「……ヒョン…」
ベンチに座るヒョンをみた瞬間、瞳から雫が落ちる。
泣きたくなんてなかった
ヒョンの前で、弱いところなんて見せたくなかった…
「よかった、来てくれた。あーあ、泣いちゃってるじゃん、とりあえずこっちおいで。」
俺より身長が小さいヒョンが背中を撫でてくれる。
ヒョンがリードしてくれて、いつものベンチに座らせてくれた。
世界を見たくなくてヒョンに抱きついてそこで涙を流す。
ヒョンの匂いで包み込まれるような感じがして、平常心を取り戻してくれる。
「ん……たくさん泣きな。」
そう言って頭を撫でてくれるヒョン。
やっぱり、俺は人に気づいてほしい、ただのかまってちゃんなのかな…
またそう考えると涙が溢れてきてしまって。
無意識にヒョンに謝ってしまう。
「ごめん……ごめん……」
「なんで謝るの、ジュネ悪くないでしょ?」
撫でてくる手が暖かい。
自分はよく強いって思われがちだけど、
実はそんなんじゃなくて。
すぐ泣くし、臆病だし。
強い自分を演じるのもなんだか疲れた。
こうして何分たっただろうか。
優しく撫でてきてくれるお陰で涙が収まってきた。
ふと顔を上げてみる。
ジナニヒョンと目があってしまう。
まだ目には涙が残っていて、霞む視界でしかみることができない。
「あーあ、じゅね、そんなぐずぐずして、相当なんだね、ほら、ティッシュ使って。」
「ありが、と、」
もらったティッシュで鼻をかんだあと、近くにあったゴミ箱に投げ捨てた。
たぶん、届いてない。
そんなことを考える余裕もあまりない。
とにかく、俺はヒョンに慰められることしかできなくて、
口からごめんと出てきてしまう。
「だから謝らなくていいって、そういうとき誰にもあるでしょ?ジュネは悪くないんだから」
そういいながら抱き締めてきてくれた。
ヒョンの胸の中、手、全部、暖かい。
心も体も冷えきった自分に暖かみが戻ってくるような感覚がする。
ヒョンの肩に頭を乗せて目を瞑る。
冷たい風が吹いてくる。
でも、そんなのは全然効かずにヒョンの暖かみで消されていく。
ゆっくり深呼吸していくと、心も満たされたのか、眠気が襲ってくる。
うとうとして、頭が少しだけ揺れる。
「……眠い?」
ヒョンが頭の向きを変えて、たまたま耳元にその言葉が優しく届く。
「ぁっ…んん、ねみぃ…」
思わず体が少し反応してしまう。
弱くなっているのか、声が漏れて、耳が熱くなっていく……
「ん、なに今の、めっちゃかわいい声聞こえたんだけど?」
気づいたヒョンが吐息混じりでわざと耳元でそういってくる。
「んぅ、っ、おま、耳弱いのわかってるだろ…」
「じゃないとやらないでしょ?」
眠いのに、こんなことされたら変な気分になる……
しかも、ここ公園だし、
「んん、するなら家で、しろ、よ」
「……それ、しろっていってるもんじゃない?笑」
あ……。
や、まって。
なんも考えてなかった、
あ、や、そんなつもりで言った訳じゃな、いのに……
「ぁっ、え、そんなわけじゃ、」
「わかったから、じゃあぼくの家、いこうか?笑」
手を強制的に引っ張られて歩かされる。
「だからそういうわけじゃな、」
話を聞いてくれるはずもなく。
勢いで歩かされる。
いや、でも、ヒョンの家にいけるのは嬉しい、かも。
そして、そのまま俺は流れに身を任せて歩いていった。
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