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十の環――それは天の理を司る選ばれし者たち。
刻印が共鳴し、再び動き出したとき、
星環の聖堂では、ある人物が通信回線を開こうとしていた。
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【宙誓】
「第六環――冥司。君の刻印も反応したな。
黙っているつもりなら、今ここで意見を聞かせてほしい」
――天篝 宙誓。
三兄妹の長兄にして、“第九環・光の理”の担い手。
真面目で理想主義者。兄弟のブレーキ役でもある。
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【通信空間:深灰色の霧に包まれた部屋】
【冥司(めいじ)】
「反応したのは、俺の意思じゃない。
星刻印とは、そういうものだ。呼ばれれば、ただ従う」
――冥司。
“第六環・影の理”を担う男。
感情を表に出さず、冷静かつ中立。十環内でも一際異質な存在。
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【宙誓】
「“理”を持つ者が、ただ従うだけでいいのか?
君が動かなければ、混乱が広がる」
【冥司】
「……混乱など、世界の常。
それに、君の“理想”が一番危うい。自覚はあるか?」
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冥司は十環の中でも特に距離を置くタイプだ。
誰の味方でもなく、敵でもない。だが、決して信用はできない。
宙誓にとって、最も「話が通じない」相手だった。
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【冥司】
「十環が揃えば、世界は壊れる。
だが、壊れなければ“新たな理”は生まれない」
【宙誓】
「俺は……壊したくない。
守る道もあるはずだ。希望は――まだ消えてない」
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【冥司】
「“光”はいつもそう言うな。……鬱陶しいほどに」
(通信が切れる)
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星刻印が告げる運命に、
誰が抗い、誰が従うのか――
天篝 宙誓は、自分の“信じる理”を最後まで貫くと、
まだ信じていた。