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「それから、披露宴は海外で身内だけ……本当にそれでいいのか?」
「すみません、わがまま言って」
「気にしなくていい。君といられるなら、俺はどんな形でも構わない」
「ありがとうございます。いろいろ感謝しています」
私が、そうしたいって無理を言ってお願いした。
麗華のことも気になっていたし、あまり派手にはしたくなかった。
「式場は申し訳ないがずっと懇意にしているホテルに決めたい。グレースホテルで」
「えっ、あんな最高級ホテルでですか?」
「ああ、グレースホテル東京の総支配人とは友達なんだ。世界中、どこの国のグレースホテルに泊まっても、最上級のもてなしで応えてくれる。何から何まで素晴らしいホテルだから。国は新婚旅行を兼ねて君が決めればいい。ウエディングドレス、指輪も早速見にいこう。楽しみだ」
グレースホテルにウエディングドレスに指輪。
あまりにも素敵なワードの羅列に少し戸惑う。
「本当に……私達、結婚するんですね……」
「ああ。結婚して夫婦になる。3人で家族になるんだ」
ほんの少し前までは、一生結婚することはないって思ってたのに、何だか不思議な気持ちになる。
こんなに幸せでいいの? って。
「まだ信じられないです。でも、すごく嬉しいです。雪都もパパが側にいてくれて幸せだと思います」
「雪都がすぐに懐いてくれてよかった」
何のためらいもなく慶都さんを受け入れ、嘘みたいにすぐ「パパ」って呼んだ雪都。
嬉しそうにパパに抱きついていた姿がすごく可愛かった。
「慶都さん、子どもの扱いが上手いですから。今からでも立派な保育士になれますよ」
「それならすぐに資格を取らないとな」
2人で談笑するこの時間が大好き。
毎日忙しいから、帰りが遅くなったり、仕事を持ち込んだりすることもあるけど、私への気遣いは忘れずにいてくれる。
些細なことも面倒くさがらずに聞いてくれて。
そんな慶都さんの優しさがすごく嬉しくて、毎日この笑顔を見ていられたら、どんなに幸せだろうと思えた。
つらいこともきっと乗り越えられる。
だから、ずっと……私の側で笑っててほしい。
「そうだ、マリエのことを話しておくよ」
いきなりマリエさんの名前が出てきて驚いた。
少し改まって慶都さんが話し始める。
「彼女は、お見合いしたんだ。すぐに相手の人と意気投合して、お付き合いすることになったって。マリエから『あなたよりもずっと素敵な方です』と言われたよ」
慶都さんが私との結婚を話した時、マリエさんは泣いていたらしい。
でも、お見合いしたんだ……
きっと、苦しくて悲しくて……つらかったと思う。
「マリエさん、本当は慶都さんのことが大好きなのに、慶都さんの幸せを願ってわざとそんなことを……」
「マリエは俺の妹みたいな存在なんだ。藤間フーズのことを本当にちゃんと考えているところはとても尊敬しているし、幸せになってもらいたい。今の彼氏と結婚すれば、間違いなく2人でこれからの藤間フーズを盛り立てていくだろう」