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DJは南米特捜班と連絡を取った。「ヘスーサが、念のため管理人に聞いて見ろだってさ」

横揺れのひどいエレベーターで一階に降りると、健太は管理人室の窓に挨拶した。

「どうぞ」という声が中から聞こえて来た。DJがボイスレコーダーの電源をオンにする音が、後ろから聞こえて来た。南米特捜班へ提出する情報となる。

「六〇九号に住むホセさんと会う約束をしてるんですけど」と健太は言った「何時頃帰るか、聞いてますか?」

鼻の下に髭を蓄えたラテンの管理人は、軽く咳き込んだ。

「六〇九号なら、今朝引っ越したよ」

「なんですって?!」

健太は目を丸くした。

「何かの間違いじゃないですか。ホセさんは先週このマンションに引っ越したばかりだと聞いてます」

「確か、越してきたばかりだったよね」管理人は奥にいる奥さんらしき人の方を向き、再びこちらに向き直った「先週の水曜日辺りに越して来たばかりだよ。でも今回は仕事の都合とかで、急に引っ越すことになったって言ってた」

「行き先は、ご存知ですか」健太は鞄からメモとペンを取り出した。

「いや、分からんね。何も聞いてないよ」

「この街ですか、他の街ですか、それとも州内ですか、州外ですか」

「分からんね」

健太は似たような質問を繰り返したが、埒が明かなかった。彼はメモとペンを床に落とした。

「ありがとうございました」背後からDJの声がした。DJに肩を取られ、健太はマンションを後にした。

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