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莉乃ちゃん
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そんな幸せな日々から1週間が経過した
静かな平日の夜──
「あ、もう8時だ、もうすぐ敦が帰ってくるころかな」
リビングの柔らかいソファに腰掛け、スマホを片手にぼんやりと寛いでいると
いつの間にかそんな時間になっていた。
画面の時計を見つめながら、彼の帰宅を想像して少し心が温かくなる。
それと同時に、さっき小腹が空いてスイーツを食べていたときに使って
シンクの水につけておいた皿があることを思い出した。
重い腰を上げて、僕はソファから立ち上がり、台所へと向かう。
「早く洗っちゃおっと」
シンクの中に残された、中ぐらいのサイズの皿一枚とフォーク一本を洗うだけなので
作業としてはそんなに大きな負担ではなかった。
しかし、病気を患ってからの今の僕にとっては
洗った後の皿とフォークをフキンで綺麗に拭いて
元の場所にしまうという一連の工程だけでも、少し疲れてしまうのも事実だった。
身体が、背中がとても重く感じられる。
それでも、それぐらいはしないと。
敦の負担を減らすためにも、頑張らないと
そう自分自身を奮起させて無事に食器を洗い終わった。
小さな達成感を覚えた。
そんなとき
ふと、今日の9時から、高校時代によく夢中になって見ていた
刑事ドラマの再放送がテレビでやることを思い出した。
(あとは洗った皿を拭くだけだし、テレビでも見ながらちゃちゃっと終わらせようかな)
少しだけテンションが上がり、僕は皿とフキンを手にしてソファに再び腰掛けた。
テレビを見ながら、リラックスして食器を拭くことにした。
「んー…と、何チャンだっけ…」
片手でテレビのリモコンを操作し
チャンネルボタンを次々に押して、適当に番組を切り替えていく。
すると、次の瞬間───
〔誰のお陰で飯が食えると思ってんだ…!!あぁ?!〕
〔ご、ごめんなさい!私だってそんなつもりで言ったんじゃ…〕
〔うるせぇ!口答えしてんじゃねぇよカス!〕
たまたま切り替えたチャンネルで放映されていたのは、不穏な空気の漂うドラマだった。
画面の隅の上に表示されている「モラハラ夫の消し方」という物々しいタイトルからも察せられるよう
酷い夫への復讐劇を描いたドロドロとしたドラマなのはすぐに理解できた。
僕が見たいのは懐かしい刑事ドラマなのだから
早くリモコンを押してチャンネルを切り替えればいいだけのことだ。
頭ではそう理解しているはずなのに
全身の筋肉が硬直して指一本動かなくなり、画面から目が離せなくなった。
まるで、金縛りにでもあったかのようだった。