テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
迷った。というよりはどこへ行けばいいのかわからなくなった。雨が降っているからとりあえず雨宿りできる場所へ行きたい。このままだと風邪をひいてしまう。
「ねぇそこの君なにしてんの?」
「うっわめっちゃ美人。男だよな?俺抱けるわ笑」
「たしかに笑」
20歳くらいの男が2人。空腹で頭が回らない。この人たちが何を言ってるのかも正直理解できてない。ただ、逃げなければいけないのは本能でわかった。
「駅前のホテル行こうよ。お前の顔面まじ最強じゃん」
「お前の元カノより美人だぜ」
「うるせぇよ笑」
「ほら、行くぞ」
腕を掴まれた。反射的にその手を振りはらってやめろと言った。言ってしまった。
「は?なにそれ。美人は黙って抱かれときゃいいんだよ」
だからこんな見た目大嫌いなんだ。
「こいつ全然喋んねーな」
こんな性格が嫌いなんだ。
「美人の顔殴んのは好きじゃねぇけど、痛めつけられてる美人もいいよなぁ」
「たしかに笑」
もう、いいや。
「あなたたちについて行きます」
「おっ、ヤル気になってくれたじゃん!」
「ラッキー。行こうぜ」
今度は俺の手首を掴んだその手を振り払わなかった。
「燈李!」
嫌だ。なんで。良かった。早く行かなきゃ。
何を言うか迷った。でも男たちの方が先だった。
「は?なにお前」
「保護者的な?それにしては若すぎだろ」
「その子の保護者だ。どこへ連れていくつもりなんだ」
「そんなん俺らの勝手じゃーん。美人くんも、俺らについてくって言ったし」
「燈李が…!?」
花崎さんの視線を感じる。もうこの場からいなくなりたい。こんなに面倒なことになると思わなかった。
雨が強まり、服が体に張り付いて気持ち悪い。それだけが理由じゃないのかもしれないけど、見て見ぬふりをしてるのはわかる。
「燈李、本音を出していい」
「おいおいまだつっかかって…」
「俺はお前を捨てない。絶対に」
正直、信じられなかった。そんなことどの家の人も言っていた。けど捨てた。でも、花崎さんは俺を迎えに来てくれた。
「早く行こうぜ」
「だな。美人くん行くぞ」
「行かない」
その1%を信じてもいいのかもしれない。
「は?」
「助けてください、花崎さん!」
「そのために俺がいるんだよ」
「チッ、やってらんねー。もういいわ」
「行こ行こ」
男は強く俺の腕を振り払い、俺はその勢いで転んでしまった。
「燈李!」
「花崎さん、なんで来てくれたんですか」
「お前、なんか顔色が」
「え?あの、雨でよく、聞こえなくて」
違う。耳鳴りだ。うるさい。何も聞こえない。
「燈李?燈李!」
「もう少し、大きな…こえ、で」
俺の意識はそこで途切れた。
あんな(腐女子)👑🎧️
104
#独り言
QuartoMew
1,565
輪廻
124
コメント
1件
第6話、めっちゃ切なかった……雨の夜に追い詰められて「もう、いいや」って諦めかけた燈李の気持ち、すごく痛いほどわかったよ。そこに花崎さんが「俺はお前を捨てない。絶対に」って現れてくれて、思わず涙出そうになった。たった1%でも信じて「助けてください」って叫べたのが本当に尊い……最後の耳鳴りと意識が途切れるとこ、怖くて続きが気になる😢花崎さんの存在が燈李にとってどれだけ大きいか、ひしひし伝わってきたよ。