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◇◇◇◇◇
なんか、昨日は気持ちいい夢を見たな。
ふふふ。グフフフフ。
まだ眠いから、もうちょっと寝とこ。
今日は、探索はお休みだし。
うーん。すごく気持ちいい。
すごく柔らかい。
すごく柔らかいな……。
ん?すごく柔らかい?え?
「颯、おはよう!」
「颯くん、おはよう!」
え?えー!
「な、なんでいるの?」
「昨日の夜中ね。」
「そう。昨日の夜中に。ふふふ。」
俺が探索は休みということで、昨日は4人がルームでお泊まりすると言い出した。
みんな、各自の部屋で就寝していたはずなのだが、朝起きると、なぜか、静と朱美が……。
俺、変なことしてないよね?
いや、むしろ、されてないよね?
「お兄ちゃん!おはよう!って、なんで、静姉と朱美さんがいるの?」
「桜、どうしたの〜?えーーーー⁉︎」
「お兄ちゃん!もう!童貞のくせに、いきなり3人?早すぎない?」
「え?桜ちゃん……。」
「ち、違う。誤解だ〜!何もない!何もないはずだ!静、朱美、誤解を解いてくれ!」
「うん、そうね。でも、嬉しかった。」
「うん。心が満たされたよ〜!」
「ちょっと〜!」
「誤解だ〜!」
「「ふふふ。」」
◇◇◇◇◇
今日はA級探索者登録のために、東京丸の内にある日本探索者協会、通称JSAの本社ビルに来ている。東日本州支社は本社ビルの中にある。
ちなみに州支社はそれぞれ、
北日本州支社:札幌
西日本州支社:大阪
南日本州支社:福岡
に所在している。
これは、別に大都市に所在しているわけではなく、日本に存在する4つのA級ダンジョンに隣接されているだけである。たまたまであって、断じて、設定上わかりやすいからではない。
「橘 颯です。A級探索者登録に伺いました。」
「お待ちしておりました。」
◇◇◇◇◇
コンコン!
「どーぞ!」
ガチャ!
「橘 颯さんをお連れしました。
写真撮影はすでに終わりました。」
(え?なぜ、一緒にあの2人がいるの?)
「ありがとう。」
「はい、失礼します。」
「橘君。お掛けください。
私は、東日本州支社長の大久保 俊也です。A級探索者昇格おめでとうございます。」
「橘 颯です。よろしくお願いします。」
「ここまで、若くしてA級になったのは、藤堂さん以来ですかね。将来が楽しみですよ。」
「ありがとうございます。」
「今日は、特別に防衛省・探索局から、局長の松田 龍作さんと局次長の藤堂 美咲さんもお越しくださってます。
後ほど、お話があるそうです。」
「では、早速説明に移りますね。
ここからは、私、早見 咲夜が担当します。よろしくお願いします。
まず、本日をもって、A級探索者となるわけですが、A級探索者には、新しい義務と優遇が発生いたします。
まず、義務ですが、A級探索者のみで構成される組織である『A-Grade Seekers Club』通称AGSCに加入いただきます。
こちらの組織は、国際的な組織ですので、同時に探索者ランクは国際A級という形になります。
AGSCのメンバーは、スタンピード等アクシデント発生時に派遣要請がかかります。
その際には、現地に赴き、処理を行なっていただくことになります。
これが、A級探索者の義務の部分になります。
要請を理由なく応じなかった場合は、探索者資格抹消処分になる場合がございますので、ご注意ください。」
へぇ、結構、重い義務と重いペナルティが発生するんだな。
「その代わりに、AGSCメンバーには、月1200万円の報酬を振り込ませていただきます。
こちらは、要請待機への報酬で、何もなくても、支払われます。派遣された際には、それに応じた特別報酬が別に加算されます。」
え?月収1200万!嘘!桁がおかしい。大丈夫?
「ここまでで、何か質問はありますか?」
「義務はわかりました。派遣要請はどうやって連絡が来るんですか?」
「はい、後ほど説明する予定でしたが、この指輪型通信装置をお渡しします。
こちらは、地下迷宮型に限りますが、ダンジョン内でも通信可能になっており、探索者の現在地の把握と音声通信が可能です。」
わー、出ました。ダンジョンの通信はすごいけど、現在地まで把握されるのね……。 しれっと、プライバシー侵害……。
「なるほどです。地下迷宮型ってなんですか?」
「はい、ダンジョンには、地下迷宮型と地上世界型が存在します。現在、日本で探索可能なダンジョンは、地下迷宮型に限られますので、特に気にする必要はありません。」
「へぇ。そうなんですね。
あと、報酬がすごいですけど、そんなにもらっても大丈夫なんですか?」
「はい、全く問題ございませんよ。ふふふ。」
わー、変なこと聞いたのかも?
「A級探索者って、何人くらいいるんですか?」
俺って、全然知らないから。
「現在、橘さんを入れて、日本全国で114名ですね。橘さんは最年少A級探索者ですね。
今までは、そこにいらっしゃる藤堂局次長が、最年少でした。」
「へぇ。いろいろすいません。この辺りのこと、ほとんど知らないんで。」
「大丈夫ですよ。期待の新人ですから。大物感があっていいと思いますよ。ふふふ。
では、続けますね。
次に優遇事項ですが、国内では、A級特殊国家公務員、通称A特という肩書きになり、公共交通機関がすべて無料になります。また、全国の国営施設や提携施設はすべて無料でご利用いただけます。」
なんじゃそりゃ!お腹いっぱい。
「さらに、これが目玉なんですが……。」
まだ、あるの?
「複数の方との結婚、つまり、重婚が可能になります!」
「へ?」
わ!声出してしまった!
「ふふふ。いいリアクション、ありがとうございます。重婚はどう思いますか?」
「ちょっと、やりすぎじゃないですかね?」
「そうですよね。私もそう思います。
ぜひ、ご活用ください。」
なんか、言ってることめちゃくちゃだ。
あとでわかったことだが、A級探索者登録を拒否する人、特に男性の拒否者が増えたため、それを防ぐための苦肉の策だったらしい。
効果があったかと言うと、実は意外にもあったらしい。
「説明は、以上になります。
何か質問はありますか?」
「大丈夫です。」
「では、こちらに署名をお願いします!」
サラサラ!
「ありがとうございました♪(ヨシッ!)
今後、何かありましたら、私が窓口になりますから、なんでも言ってくださいね!
こちらが連絡先になります。
では、私はこれで失礼します!」
なんで、この人、小さくガッツポーズしたの?
「それでは、州支社での手続きは完了したので、私もこれで失礼しますね。
本日の官報そして全国のニュースで、あなたの名前が顔写真付きで出ますからね!
楽しみにしておいてください!では。」
全然、楽しみじゃねえ〜!
目立っちゃう〜!全国で114名しかいないとこういう扱いになっちゃうんかなぁ?
ところで、局長と局次長が残られましたけど、何の話でしょうか?
空気がものすごく重いです……。
◇◇◇◇◇