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『ならば、落ち着け。』
フェルの声は、落ち着いてた。
『連れてった神に、心当たりは?』
「んー。」
「とりあえず、座れば。」
立ったままでする会議でもないだろ。
俺の声かけに、元貴がその辺の椅子に座る。
『にーちゃん、俺もここにいていい?』
「どうぞ。」
スコルが頭に取り付く。
すっかり定位置だな、そこ。
「恐らく、月に関係する神じゃないかと。ハティと似た物を感じたから。男神で月…月読命か?」
「あの短時間でよく分かるな。」
俺らが見たの、一瞬だったと思うんだが。
『三貴神の一人か、厄介な。』
フェルの鼻の頭に皺が寄る。
『だとしたら、お前では無理だな。そっちの奴に頑張ってもらうしか。』
フェルの視線が、俺を向く。
「俺ぇ⁈」
いや、何を仰るの、フェルさんや。
「属性が一緒なのは不利か。」
『そうだ。ハティもお前もあの神も、月属性になる。其奴とスコルなら、太陽だ。対抗出来るだろう。』
そういうことか。
「俺だけ記憶が残ったのも、そういうことか。」
『で、あろうな。』
じゃあ、俺が頑張るしかないのか。
「本当はオレが行きたいんだけど…若井。」
「わーってるよ。連れて帰る、必ず。」
涼ちゃんのことが愛しいのは、お前だけじゃないんだから。
『あとは協力者探しか。縁のある辺りを当たれ。』
「「長野県」」
二人で同じ意見。
いなくなったのも長野なら、生まれて上京するまでいた土地もそこなんだから。
「土地神…ねぇ。諏訪大社くらいしか。」
「あと上田にある。日本の真ん中と言われる神社。戸隠にもあるよね。善光寺…は寺だから違うか。」
元貴とスマホ片手に検索しまくる。
『我は我で、心当たりがある。其奴を当たってみよう。』
フェルが少しは心強いことを言ってくれた。
『ただ…誰が来るやら。』
いきなり不安になることを言わないでくれます⁈