。


閉店時間を過ぎると、さっきまで賑やかだったはずの酒場も

夜の静けさを取り戻す。


「お疲れ様。ごめんね…急に頼んじゃって…」

「大丈夫…です」


ギリギリ聞こえるほどの声量で答えた。


「…僕、リボルト。」

「ぇ…」

「自己紹介…まだだったね…」

「…ホシノ…」

「ホシノ…?変わった名前…

じゃあ、改めてよろしくね。ホシノ」


そう言って微笑むと、彼女も…ホシノも少し笑ったような気がした。



夕食を食べた後は、ベットに入って寝る支度をした。

ちょうど僕の部屋には空いてるベットがあったから、そこを貸す。


「ホシノ…君はさ、どこから来たの?」


ベットに腰掛け、ホシノに尋ねる。


「…トウキョウ…」

「…トウキョウって、どこにあるの?きっと別の国なんだろ?」

「多分…」


そう言って困ったように笑った。


「ニホン…」

「に…ほん…?聞いたことないな…。御伽の森の向こう側?

そこなら僕、行ったことないんだ。」

「……」


さらに困ったような顔をするホシノ。

どうやら違うらしい。


「御伽の森はわかるだろう?」


此処ではだいぶ有名な森だ。

世界中どこを探してもその森を知らないものはいない。


「おとぎの…森?」


まさか…知らない…?


「じゃ、じゃあ君よっぽど遠い所から来たんだね…」

「多分…気づいたら…此処に」

「気づいたら…?」

「はい…さっきまで…家のベットにいたはずなのに…」

「??」


この作品はいかがでしたか?

20

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚