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やっぱりなんかほっこりするなー2人の会話とか行動とかかわいい((o(。・ω・。)o)) 僕が今からする話はほっこりしないんですけどね( ̄▽ ̄;) うーん なんかやっぱり部活やめようかな〜?顧問に嫌われてるし 当たり強いし〜 先輩はめっちゃいいんだけどね顧問だけ嫌っていう絶妙なのこまるよね〜(笑)......
「……じゃあさ」
大森の声が、ビデオ通話のスピーカーから低く響く。
「嬉しかったんだろ?だったら、ご褒美ちょうだいよ」
若井は思わず眉をひそめた。
「ご褒美って……何をだよ」
「逆に聞くけどさ、何ならできる?」
挑発的な言葉に、心臓が跳ねる。
(何がいいかなんて……そんなの、聞くなよ……)
「……何が欲しいんだよ」
その問いが、仇になった。
大森の瞳がいたずらっぽく光る。
「じゃあ、キスして」
「……っ!?」
若井は一瞬、言葉を失った。
「な、なんでそうなるんだよ」
「なんでって……だって“ご褒美”でしょ」
画面越しにゆっくりと顔を近づける大森。
カメラのレンズが彼の唇を強調する。
「ほら、早く」
「……っ……」
逃げられない。
若井は唇を噛みしめて、心臓の高鳴りを抑え込もうとする。
やがて観念したように、目を閉じた。
頬が熱い。
カメラの前で、唇を突き出す。
――パシャッ。
乾いた音が響いた。
「……え?」
目を開けた瞬間、大森の口角がニヤリと吊り上がる。
「ふふ。若井、可愛すぎ」
スマホのスクリーンショット音。
すべてを理解した時、若井の顔はさらに真っ赤になった。
「おま、お前なぁーーーっ!!」
思わず声を荒げ、髪をかきむしる。
「こんなとこ撮るとか、反則だろ!!」
「壁紙にしよーっと」
「はあ!? ふざけんな!」
笑い転げる大森に、若井は頭を抱えた。
けれど怒りよりも、羞恥よりも、胸の奥からこみ上げてくるのはどうしようもない甘い感情だった。
「……ほんと、ずるいよな…お前」
小さく漏らした声に、大森が耳をそばだてる。
「ん? 何か言った?」
「……なんでもねえよ」
カメラを避けるように顔を背ける若井。
大森はそんな若井を見て、満足そうに微笑んだ。
「……じゃあ、また明日な」
「……あぁ」
通話が切れ、画面が暗転する。
静かな部屋の中で、若井はスマホを胸に押し当てた。
まだ鼓動が収まらない。
頬の熱も引かない。
「……元貴のやつ……」
呆れたように呟きながらも、心の底から愛おしさが溢れてくる。
あの無邪気で、挑発的で、意地悪な笑顔が、たまらなく好きだった。
ふと、スマホが震えた。
通知を開くと、大森からのメッセージが一言。
《壁紙、ありがと》
「……っ!」
若井は顔を覆い、ソファに倒れ込んだ。
「もう……ほんっと、勝てねぇ……」
笑いながら、涙がにじむほど顔が熱い。
だけど、それでも――幸せだった。