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水面唯月 34歳
俺は今、自分の会社のビルの展望台に来ている。
今日はよく晴れている。だから、展望台から見える景色がとても良い。
俺はコーヒーが好きだ。自分で淹れたりもする。
だが、毎朝飲む、あの店のコーヒーが好きだ。
今まで、数々のコーヒー屋に行ったが、あの店は何か違う。店員のコーヒーへの熱意が伝わる。
…もうすぐ休憩、終わるな、
トコトコ
…ん?誰だ?
この時間に来るやつなんているのか?
まぁ、いい、俺には関係ない。
そう思いながら、今来た人の事を観察する。
見覚えがある。誰だ?
…あ!
俺は思い出した。そう彼は毎朝行くコーヒー屋の店員だ。
もうすぐ休憩が終わるというのに、彼の事が気になってしょうがない。
俺は彼の元に近寄る。
「こんにちは」
「ん!?こんにちは」
彼は驚いている。ちょっと面白い。
「あそこのお店の方ですよね?」
俺はあの店に指を差しながら言う。
「あ!毎朝来てくれる方!」
覚えていたのか…嬉しいな…
「そうです。毎朝ありがとうございます。」
「いえいえ」
「自己紹介がまだでしたね」
俺はそう言いながら名刺を取り出す
「こういう物です。よろしくお願いします。」
「ありがとうございます。すいません、今名刺持ってなくて」
「じゃあ、名前だけでも」
俺は自然に名前を聞き出す。
「志水陽太です」
「陽太さんか素敵な名前ですね、陽太さんにあってらっしゃる」
「ありがとうございます!」
「すいません、では失礼します」
「明日も来てくださいね!」
俺はそう言われながら、その場から離れた。
俺は陽太さんの事を思い浮かべる、陽太さんの目を見た時、何故かは分からない。
でも、なんだか吸い込まれそうになった。
まさか、遠くに座っていた人が毎朝来てくれるお客様だなんて、
こんな偶然もあるもんだな…
僕はお客様から貰った名刺に目を向ける。
…え!嘘!
僕は驚く。そりゃあ驚く内容だ。
だってそこには、今いるビルの会社の専務と書いてあったのだから。
僕は急いでスマホの検索アプリを開いてこう検索する。
『水面建築会社 専務』
…本当だ、
そこにはしっかりと今話したお客様が映っていた。
…水面唯月さん、綺麗な名前、
画面をどんどんスクロールしていく。
有名大学卒、新人建築賞受賞、34歳、
…34歳!?その年齢で受賞って、スゴすぎる人じゃん、
そして、第二の性についても載っていた。
…さすがにαだよな、
そう、そこには僕の予想通りαと書いてあった。