「御当主様、次期当主様のおなりです。」
よく通る声が聞こえた。
皆一斉に頭を下げる。
「表を上げよ。」
頭を上げる。
「皆、今日の宴を楽しんでくれ。我が息子の成人祝だ。(うわっ。いっぱいいる。早く終われ。)」
御当主様がなにか呟いている。何だろう。
ていうかこれ成人祝いなんだ。へぇ~。
「誠也。来てくれ。 これが我が息子だ。」
「鷺納誠也です。どうぞ、よろしく。(うぇっ。花嫁選べとか面倒くさい。)」
ふうん。昨日女子たちが騒いでいた通りイケメンだ。興味ないが。
「挨拶はこれで終わりだ。」
御当主様は屋敷の中に入って行った。
挨拶が終わったら普通に食事会だ。
さすが本家の料理人。うまい。
それはおいといて…
さっきから2階バルコニーに御当主様と次期当主がいる。
幻術でかくしているようだが、普通に見える。
まぁ私の霊力が高いってのもあると思うが。
ちょいと盗み聞きするか。
「耳よ。遡れ、地獄耳。」
聞こえてきた。
「…あんだよ。めんどくせぇ。」
「母さんの張り切りっぷりには困った。」
思わず耳を疑った。
声を出さなかったこと、褒めて欲しい。
「地獄耳解除」
よし、絶対に花嫁にならない!
そう決意して食べ歩きを始めた。誠也(次期当主)の視線に気付かぬままに。
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