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莉乃ちゃん
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心の中にずっと溜め込んでいた見苦しい本音を毒づくように吐き捨てると
敦の優しかった顔は一瞬にして硬く強張った。
「…言ったじゃん、一緒にいるって。俺、ひろから離れる気なんてないよ」
「そんなこと言ったって…人の気持ちなんてすぐ変わるもん……こんな僕と、ずっと一緒にいてもらえるはずない…っ」
敦が僕を安心させようと、どれだけポジティブで前向きな言葉を与えてくれても
歪んでしまった僕の心がそれを簡単に揉み消してしまう。
彼の言葉を受け入れることがどうしてもできないんだ。
まるで、敦と僕の間に
見えない1枚の分厚い壁が出来てしまったかのように、部屋の空気が重く冷たく沈み込んだ。
それでも、言葉を吐き出してしまった以上、もう手遅れだった。
僕の暴走した思考は止まらない。
「浜崎くんだって最初は優しかったのに、甘い言葉をたくさんかけてくれたのに、途中から変わった…!」
「僕が鈍臭くて、面倒だから、えっちもできないから、罵って殴ってサンドバッグにした…!!」
自分でも隠しておきたかったはずの恥ずかしい過去の記憶すら
なりふり構わず引っ張り出して、泣き叫びながら敦に訴えてしまう。
「しゅんは昔からの幼馴染だし、誰よりも信頼してるけど…っ、浜崎くんのこと思い出して…怖くなるんだよ…!しゅんまで、僕のせいで変わっちゃったら…って」
怖かった。ただ怖かったんだ。
敦から「そんなことあるわけないでしょ?」と強く抱きしめて否定して欲しかった。
それだけの幼い感情で吐き捨てた言葉は
「…っ、俺、そんなに信用ない……?」
僕が思っていた以上に、まっすぐに敦の心を突き刺し重くのしかかっていた。
「しゅんを信用してないわけじゃないよ…けど──」
「…ひろが怖いのは分かった。でも、それを聞かされる俺がどう思うかは……考えてはくれないの?」
僕の顔を真っ直ぐに見つめてそう言った敦の声は、低く沈んだ声だった。
そこまで冷ややかに言われて、僕はハッとして、やっと自分のしでかしたことに気付く。
(……僕…最低なこと、言った…?)
敦はこれまでの僕のすべてを受け入れてくれようとしていたのに
僕自身は過去のトラウマに逃げて、そんな敦の真っ直ぐな愛を拒んでいるようで
だからこそ、彼を傷つけてしまったのだと理解した瞬間
余計に胸が押し潰されるように痛くなった。
「…トラウマがあるのは分かるよ。だからって今のは……俺まで〝浜崎と一緒でひろを傷付ける男なんじゃないか〟って思われてるように聞こえる」
「…っ、ち、違う…!そんなこと言いたかったわけじゃ────」
「言ってなくても、そう聞こえるって言ってるんだよ」
敦の声が一段と低くなった。