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光に包まれ、次の瞬間、フレーク達は地上に降り立った。周囲には広大な森林が広がり、色とりどりの花々が咲き乱れていたが、心の中には重苦しい思いが渦巻いていた。顔についた血を手で拭う。その血を見た瞬間スターチスの最後の顔がフラッシュバックする。仲間が目の前で殺されたという無念が、フレークを押し潰すようだった。 隣を見るとネモフィラは青ざめた顔で、今にも泣きそうな顔をしている。俺は声を掛けようとしたが、何と声をかけて良いのか全くわからなかった。

「ここはどこだ?」彼は周囲を見回し、冷静に状況を把握しようとした。新たな土地の美しさに目を奪われつつも、彼の頭の中には仲間の姿が常に浮かんでいた。彼は仲間の無念を晴らすため、ここで何をすべきかを考え始めた。

「…行くぞ。」

彼はそう言い放ち、奥へと進む。すると、後ろから泣くのを我慢したような小さな声で「うん…」という声が聞こえた。



しばらく幻影獣を倒しながら進んでいっていると、ある違和感に気づく。幻影獣が初期の頃よりも数が増えていることと、強さが増していることに気づいた。この変化が、アストリアでの爆発事件と何か関係しているのだろうか。

そんな事を考えて進んでいると、もう日が沈み始めている事に気がついた。俺たちはこの森の中で野宿をすることにした。


焚き火の火花がぱちぱちと音を立て、暗闇の中でゆらめいている。三人は無言でその周りに座り、冷たい空気が肌を刺す。火の光だけが顔を照らし、誰もが言葉を口にしない。風が木々を揺らす音が、静寂の中でひときわ大きく響く。それぞれの思いが、焚き火の熱さと共にこもり、ただ火を見つめる瞳だけが、交わることなく輝いている。

俺は息を呑み、この静寂を壊すことにした。

「なぁ、皆幻影獣はどんなふうに見える…?」

俺が聞くと2人共が顔を上げた。

「私は…人型の化け物に見えるわ。でも最近、容姿が結構人に近づいて来てるわ。…まるで、人を殺してるみたいで…」

ネモフィラは再び俯き黙りこくった。

「僕も、おんなじ感じだよ。」

「そうか、俺も2人と同じだ。」

俺が喋り終わると

「ねぇ、これから何処に向かうつもりなの?」

俯いたまま彼女は俺に疑問を投げかける。

「一度ロイと戦ったあの街に戻ろうと思う。そこで、体勢を立て直してからアストリア王国に戻ろう。」

2人はこくんと頷いた。


翌日

目的地に向けて歩き続けていると、 急にアグニスが喋り始めた。

「ねぇ、僕監獄でこの世界の未来見ちゃったんだ…」

悲しそうな顔でアグニスは喋り始める。

「もう、殆どの人が死ぬ。僕たちは…中にいたからあんまり分かってなかったけど。世界は僕たちが思っているより酷いことになってる。こんな世界で生きるならまだ死んだ方が楽だと思えるほどに。もう、生きる意味なんて…ないのかも…」

かける言葉が見つからない。一体どんな未来を見たのだろうか?どんな結末を迎えてしまったのだろうか?俺たちにはわからない。彼の気持ちが。最悪な未来を見ることができてしまうという絶望が。俺が逡巡していると、ネモフィラがアグニスに近寄り

パシッ

アグニスの頬を叩いた。

「くよくよしないでよ!未来が見えるからって何よ!未来なんて変えてしまえば良いじゃない!」

アグニスは驚いた顔でネモフィラを見る。

「今死んだら。あなたと私達を助ける為に死んだスターチスはどうなるのよ!」

ネモフィラが泣きそうになりながら叫ぶ。

「助けに来てくれなんて頼んでないだろ!君たちが勝手に助けに来ただけじゃないか!」

グガァアアッッッ

大声に反応したのだろうか。幻影獣が群れで押し寄せてきた。

「くそ!早く逃げるぞ!」

俺たちは必死で森の中を逃げ続けた。するとネモフィラが木か何かにつまづいたのだろうかいきなり地面に倒れ込んだ。俺たちは止まり助けようとした。だが

「行って!大丈夫。多分なんとかなると思うわ。ここは森だから。」

と言い、彼女は気を操り幻影獣を倒していく。

俺は彼女ならやり遂げることができるだろうと思い、森を抜け、街に行く事を優先した。

「…わかった。街で会おう!」

俺はそう言い、先を急いだ。

白い貴方の見た世界

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