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次回のお話からちょーいい展開になると予想( ´-` ).。oO 今回も尊いですね〜!! そういえば明日部活の発表会当日でちょー緊張しますね(*´д`*)ドキドキ 友達とお弁当食べるの楽しみー((o(。>ω<。)o)) 今日発表会の練習してたら肺が痛くなって死にそうになりましたね(笑)今も痛いですね少し
尊いの洪水が襲ってきました…! やっぱり、もとぱは尊いですね~! 尊すぎて、溶けそうです🫠(つか、溶けてます(笑)) 次のお話も楽しみにしてます! いつも素敵なお話ありがとうございます✨️
 
 
 
 
 撮影現場は熱気と緊張感に包まれていた。
煌々と照らされるライトの下、スタッフたちが機材を調整し、藤澤はモニターの前でヘアメイクと談笑している。
ざわめく声が飛び交う中で、若井の意識はただひとり――隣に立つ大森に吸い寄せられていた。
 大森は真剣な眼差しでカメラ位置を確認しながら、何気なく衣装の裾を直す。
その何気ない仕草さえ、若井には異様に眩しく見えた。
 ――手を繋ぎたい。
たったそれだけの欲求が、胸の奥で膨らみすぎて、息が苦しい。
 
 
 
 「なぁ、元貴」
 「ん?どうしたの」
 
 
 
 思わず声をかけるが、言葉は喉につかえて続かない。
大森がちらと視線を寄越し、口元をゆるませる。
 
 
 
 「……何? まさか、撮影中に甘えたくなった?」
 「ち、違っ……!」
 
 
 
 慌てて否定すると、大森は小さく吹き出した。その余裕にますます頬が熱を帯びる。
 撮影は進む。
セットチェンジの合間、スタッフの大半が別の場所に移動して、一瞬だけ死角ができた。
 ――今なら。
 若井はそっと大森の手に触れた。
ほんの指先だけ。
触れた瞬間、全身に電流のような感覚が走る。だが――
 
 
 
 「……あ」
 
 
 
 大森は何でもないように、すっと手を引いた。
まるでたまたま触れただけだったかのように。
胸がぎゅっと締めつけられる。
 
 
 
 (……やっぱり、ダメか……)
 
 
 
 唇を噛んで俯く若井。
けれど、横目でちらりと見た大森の表情は、どこか悪戯を企む子どものようで。
 
 
 
 「顔、真っ赤だぞ?」
 「うるさい……」
 
 
 
 にやりと笑うその顔に、悔しさと愛しさが入り混じって、さらに鼓動は早まった。
 やがて、監督がモニター前で熱心に話し込み、藤澤もスタッフと笑っている。
ほんの一瞬、周囲の目が完全に逸れた。
 そのとき――
 
 
 
 「……ほら」
 
 
 
 不意に大森が手を伸ばした。
抵抗する暇もなく、若井の指を絡め取る。ぎゅっと、恋人つなぎ。
 
 
 
 「――っ!」
 
 
 
 声にならない息が漏れた。
振り向くと、大森はまるで「勝った」とでも言いたげに、楽しそうに目を細めている。
 
 
 
 「……やっと繋げたな」
 「なっ……!」
 
 
 
 言葉を探そうとしても、頭が真っ白で出てこない。
ただ耳まで真っ赤になっている自覚だけがあった。
 
 
 
 「……かわいいな、若井」
 
 
 
 そっと囁かれた瞬間、心臓は爆発しそうに高鳴る。
スタッフの声が飛び、撮影再開の合図がかかる。
2人は慌てて手を離した。
 離れたはずなのに、掌に残る温もりがじんじんと消えない。
若井はこっそり胸の奥で呟いた。
 ――やっぱり、俺はずっと前から元貴に囚われてる。