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長い、長い、濃厚なキスだった。
互いの呼吸が絡まり、唇が離れる頃には、2人とも肩で息をしていた。
「……ごめん、滉斗。怖かったな」
元貴がふと目を伏せながら呟いた。
さっきまでの勢いとは裏腹に、その声はどこか弱々しくて、滉斗の胸を締めつけた。
「……いいよ」
その返事に、元貴の肩がほんの少し緩んだ。
けれど次の言葉は、さらに深く元貴の中の罪悪感を刺激していた。
「……ちなみに、これもごめん。 あの日、車の中で……お前に触れてた。
お前に触れて、我慢できなくなって、一人で……。ごめん」
言い終えたあと、元貴は自分の手のひらをぎゅっと握りしめた。
その表情には、後悔も、情けなさも、全部混ざっていた。
滉斗は、少しだけ目を細めて微笑んだ。
「……ほら、やっぱり。夢の中でも……元貴に触れられてるような感覚、あったんだよ」
「……そうなの?」
頬を赤らめながら、元貴が照れたように目を逸らす。
けれど、次の滉斗の一言が、再び空気を変えた。
「ねぇ、どんな風にしてたか……俺に、見せてよ」
「……えっ、マジ?ここで?」
元貴の目が一気に見開かれた。
「…安心して。いい場所、あるから」
滉斗の声は、さっきまでの真面目なトーンとはまるで別人のように艶を帯びていた。
唇を少しだけゆがめ、いたずらっぽく笑う。
「……防音室。レコーディングの。」
「お前なぁ……っ」
たじろぎながらも、どこか期待に火がついたような元貴の目。
その反応を楽しむように、滉斗がもう一歩近づく。
「いくら声出しても外には聞こえないから。……大丈夫だよ。 ほら、行こうよ」
差し出された手に、元貴は一瞬戸惑いながらも、そっと指を絡めた。
揺れる気持ちと高鳴る鼓動を抱えたまま、2人は静かにスタジオの奥へと歩いていった。
to be continued…