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<瞳>
GPSを確認する。
マークは動かない。
松本ふみ子にバレたってことは無いだろうか?
一応、動きのないことを凌太にというか、自分のスマホにメッセージを入れる。
「なんだか変な気分」
テレビや動画を見る気分でもないし、何かをしていないと落ち着かない。
家に連絡をしていないことを思い出し、里子にも話をしておきたくて凌太のスマホから里子に連絡をしようと電話番号を入力すると“鈴木”という文字が表示された。
里子の番号が登録されてる?
何となく、里子が出る前に切ってしまった。
スマホの画面を見つめていると里子からの折り返しが来た。
どうしよう
二人は繋がってる?
不安な気持ちでアイコンをタップすると
『瞳に何かあったの!』
スピーカーにしなくても聞こえてくる音量で、呆然としていると
『甲斐くん?返事しなさいよ』
「里子?」
『へ?瞳?どうしたの?』
「うん、実は」
松本ふみ子が待ち伏せしていた話と、今松本ふみ子の家に行っている事を話した。
『先に言っておくけど、甲斐くんと連絡を取ったことはあるけどそれだけだからね』
「うん」
『納得してないでしょ』
「そんな事ないよ」
電話に出た時に私の名前が先にでた事を考えれば私のことを心配してくれているのはわかるけど「ちょっとモヤっとした」と正直に話した。
『脅しよ』
「へっ」
思いもよらない返事に変な声が出た。
『私のSNSを通してあの時、再会したでしょ。だけど、私が甲斐くんのことを信用できなくて連絡先の交換をしてから、瞳をセフレコレクションに入れるなら容赦しないって電話をしてから何度か連絡を取り合ったのよ。黙っていたことはゴメン。でも、瞳にはもう傷ついてほしくなかったから』
「私もゴメン」
里子というよりも、凌太に対して言った。
凌太と付き合うと言いながら、まだ何処かで覚悟が出来ていなかったというか信じ切っていなかったから。
『甲斐くんは学生の時も今も瞳を大切にしてると思うよ。ちょっと色々あったけど』
「そうだね」
『松本ふみ子の執着はすごいと思ったけど、高校からの思いが今までって凄いね』
「うん、でも凌太を好きならこれは間違ってると思うけど、ちょっと間違ったら私もあんなふうになるんだろうか?」
と、つい話してしまった途端
『いや、無いわ。瞳は自分自身に厳しいけど相手のことを大切にするから自分の欲だけで動かないよ』
「ありがとう、里子にそう言ってもらえると安心する」
『うちに来ることになってるんでしょ』
「ごめん、いい年して学生みたいに」
『実家だからね、外泊となるといろいろ詮索されそう』
「そうなんだよね。何もなくてもありそうに思われるでしょ」
『え?何もない?』
「無いよ。だって、付き合い始めたのは最近なんだから」
『そういう子だよね』
「子ってなによ」
『ははは、じゃあね』
「うん、ありがと」
里子と話をして少し落ち着いた。
母さんに連絡をして里子と一緒にいることを伝えて通話を切ったが、番号が違うって絶対思ったよね。
「しょうがないか」
独り言を言ってからGPSを見てみるとマークは依然と松本ふみ子の実家にあった。
凌太、大丈夫だろうか?
そう思っていると凌太から着信が入る。
「凌太?どうしたの」
「松本ふみ子は家にいないようだ。気をつけてくれ。絶対にマンションから出ないで」
「凌太も気をつけて」
通話を切ってから、やっぱり不安に思ったことが現実になった。
もう一度里子に電話をかける。
「瞳?どうしたの」
凌太のスマホからでも今度は私の名前を呼んだ。
「凌太から連絡があって松本ふみ子は家にいないって」
『GPSは実家を示してるんでしょ?』
「気付いたのかも」
『ただ、向こうはバレたと思ってスマホを置いてきたけど、マンションにいるのが甲斐くんだと思っている可能性があるし、とにかく瞳はマンションから出ちゃダメだよ』
「うん、さっき凌太にも言われた」
『ところで家には連絡した?』
「した。里子の所って言ってあるけど、きっと信じてないと思う」
『まぁね、私が瞳のお母さんでもそう思うよ。でも、いい大人なんだし、何よりフリーなんだからいいんじゃない』
心細くしている私を憐んで里子は話に付き合ってくれている。
流石にあまり長電話になりすぎると悪いので、
そろそろ終わらせようとした時
ピンポーンとインターフォンが鳴った。