shk × kn
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kn視点
kn「う゛ぅ…、んっ…、?」
何故か分からない。
何故か俺は今、とある家のベッドに横たわっている。
ガンガンうるさい頭痛と戦いながら、昨日何があったのか思い出した。
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〜昨日の放課後〜
< きんとき!ボールそっち行った!
kn「おけ!任せろ!」
野球部だった俺は春の公式大会に向けて、必死にボールを追っかけた。
まだ1年だけど、数多くいる先輩を押しのけて…いや、言い方が悪いか。監督に認めてもらえて、スタメンとして試合に出ることになった。
カレンダー上はまだ3月。だけど温暖化のせいか、気温は5月並に暑くて、先生も気を使って休憩を多めに取ってくれた。
そうだ。あれは休憩中の出来事だ。
nk「おつ〜」
kn「あぁ、Nakamu。お疲れ」
nk「今日暑くね?ほんとに今3月かよ」
kn「ね笑」
ベンチに置いてある温度計を見れば、20度を超えていて、額から汗がダラダラ流れていた。
nk「きんとき、顔色悪くね?大丈夫?」
kn「え?別に普通だけど…」
nk「いーや!俺の目に狂いはないね。きんとき、昔から病弱なんだから、無理すんなよまじで。」
はっきり記憶が残っているのは本当にここまで。
その後はぼんやりしか覚えてないけど、誰かに運ばれたのだけは記憶がある。
朦朧とした意識の中聞こえてきたのは高校生とは思えないくらいの低い声。間違ってもNakamuではないことだけは分かる。
俺の知り合いにはここまで声の低い人は居ない。
そうだった。俺はここで考えることを放棄したんだった。
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shk視点
1個下の学年が入学した時からずーっと、気になるヤツがいた。
そいつは周りから“きんとき”って呼ばれてて、なんか、小動物みたいだなって思った。
きんときがいつもお昼にNakamuってやつと飯を食ってることも、放課後は部活をするか、図書室にいるかのどっちかだってことも、
好きな人のことを知ろうとするのはおかしい事じゃないだろ?
ある日の放課後。いつものようにグラウンドで馬鹿みたいにボールを追いかけている野球部を教室の窓から眺めていた。
もちろん、俺は補習中。だけど、そんなことよりもきんときが汗水流しながら走ってる姿がキラキラしてて、目が離せなかった。
ガラガラっ、と、教室の扉が開く音がしたと同時に、外から「きんとき!?」って呼ぶ声が聞こえた。
反射的に外を見れば休憩していたはずの彼がベンチで横になってた。
気づいたら外にいたよね。
きんときのお友達のNakamuくんにも「え、誰…、ちょ、おい!」なんて言われたけど、そんなの無視して、きんときを抱えて保健室まで走った。
廊下からは俺を探す補習の担当の先生の声。
うるさいなぁなんて思いながら、保健室の先生にきんときをお願いした。
はずなんだけど、保健室から出ようとする俺をきんときが止めたんだよ。腕をくいって引っ張って。
shk「きん…とき、?」
kn「だれ、…、?だ、れ……、」
それだけ言って、全身の力が抜けたかのように腕をだらんとさせて目を瞑った。
保健室の先生から、2人は知り合いじゃないのかって聞かれたから、咄嗟に「いや、友達です」なんて言っちゃって。そしたら、その先生、「じゃあ家まで送ってもらえる?」なんて言うもんだから、「わかりましたー」ってだけ答えた。
今どき友達の家知ってるやつなんてそうそういないと思うんだけど。
あー、俺の荷物教室じゃん…。仕方ない、取りに行くか。
長い長い廊下をきんときを抱えながら歩いていると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。補講の先生だった。
「おい、どこいってたんだ!」
shk「さーさん、補講よりも大事な用事出来たんで帰ります」
待て!なんて言う声を聞き流して、とりあえず自分の自宅に向かった。
親はいない。どうせ今日も母親は男遊びで、父親も女遊びでどっかほっつき歩いてるだろうし。
そこからはもう、すぐだった。
手際よくきんときを風呂に入れて、髪を乾かして、自分のベッドに寝かせる。その間に体にいい食べ物を軽く作って、そしてその後は…
< ガチャッ
shk「!?おい!起きたのはいいけど、寝とけよ!何してんだよ!」
kn「んぇ、ゆ、かい…、?」
shk「…は?誘拐?んなことするかよ!」
とは言ったものの、きんときは俺のことを知らない。俺が一方的に知ってるだけで、俺の家に連れ込む。
これ、誘拐じゃん。
shk「…ごめん、怖がらせたなら謝る。」
kn「いや、、多分、助けてくれた…んでしょ、?」
shk「助けた…つーか、まぁ、そういうことにしとく。」
kn「……なまえ、」
shk「え?」
kn「なまえ、なに?」
shk「…一応俺先輩なんだけど…wまぁ、シャークんとでも呼んでくれれば」
kn「え、先輩…?ちっちゃ…、っん゛ん゛」
kn「先輩…なんですね、その、敬語とか、ごめん、なさい。」
こいつ、俺のことちっちゃいって言ったの俺聴き逃してねーからな…。
なんてことはどうでも良くて、
shk「敬語なんて別にいいよ、それに、俺が好きてやった事なんだし、むしろごめん、」
kn「人助け…が、趣味なんですか、?」
shk「いゃ、違…、、」
kn「いい人ですね、シャケ先輩」
shk「しゃ、シャケ?」
kn「先輩のあだ名です!…いや、でしたか?」
shk「いや…なんてことないけど、」
なんて会話をしながら、気づいたら外はもう暗くなっていて、きんときもちらちら時間を気にしている様子が見られた。
だけど、俺の家からきんときの家はかなり遠いらしく、2時間くらい離れた場所に住んでるんだって。
kn「明日、学校休みでよかった…」
そんなことをきんときがボソッと言った。
kn「…先輩、俺帰りますね!長居しちゃってすみません。それじゃ、また学校で!」
正直、家に泊めようと思った。それで、あわよくば俺にちょっとでも好意を持ってもらって…なんていう少しの下心と、本当に心配の気持ちで…。
shk「…泊まってけば」
あぁ、俺はなんでこうきつく言っちゃうんだろう。人より早い声変わりのせいで昔から…。
kn「!いいんですか!?…いや、でも親御さんとか…」
shk「親はいない。…いや、いないってのは誤解だけど、帰ってこねーし、」
kn「ぁ…なんか、ごめんなさい」
shk「いや、いいよ。で?どうすんの?」
kn「じゃあ…、その、お言葉に甘えて…。」
それからなんやかんやで、ご飯食べて、ゲームして、気づけばもう、夜は遅い。
─きんとき、ゲーム上手いんだな。
─まぁ、人よりはやってるし、
─俺に比べちゃまだまだだけどな
─ゲーマーのシャケと一緒にしないでくだーい
なんて会話をしながら。
もちろん、夜襲うとかそんなことはしないけど、それでも好きな人と一緒っていう事実が嬉しくて、時間があっという間に溶けた。
kn「っけほッ…、」
shk「ん、大丈夫か?」
kn「は、はい、いつもこの時間になるとッ、げほッ」
shk「…喘息?」
kn「軽いやつです、大丈夫ッ、」
大丈夫と言いながらさっきからずっと咳き込んでて、俺は喘息とか無縁の関係だったからどうやったらいいかわかんなくて、
だから、
無意識に、
ぎゅッ
kn「へっ…」
抱きしめていた。
shk「ごめッ、俺どうしたらいいか分かんなくて、」
kn「ッげほっ、っははッw」
kn「ありがとー、ございッます、笑」
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月曜日
きんときは次の日ちゃんと家に帰った。
あとから聞いたけど、家に吸入器って言うものがあるから、大丈夫だって。
ちゃっかり交換したメッセージアプリから、そう連絡が入った。
< なぁ、シャークん、なんか1年が呼んでるけど
shk「っ!?あ、ありがと、」
もちろん、俺の事を読んでいたのはきんとき─
ではなくて、その友達のNakamu君。
これ、怒ってんな…。
nk「っ、お、おいッ…!えっと、」
shk「ごめん」
nk「…え?」
shk「いや、きんとき、と仲良いから。」
nk「あの、俺今日お礼言いに来たんです、」
shk「お礼?」
nk「きんときを助けてくれてありがとうございました。」
nk「それと、」
彼はチラっと廊下を見て俺に耳打ちをした。
nk『きんときのこと、好きなんですか?』
shk「っ!?、…だ、だったら、なんだよ、」
nk「ここだけの話、きんときがあなたに惚れてましたよっ」
nk「じゃ!!!」
惚れた…?きんときが、俺に…?
…言っても…、いい、よな、
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shk<< きんとき、伝えたいことあるから、放課後残って。
kn<< 告白ですか?笑
shk<< そう。って言ったら?
kn<< …すぐ向かいます、
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コメント
1件
はっ!?可愛すぎだろふざけんな!!!!!!!((( あぁぁあ…大好き…体弱い喘息持ちきんとっきー… んでシャケかっけぇ… 切るとこエモすぎ、流石に神 「うわぁ、どうなるんだろ、両想いだし幸せになるんだろうな…ワクワク…うぇー続きない!!?そこで切るマ!?エモ!!!!!!!」 って1人で表情筋大暴走した