テラーノベル
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NARI
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月が綺麗な夜だった。
遊びに出かけた帰り道、勇洙と菊は並んで歩く。
閑静な住宅街を照らす、ぼんやりとした街灯の下。
「……満月なんだぜ」
ふと勇洙が足を止め、空を見上げて呟いた。
「日本だとこんなとき、こう言うんだろ?
『月ガ綺麗デスネ』」
「…まぁ、言うこともあるでしょうけど……」
(どちらの意味なんですかね)
(……おそらく、言ったままの意味でしょう)
「……2つ意味があるって知ってるんだぜ」
心を読まれた気がしてドキリと胸が跳ねた。
「……そうですか」
「さっきのはどっちだったと思う?」
勇洙がいたずらっぽく笑う。
「……そんなの決まっているでしょう。からかわないでください」
(そうでないなら、どんなにか)
つとめて冷静を装い、菊はそのまま歩き出す。
勇洙は一瞬切なそうに視線を落としたが、すぐに背中を追いかけ、隣へと並んだ。
それ以上は二人とも、何も言わなかった。
繋がれることのない手がかすかに触れ、アスファルトの上に並んだふたつの影が静かに揺れた。
両片想いのヨン菊。
素直に好きって言えないもだもだ。