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※はじめに※

・すべて自己責任でお願いします。

・駄文です。

・不定期に更新します。

・無断転載、AI学習等はお控えください。

・この話はフィクションです。

第一話『放課後の習慣』


チャイムが鳴る。

何気なく眺めていた教室の窓の外にはどんどん人が増えていき、教室の中から人が消えていく。

気付いたらもう俺以外に教室に人はいなくて、そろそろと俺も席から離れる。

「冨土原いる~?あ、いた!今日も一緒に帰ろ~!」

そう、いつもの習慣。いつも人がいない時間に末崎と下校する。

「うん。じゃあ、帰ろうか、末崎」


そう言って末崎の隣に立つ。廊下の窓からわずかに夕陽に照らされた末崎は、少し幼く見えた。変わらない末崎に少し安堵し、ふと問いを投げかける。

「あのさ末崎、一緒に帰る人俺以外に居ないの?」

末崎は学校でも有名なスポーツもできて勉強もできて、人当たりもいい。俺とは真反対の陽キャだ。だからこそ気になってしまう。この習慣も、末崎と友達な事も他の奴にばれたくない。

「どしたのきゅうに。…んー、一緒に帰るやつかー。俺は冨土原と帰りたいしなー。冨土原は嫌?」

「そういうわけじゃないよ。…でも、まあそれが聞けたからもういいかな。」

「えー!なんだよそれ!気になるじゃーん!おしえろよー」

「あはは、内緒」

あーだこーだ喋りながら自分たちはまた明日、と言って反対の方向に歩き始める。


結局本当に言いたいことは言えなかったけど。友達なのに。


「ね、冨土原君、落としたよ」

そういわれ、声のした方を見るとそこには俺の消しゴムを持った花園さんがいた。

「!?…!あ、ありがとう…ございます」

ぎこちないながらもお礼を言いそれを受け取る。

「どういたしまして。」

やばい。どうしよ。耳が熱い。あれ、そういえば苗字覚えてもらってる。やばい。

俺はそそくさとその場を離れた。道中机の角にぶつかったりしたけど。


また人がいなくなるまで教室で末崎を待つ。まだ教室には人が残っている。

「冨土原いるー!?」

しかし今日は違った。まだ人は数人程度いる。内心めちゃくちゃビビった。

「末崎さん?どうしたの?」

「冨土原なら…あーあそこ。またあそこでボーっとしてるよ。おーい冨土原ー」

・・・呼ばれたので行くことにした。なるべく話慣れてないみたいにとか友達なのとかばれないようにとかそう思っていたら。

「あ、そじゃ、帰ろーぜー」

「…っは?いやなんで」

「いいから!」


「…おい」

「…すまん。まだ人がいたのに」

暫く歩いて、同じ学校の奴らがいなくなってから末崎が謝ってきた。

「いや、まあ…いいよ。てかなんで急にこんなことしたんだよ…」

「今日さ、お前花園さんといたろ?俺びっくりしてさー、なんかすぐ冨土原のとこ行きたくて」

「へ」

突然心臓が跳ねて変な声が出た。でもなるべく平然とした態度で言い直す。

「…ああ、あれな。落としたの拾ってもらったんだよ。ほんと、いい人だよな、花園さん」

「!そうか…もしかしたら俺、冨土原が花園さんと仲いいのかなとか思って、なんか嬉しくなってさ。冨土原俺以外とは喋らんし」末崎は少し苦い笑顔を浮かべて言う。俺は俺で、「いや、別にナカヨクは無いし、同じクラスで、席近いだけだし…!消しゴム拾ってもらっただけだし…!」とかなんとか言っていた。何焦ってるんだ、俺。足早に歩きだした。


反対の方向に歩きだした、末崎から目を離し夕焼け色を眺める。

やっぱり俺は、花園さんが好きなんだと、思う。

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