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※すま生存if√
✵✵✵✵✵
すまの調整を無くし、すまは普通のクローンとしての寿命を歩めるようになった。
しばらくリハビリを続けながら、すまは他の生徒やクローンと生活をしていた。
✵✵✵✵✵
「なぁ、ブラック。俺の片目を変えることって出来るか？」
「そんなプラモデル作れるか？みたいなノリで恐ろしいこと言わないでください」
突然、いつもの検査の際、すまが言い放ち、混乱のあまりそう返してしまった。
「・・・で、目を変えたいってのは・・・そちらの火傷の方の瞳ですか？」
すまの顔半分は火傷の跡が大きく残っており、瞳は白くなっていた。だが、すまは首を横に振る。
「いや、違う。こっちの目だ」
と、“水色”の瞳の方を指さした。
ブラックはゴンッと机に頭を打ち付けた。
「だ、大丈夫か・・・？」
「これが大丈夫に見えると？？？」
ブラックは頭を抑えつつ、起き上がった。
「・・・何故、瞳を変えたいんですか？その瞳は、すまない先生と同じ色じゃないですか・・・」
そう零すと、すまは少しいいにくそうに唇を歪めていた。
「・・・その・・・な・・・ええっと・・・」
と、すまがいいにくそうに言葉を濁していると、ふと、ブラックは目を丸くした。
「・・・・え」
その言葉に、すまは慌てて片手で顔を隠した。
「ちょっ、すま、隠さないでください」
「むり、やだ、いや」
「ぐっ・・・調整消したのに、力強いですね・・・！」
ぐぐぐとすまの片腕を掴んで剥がそうとするも、力が強くて剥がすことが出来なかった。すると、
「あ」
と、ブラックがこぼし、すまの後ろを見ていた。すまは首をかしげ、後ろを見た。その途端、
「嘘です」
「な、てめぇ！！嘘ついたな！？！？」
と、すまの顔をしっかり掴み、自分の方に向けさせた。
「やめっ！見んな！！」
じたじた暴れるすまを他所に、ブラックはじっとすまを見ていた。
そして、口を開いた。
「“青緑”？」
「っ・・・！」
火傷を負った瞳はなにも変わっていなかったが、すまの片目が“青緑色”になっていたのだ。
先程まで、すまない先生と同じ、快晴の瞳だったのに、
そういえば、とブラックは思い出した。
最初にすまに会った時は“血のような赤色”だったことを。
「・・・だからっ・・・見んじゃねぇって・・・言ったろ・・・！」
じわりとすまは涙を貯めた。それと同時に、瞳が“青緑色”から“紺色”へと変化した。ブラックはそれを見て確信した。
「・・・“感情で虹彩の色が変化している”？」
✵✵✵✵✵
ブラックのおやつを分けつつ、すまはポツポツと話した。
「・・・俺の目は、俺の感情によって変化するんだ。黄色は嬉しい時に、橙は警戒してる時にみたいにな」
「まるで、“プルチックの感情の輪”みたいですね」
「なんだそれ」
そうすまは首を傾げた。瞳の色は“落ち着いた黄緑色”
──確か、プルチックの感情の輪では“不安”の色だったはず。
と、ブラックは前にたまたま目を通した資料がこんな所で役立つとはと思っていた。
「調整の副産物なのか、副作用なのかは知らねえが、気がついたら、俺の感情がこう瞳に現れるようになったんだ。今は片目だけだけどな。・・・あの博士は、感情が色として出ているってことは気づいてなかったんだよ。それどころか、気持ち悪いって嫌悪していた。」
(あぁ・・・だから、“不安”だったのか・・・また、気持ち悪い、と言われるかもしれないから・・・)
と、ブラックは、忘れたい過去の記憶が少し溢れ、すまに気づかれぬよう、ギュッと自分の腕を抱きしめた。その手は微かだが、震えていた。
「・・・だから、この“目”のせいでそんなことが起こるかもしれないから、目を変えたかったんだ。片目は色が変わらないらしいから、片目はこのままでいい。だから・・・」
「・・・私は、その瞳は綺麗と思いますよ」
ブラックがすまの言葉を遮るようにそう答えた。それに、すまは驚いたように瞳を丸くしていた。
「・・・例え、その博士が気持ち悪いと言っても、私はその瞳、綺麗と思います。感情によって瞳の色が変わるなんて、凄い綺麗じゃないですか。きっと、すまない先生も、銀さん達も“綺麗”だって、言ってくれますよ」
そうブラックの言葉に、すまは少し迷うような表情を零す。
「・・・もし、拒絶されたら・・・どうしよう・・・」
「・・・その時は・・・私が超電磁砲ぶっ放します」
「ブフッ！」
そうはっきり言うと、すまは噴き出し、笑う。
瞳は“不安”の色じゃ無くなっていた。
「・・・うん、そうだな・・・ありがとう、ブラック」
そうすまはすまない先生が笑う時と同じように笑った。
【オマケ】
ブラック「ちなみに、私達に最初に会った時は“真っ赤”でしたけど、あれは？」
すま「あー、あれは、博士に対する怒りを押さえ込んでたら、あんな色に・・・俺の元々の目の色のデフォはすまないと同じ水色なんだよ」
ブラック(めちゃくちゃ怒ってたんだな・・・)
