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朝の陽射しが砂埃を黄金色に染める。
今日は町で年に一度の「収穫祭」。屋台の香ばしい匂いと、子供達の笑い声で町は賑やかだった。
🟦「保安官!祭りは俺の命だ!」
ロイが大声で宣言し、帽子を斜めに被って駆け出す。
グレイはゆっくりと帽子を被り直し、新聞を置いた。
🔫「………まだ、朝の六時だぞ。」
🟦「朝だろうが六時だろうが、関係ねぇ!俺の勝手だ!」
ロイは屋台に寄り、屋台の主人を煽る。
🟦「おばちゃん、ポップコーン遅すぎ!俺、今砂埃でも、食う気満々だぞ?」
主人は苦笑いしながら手を止め、ポップコーンをロイに差し出す。
ロイは満面の笑みで受け取り、通りすがりの子供達に自慢げに見せる。
グレイはため息をつき、そっと後をついていく。
🔫(……なんでコイツをほっとけないのだろうか…。)
自分でもわからない。
ただ、ロイが笑うと、妙に胸が軽くなることだけは確かだった。
祭りの目玉は「牛追い競争」。
町中が観客席となり、騒がしい歓声が響く。
ロイは競争のスタートラインに立ち、振り返ってグレイに叫ぶ。
🟦「保安官、見てろよ!俺、ここで町一番の騒がせ役になる!」
🔫「………俺は止めないと行けないな。」
🟦「止めたら俺の魅力が半減するぞ?」
スタートの笛が鳴り、ロイは牛の群れに向かって全力疾走する。だが、牛は全く動じず、むしろロイの目の前を悠々と歩く。
🟦「牛、俺に興味なし!保安官、助けて!」
グレイはフェンスを越えゆっくりと歩み寄り、ロイの帽子を掴んで止めた。
🔫「……お前、本当に学習しないな。」
🟦「学習?俺は自由を愛しているんだ!」
🔫「そうか。…自由の名の下に呆れることも愛しているのか…」
ロイはニヤニヤ笑い、逃げようとする。
🟦「保安官!追い付けるもんなら追いついてみろ!」
🔫「はぁ…これじゃ、「牛追い競争」じゃなくて、「ガキ追い競争」か…。」
二人の間で静かな挑発の空気が流れた。
町人達が心配そうに見守る中、グレイの渋い顔とロイのいたずらっ子みたいな笑顔が、祭りの風景に妙に馴染んでいた。
結局、競争は大騒ぎのまま終了した。
ロイは転げ回りながら、誇らしげにグレイを見上げた。
🟦「はぁ…はぁ…見たか、保安官!俺の魅力炸裂!」
🔫「……炸裂しすぎて、俺の頭痛も炸裂した。」
🟦「それが俺のサービス精神ってヤツだ。」
🔫「…はぁ…やれやれ…」
夕暮れ、祭りの灯りが町を温かく照らす。
ロイは帽子を斜めに被り直し、グレイに腕を組ませる。
🟦「…なぁ、今から一緒に屋台回ろうぜ。」
🔫「……面倒くさいが、まぁいいだろう。」
ロイの笑顔に、グレイの渋い顔もわずかに緩む。
気づかぬうちに、町の騒音も二人にとっては、心地よいものになっていた。