テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ピーンポーン
「しつれいしまーす。」
「あら黒葉くん!。中君なら部屋で寝てるわよ。」
「入って良いですか。」
「いいよ〜。あ。これ、あげる。アレルギーある?」
「あ、ありがとうございます。アレルギー、無いです。ありがとうございます。」
「入るぞ。」
「…。」
「その、今日はごめんな、色々、言っちゃって……..」
「………………………………いいよ。」
「俺さ。駄目なんだ。」
「え…な、何が?」
僕は布団の中から出て、黒葉くんと目を合わせる。
「何やっても、尽くしても、皆、怒って、泣いて、俺の事を嫌っていく。何をしても、いつもいつも都合悪くなってしまう。俺、どうしたら良いんだ?」
「自分の事が嫌い?」
「もううんざりだよ。」
「これからもそのままだと思う?」
「…ああ。」
「そっか。今まで、よ〜く。頑張ってきたね。」
優しく笑いかけ、黒葉君の頭を胸元にそっと押し寄せる。
背中に付く指がかすかに震えている。
「僕に言える事はたった一つ。生きて、生きて。いつかの幸せを見つける。それからもずっと。頑張っている自分を好きになるまで。僕がいるからね。」
「優しいな。お前は。」
背中を優しくポンポンする。黒葉君の泣き声に胸が痛くなる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「……………………………………..そうだったのか…..」
沈黙が走る。
「ハ、ハハ。」
「俺に、俺にも話してほしかった。」
口の形が歪む。それを抑えるために腕を口に置く。目がヒリヒリする。
「言ってた。言ってたよ。」
次は中宮が口を開く。
「黒葉君が、『まだ、杏美に打ち明ける勇気が出ない。早く伝えたほうが良いかな、まだボロを知られたくないんだけど。』って。」
「そっ、、か。よかった。」
「よかった…」
「よかった。」
安心する。黒葉がいないのは淋しいけど。「それ」とはいつかは向き合わないといけないのだろう。
コメント
1件
(読了後のしみじみした笑顔) 黒葉くんがやっと本音をこぼせた瞬間、胸がぎゅっとなりましたね……。「生きて、生きて。いつかの幸せを見つける」って、優しさだけじゃなくて覚悟も感じる台詞で、深く響きました。後半の中宮さんの「俺に話してほしかった」にも、彼なりの想いが詰まっていて目が潤みました。のるちさんの描く距離感の機微、本当に好きです。続きが楽しみです🤍
#CP要素あり
70
127
45