『すれ違う心』
tg視点
tg(先輩、昨日……何を言おうとしたんだろう)
一日中そのことばかり考えて、授業なんてまったく頭に入らなかった。
放課後。廊下で待っている先輩を見つけて、俺は駆け寄る。
tg せんぱいっ!
pr お、今日も元気やな。……で、なんや? その顔
tg 昨日の続きを教えてください!
真っすぐに言ったら、先輩の目が少し見開かれた。
pr ……昨日の、か
歩きながら俺を横目で見て、先輩は小さく笑う。
pr ほんま犬やなぁ。気になったら放っとけんのやろ?
tg 放っとけません!俺、先輩の言葉、ぜんぶ知りたいです!
勢いで言った瞬間、先輩の歩みが止まった。
振り返った顔が、夕日のせいか真剣すぎて心臓が跳ねる。
pr …ちぐ、おまえ、ほんまに俺のこと…
次の瞬間。
廊下の向こうから女子たちの声が響いた。
「ほら見て!またちぐさくん先輩と一緒!」
「やっぱ犬っぽいよね〜」
先輩の表情が、さっと曇った。
そのまま黙り込んで、俺の前を歩き出してしまう。
tg …せんぱい?
呼び止めても、振り返らない。
ただ――握られたままの俺の手が、ぎゅっと強くなる。
普段よりもずっと強く。
pr …離れんなよ
低く押し殺した声が、耳の奥に刺さった。
俺はその言葉の意味を聞き返そうと口を開いたけど――
先輩の背中はただ、黙って夕日に伸びていく。
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コメント
2件
ほんとに良すぎる✨🫶 もうそれしか言葉にできない((( 次もめっちゃ楽しみにしてます!!!🫶✨🩵