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目を覚ますと、薄暗い部屋の中で、冷たい感触が身体を包んでいた。意識が徐々に戻るにつれて、手足が強く縛られていることに気づく。薄明かりの中、周囲の影が揺れ動き、何か不気味な空気が漂っていた。身を捩ろうとしても、縄はしっかりと結ばれていて、動くことすらできない。心臓が鼓動を速め、恐怖が胸に押し寄せる。ここはどこだろう?アニスはどうなっただろうか?

暗闇の中、微かな音が響く。誰かが近づいている?気配が迫るにつれ、メリアは冷静さを失いかけた。恐れと緊張が入り混じり、彼女は深く息を吸い込み、心を落ち着けようとした。 「きっと、大丈夫。」自分に言い聞かせるように呟くが、恐怖がその声をかき消す。彼女は目を凝らし、周囲を観察する。薄暗い部屋の壁には、古びたペンキが剥がれ、ところどころにカビが生えていた。窓はなく、出口も見当たらない。

何が起こったのか、誰が自分をここに閉じ込めたのか。疑問が頭をよぎる。その時、遠くから聞こえる足音が、ますます彼女の不安を募らせた。今はただ、脱出の手段を探すしかない。希望を失わずに、彼女は心の中で決意を新たにした。

少し落ち着くと、外で誰かが話しているのに気づいた。

「あの女はどうするんだ?」

「どうするも何も、殺すしかないだろ。あれだけ強いと、俺たちの計画に支障が出てしまう。」

「…利用するのはどうなんだ?彼女に幻影獣を倒してもらうとか…何も殺さなくても。」

「馬鹿なのか?あれだけ強い彼女に武器を持たせてしまったら俺たちを殺すに決まってるだろ?はぁ。不安要素は取り除いておくべきだ。それと…逃げた男も。」

少し時間を空けてまた、声が聞こえて来た。

「わかった…。」

そいつは納得したようだった。

それきり話は途絶えた。メリアは自分がいつかは殺されてしまう。と思い、何か縄を解く方法がないかと周囲を見渡す。すると、今まで気づいていなかったが、食事が用意されていた。

野菜や豆が入った、全く美味しくなさそうなスープと野菜が用意されていた。水もあるが、とても綺麗とはいえない汚い水だ。…フォークがある。もしかしたら、利用できるかもしれない。メリアはフォークで縄を切ろうと作業を始めた。

数十分後

ガチャガチャ

誰かが鍵を開けようとしている音が聞こえる。

ガチャンッ

扉を開け入って来た。

「おや、お目覚めかい。お嬢ちゃん。」

メリアは男にキッと睨む。

「いいねぇ。ゾクゾクするよその目。ま、そんな警戒しないでくれ。情報を吐いてくれさえすれば何もしないからさ。」

銃をメリアに突きつけ、 男はまたしゃべり始めた。

「ねぇ、お嬢ちゃんと一緒にいた男がどこに行ったかってわかるかい?」

メリアは無言を貫き通す。

「おや?だんまり?この引き金引いちゃうよ?」

「知らない。」

男は部屋を歩きながら

「ふーん?でも、行き先くらいはわかるよね?」

「彼は関係ないでしょ。」

冷たく言い放つ

バンッ

すると男は何の躊躇もなくメリアの左肩を打つ。

「いっっっ⁈」

メリアが驚きと猛烈な痛みに耐えている中、男は何事もなかったかのように話を続ける。

「関係なくはないよ?だって君と同様とてつもなく強い。あのね。幻影獣を全て殺されてしまったら俺たちの計画が台無しになっちゃうんだよ。だから野放しにはできない。」

男はとても愉快そうにニコニコしながら言い放った。

「それにぃ。あの男は君のことを置いて尻尾巻いて逃げた負け犬なんだし。いいじゃん別に居場所吐いちゃっても。ね?」

男は相変わらず部屋の中を歩き回りながら話している。そんな中急に男が近づいて来て、メリアの前にしゃがみ込み、男の顔が近づいて来る。

「よく見るとさぁ。君美人さんだね。ねぇ…本当はいけないことなんだけどさ。」

と男は言いながら服の中に手を入れて来る。不快感しか感じなかった。メリアは我慢が出来なくなり、近づいて来た男の頭に頭突きをする。すると男は後ろに下がった。その隙にあらかじめフォークで縄を解いておいたので、男に掴み掛かり銃を奪う。 形勢逆転だ。彼女は男に銃を突きつける。

「ははっ。冗談」

バンッ

男が言い終わる前に彼女は男の頭を打つ。

彼女は男の死体を超えて、扉を開ける。すると銃声に駆けつけてきた男たちが沢山いた。彼らは銃をメリアに突きつける。

「手を挙げろ。銃をこちらに渡せ。」

そう言われ、彼女は手を挙げながら仕方なく銃をスライドさせ渡す。絶体絶命の状況なようだ。彼女はどうこの場を切り抜けようかと思考を巡らすが、全くといっていい程打開策は思いつかなかった。

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